短篇小説講義 (岩波新書 新赤版128 新赤版 128)

  • 岩波書店 (1990年6月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (200ページ) / ISBN・EAN: 9784004301288

みんなの感想まとめ

短編小説の魅力を深く掘り下げた本書は、著者が選んだ傑作短編を通じて、創作の自由さや文学の本質について考察しています。筒井康隆氏は、短編小説の可能性を広げるための新しいアプローチを提案し、読者に多様な作...

感想・レビュー・書評

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  • 何十年ぶりかで再読。

  • 作家・筒井康隆氏が短編小説について思うところを論じ、氏が傑作だと思う短編小説を紹介する読書案内のような本でした。読みやすい文体で、こういう作品もあるのかと参考になりました。

  • 筒井先生が常に新しいことにチャレンジしている動機みたいなのが垣間見える本。
    他に何の応用もきかない短編小説を理想とする、という。
    自由な形式で書くということは、作法がないとか好きなように書くというよりも、無意識に創作を規定する内在律をいかに脱し、オリジナルのものを作り上げるかということだ。
    といってるんだと思う。たぶん。

  • 著者は基本的に「小説作法」といった小説創作の「おけいこごと化」に疑問を呈する立場。
    第二章〜第八章は、古典小説家の中から著者が選んだ7人について、技法や作風を紹介している。
    第九章では、小説家を志すものなら古典を徹底的に読むことの必要性を解きつつ、それらに囚われない新しい形式・技法挑を使った挑戦を奨励している。
    第十章も基本的には一作品のレビューだが、この章自体が短編小説として読めるような文体・構成になっている。技法に関してはここがいちばん密度が濃いかも。

    ちょうど諏訪正樹『身体が生み出すクリエイティブ』を読んだ後で、脳からの無意識の発露や、状況に即したクリエイティブな表現に関するアンテナが敏感だったこともあり、ちょうど個人的に刺さったのが、下記の表現。
    「作家の無意識から噴出したそういう部分があってこその、詩でも戯曲でも論文でもない、小説という文芸ジャンルの特異性ではないのか。」(p.25)
    「それはいつも同じ部分で同じだけの間をとればいいといったものではなく、聴衆の数、雰囲気、会場の広さなどによっていちばん効果的な間は常に変化し続けるからだ。」(p.81)

  • 日本の小説の世界につねに揺さぶりをかけつづけてきた著者が、海外の短編小説をとりあげて読み解くとともに、現代において短編小説がどのように書かれるべきか、あるいは読まれるべきかという問題について考察をおこなっています。なお2023年現在、増補版が刊行されているようです。

    とりあげられている作品は、ディケンズ「ジョージ・シルヴァーマンの釈明」、ホフマン「隅の窓」、ビアス「アウル・クリーク橋の一事件」、マーク・トウェイン「頭突き羊の物語」、ゴーリキー「二十六人の男と一人の少女」、トーマス・マン「幻滅」、ローソン「爆弾犬」の7編で、ほかにモームの短編小説観をめぐる議論が収められています。

    現代の日本では短編小説の「お稽古ごと化」が進んでいると指摘する著者は、ほんらい小説とは自由な文学形式であり、本書でとりあげられている作品においても、それぞれの作者が試みた自由な文学的創作の工夫が見られることを明らかにしています。そのうえで、現代の日本において小説を書こうとするひとに向けて、これらの作品のアイディアや工夫をそのまま利用するのではなく、その自由な精神を学ぶのでなければならないと論じられます。

    著者の小説観が強く反映された内容を期待していたのですが岩波文庫に収録されている古典的な作品をとりあげているためもあってか、思ったよりもオーソドックスな「講義」となっています。とはいえ、最終章のローソンの短編は、語り口もそれまでとは打って変わって、多少著者の作品をこよなく愛好する読者に向けた内容になっているようにも感じられます。

  • 面白く読める書評集。増補版を入手したので処分。

  • いい塩梅の指南だと思う。気にするな、しかしやはり学びなさい。小説の面白さを話しつつすごいんだけど乗り越えてがんばれっていうスタンスが良かったと思う。答えなんて無いっていう本来の答えに気持ちを落ち着かせてくれる。

  • まあ、なんでしょ、我ながらなんなんだかなーと思うのですが、筒井康隆とか村上龍とか、ごくごく若い時分から読んできた作家さんの言うことには盲目的に服従というか信用しちゃうとこ、ありますなー。 ^^

    若い時分にそういう作家に何人もめぐり合えた自分の
    僥倖には常々有り難いと思っています。
    願わくば、今日びの若者も同じだといいなあ〜と。

    こういう前置きすると、ただの贔屓目みたいに聞こえるかもしれませんが、そこはそれ、唯野教授の生みの親ですから。

    岩波書店の文庫創刊60年記念に各作家の短編小説集60点をセット販売したそうで、それを入手した中から(岩波新書なんで)、という趣向。
    王道からちょこっとズレた視点にくすぐられまちゃいました。

    何より作家としての覚悟というか、真摯な姿勢が首尾一貫していて、気持ちがいい。さすが私の贔屓、ってか。 へへっ。 ^^

  • ディケンズ「ジョージ・シルヴァーマンの釈明」
    ホフマン「隅の窓」
    アンブロウズ・ビアス「アウル・クリーク橋の一事件」
    マーク・トウェイン「頭突き羊の物語」
    ゴーリキー「二十六人の男と一人の少女」
    トオマス・マン「幻滅」
    ローソン「爆弾犬」

  • 「短編は人生の瞬間を切り取ったようなもの」という価値観に疑問を投げ、小説というものは自由に書いていいものだという基本に戻り、あえて有名でない短編を分析していく。

  • 筒井康隆先生が欧米の文豪、作家の短編をとりあげて
    分析・解説している。

    しごくまじめな短編の講義なので
    筒井ファンは物足りないと文句言ってるだろう
    ということを筒井先生はよ〜くわかっていて
    ラストに紹介しているオーストラリアの作家
    ローソンの「爆弾犬」はえらく面白い
    スラップスティックである。
    映像化してる人、いるんじゃないかな。

    短編好きとして学びの気持ちで読んだが
    単純に面白かった。

  • 爆弾犬の章の書き出しの筒井康隆節がすごく好き。

  • ためになったよー

  • 短編小説とは何か?
    それを作家筒井康隆さんがわかりやすく講義してくれています。

  • [ 内容 ]
    小説とは、何を、どのように書いてもいい自由な文学形式である。
    しかし、短篇小説の芸道化がすすみ、魅力ある作品がますます生まれにくくなっている現在、これから小説を書こうとする人に向け、短篇小説とはどのように書かれるべきか、その手法と書き方について、岩波文庫の古典作品から厳選し、噂の「文学部唯野教授」が大上段に語る10講。

    [ 目次 ]
    1 短篇小説の現況
    2 ディケンズ「ジョージ・シルヴァーマンの釈明」
    3 ホフマン「隅の窓」
    4 アンブロウズ・ビアス「アウル・クリーク橋の一事件」
    5 マーク・トウェイン「頭突き羊の物語」
    6 ゴーリキー「二十六人の男と一人の少女」
    7 トオマス・マン「幻滅」
    8 サマセット・モームの短篇小説観
    9 新たな短篇小説に向けて
    10 ローソン「爆弾犬」

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • これを読めば、短編小説を書くのが上手くなれる!
    …といった本ではないかもしれません。
    ですが、題材にした海外小説についての解説を読んでいて、小説を書くことの奥深さを感じました。
    やっぱり良い小説を書くためには、勉強して知識を集めることも大切なんだなぁ。

  • この本は、初歩の書き手のために書かれた本ではないので、
    書き方が容赦ない。
    たぶんこの本は、著者が自分のために書いた本でしょう。
    ハードルが高いですが、買って読む価値がある本です。

  • 20100404朝日新聞書評

  • 筒井先生、勉強してるなぁ。舞台設定からしてアイデア勝負なSFがルーツの筒井先生だからこそ、文学形式の歴史にここまで自覚的になれるんじゃないかと。他の小説家ってそんなに勉強してるのだろうか?

  • 内容紹介には「これから小説を書こうとする人に向け,短篇小説とはどのように書かれるべきか,その手法と書き方について,噂の「文学部唯野教授」が岩波文庫の作品から厳選し,大上段に語る」
    …とあるがこれはJAROに通報した方がいいような大嘘(笑)
    本文には「小説とは,何を,どのように書いてもいい自由な文学形式である」ともあるがこれも半分は嘘だと思う.少なくとも本当のことは言っていない.

    畢竟本書は,著者本人が,ディケンズやゴーリキー,マン,ビアスといった,過去に数多語られて来たカビの生えたような短編小説群を,どれほど斬新な視点で読み変えられるかに挑む.というのが眼目だろうと思う.つまり先の著者のテーゼは「小説とは,何を,どのように読んでもいい自由な文学形式である」の方が正鵠を得ているのでは.そしてそこに披露される読み方というのがどれも流石ツツイと唸らされる読解で,「これから小説を書こうとする人」なぞが読んだが最後,自分の菲才に打ちのめされることになるだろうから全く推奨できない名著にして毒書.

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著者プロフィール

筒井康隆……作家、俳優。1934(昭和9)年、大阪市生まれ。同志社大学卒。1960年、弟3人とSF同人誌〈NULL〉を創刊。この雑誌が江戸川乱歩に認められ「お助け」が〈宝石〉に転載される。1965年、処女作品集『東海道戦争』を刊行。1981年、『虚人たち』で泉鏡花文学賞、1987年、『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、1989(平成元)年、「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、1992年、『朝のガスパール』で日本SF大賞をそれぞれ受賞。1997年、パゾリーニ賞受賞。他に『家族八景』『邪眼鳥』『敵』『銀齢の果て』『ダンシング・ヴァニティ』など著書多数。1996年12月、3年3カ月に及んだ断筆を解除。2000年、『わたしのグランパ』で読売文学賞を受賞。

「2024年 『三丁目が戦争です』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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