日本オペラの夢 (岩波新書 118)

  • 岩波書店 (1990年4月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784004301189

作品紹介・あらすじ

指揮者のタクトで緞帳があがると、そこは華やかなオペラの世界。観客の心を酔わす音楽、魅惑的なアリアのかげには、しかし作曲家や歌手のさまざまな苦心や葛藤が潜んでいる。「セロ弾きのゴーシュ」など日本語によるオペラの実現に情熱を燃やす著者が、自分史をたどりつつオペラ世界の魅力を存分に説き明かし、真の日本オペラへの夢を語る。

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  • 今は亡き作曲家、林光先生のエッセイ風(自叙伝風)オペラ論。「日本語オペラ」の創作に挑戦し続けた、林先生の闘いの記録。


    日本のオペラ界が、未だに「欧米コンプレックス」に囚われる、古臭いギョーカイであることを告発している点がもっとも刺激的。日本人オペラ歌手のドイツ語が、ドイツ人のドイツ語よりもドイツらしいことの異様さ、不自然さに気付いていた人が、当時どれほどいただろう。

    本書を読むと、「日本のオペラ界 orz」と感じられてくる。例えばポピュラー音楽ならJ-popなんかが出て来てるんだから、オペラ界にだってJ-operaがあってもいいじゃないか!という発想だ。

    ・・・ところが、新国立劇場では日本語創作オペラの新作を、毎シーズン必ず披露していたりする。林先生が本書を著した1990年と比べて、少しずつだけども日本のオペラ界が「欧米コンプレックス」から抜けつつあるとも言えるのかもしれない。

    まあ、必ずしも「J-なんたら」てのが良いとも言えない。日本人の音楽受容の傾向として、「新しい潮流に乗ると、それまでの潮流を全部過去のものとして捨ててしまう」という傾向があるからだ。

    本書はオペラだけでなく、日本人の音楽受容全般についても示唆を与えてくれる。

  • [ 内容 ]
    指揮者のタクトで緞帳があがると、そこは華やかなオペラの世界。
    観客の心を酔わす音楽、魅惑的なアリアのかげには、しかし作曲家や歌手のさまざまな苦心や葛藤が潜んでいる。
    「セロ弾きのゴーシュ」など日本語によるオペラの実現に情熱を燃やす著者が、自分史をたどりつつオペラ世界の魅力を存分に説き明かし、真の日本オペラへの夢を語る。

    [ 目次 ]
    1 オペラとであう
    2 オペラをふりかえる
    3 オペラをつくる

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著者プロフィール

1931年生まれ。1941年から尾高尚忠氏に作曲を学ぶ。東京芸術大学作曲科に入学。1953年同校を中退、間宮芳生・外山雄三氏とともに「山羊の会」を結成した。同年『交響曲ト調』により〈芸術祭賞〉を、1961年映画音楽「裸の島」(新藤兼人・監督)により〈第2回モスクワ国際映画祭作曲賞〉を、1995年「ヴィオラ協奏曲<悲歌>」により〈第44回尾高賞〉を、1998年にはオペラの作曲活動全般に対し〈第30回サントリー音楽賞〉を受賞した。その他受賞多数。2012年1月5日没。

「2024年 『ピアノ連弾のための 魔法の鈴 変奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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