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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784004301189
作品紹介・あらすじ
指揮者のタクトで緞帳があがると、そこは華やかなオペラの世界。観客の心を酔わす音楽、魅惑的なアリアのかげには、しかし作曲家や歌手のさまざまな苦心や葛藤が潜んでいる。「セロ弾きのゴーシュ」など日本語によるオペラの実現に情熱を燃やす著者が、自分史をたどりつつオペラ世界の魅力を存分に説き明かし、真の日本オペラへの夢を語る。
感想・レビュー・書評
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今は亡き作曲家、林光先生のエッセイ風(自叙伝風)オペラ論。「日本語オペラ」の創作に挑戦し続けた、林先生の闘いの記録。
日本のオペラ界が、未だに「欧米コンプレックス」に囚われる、古臭いギョーカイであることを告発している点がもっとも刺激的。日本人オペラ歌手のドイツ語が、ドイツ人のドイツ語よりもドイツらしいことの異様さ、不自然さに気付いていた人が、当時どれほどいただろう。
本書を読むと、「日本のオペラ界 orz」と感じられてくる。例えばポピュラー音楽ならJ-popなんかが出て来てるんだから、オペラ界にだってJ-operaがあってもいいじゃないか!という発想だ。
・・・ところが、新国立劇場では日本語創作オペラの新作を、毎シーズン必ず披露していたりする。林先生が本書を著した1990年と比べて、少しずつだけども日本のオペラ界が「欧米コンプレックス」から抜けつつあるとも言えるのかもしれない。
まあ、必ずしも「J-なんたら」てのが良いとも言えない。日本人の音楽受容の傾向として、「新しい潮流に乗ると、それまでの潮流を全部過去のものとして捨ててしまう」という傾向があるからだ。
本書はオペラだけでなく、日本人の音楽受容全般についても示唆を与えてくれる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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