憲法と天皇制 (岩波新書)

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著者 : 横田耕一
  • 岩波書店 (1990年7月20日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004301295

作品紹介

昭和天皇の逝去ののち、戦争責任発言への威圧や代替わり儀式、そして学校教育における君が代・日の丸の強制は、天皇制度のあり方と日本国憲法との間に新たな緊張を生じさせている。開かれた議論を求めて、憲法上の天皇の地位、国事行為と公的行為、元首化、皇室祭祀、マスコミ報道など、象徴天皇制をめぐる諸問題を整理・検討する。

憲法と天皇制 (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 「憲法と天皇制」横田耕一著、岩波新書、1990.07.20
    244p ¥520 C0232 (2017.12.29読了)(2017.12.21借入)
    民主主義と天皇というのは、両立するのかという疑問があります。国民はみんな平等の権利と義務があるというのが、民主主義と思われるのに、天皇は職業選択の自由などがありません。世襲によって天皇になることになっています。日本の伝統であり、日本の文化の源流なのだから、守り育ててゆくべきなのだということなのでしょう。
    現在の日本は、立憲主義ですので、天皇についても憲法等で規定されています。太平洋戦争に負けて、憲法が新しくなって「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。」となっています。
    天皇の仕事は、「憲法に定める国事に関する行為のみを行う」となっています。
    現実に行われている天皇の仕事や国民と天皇との関係は、この憲法の規定に合致しているのかどうなのかというのが、この本の内容です。
    この本を読んでいると、憲法に合致していないことが実にたくさんある、ことがわかります。それでいいのでしょうか。特に、明治憲法から新憲法に代わり、天皇が統治する国から国民主権に代わったはずなのに、天皇を神として敬う意識がそのまま続いており、それを意識的に強化しようとしているように見えるところが気になります。

    【目次】
    はじめに
    一 制度としての象徴天皇制
    1 象徴天皇制の二つのとらえ方
    2 象徴天皇制の法的位置づけ
    3 象徴天皇制の制度的内容
    4 国事行為の限界
    二 象徴天皇制の歴史
    1 概観
    2 天皇制の動揺と象徴天皇制の成立期
    3 象徴天皇制の定着期
    4 象徴天皇制の開花期
    5 象徴天皇制の再編期
    三 天皇の権威強化を支えるもの
    1 国事行為が生む権威
    2 実質的元首化
    3 広汎な公的行為の展開
    4 丁重に遇される地方旅行
    5 行政・立法の長に優越する天皇
    6 シンボルの活用
    7 天皇を敬愛する心を養う学校教育
    8 自衛隊との結合
    9 神道による天皇の権威化
    10 天皇の権威を強化するマスメディア
    11 天皇を特別扱いする裁判所
    12 「右翼」によるおどかし
    四 代替わり儀式と象徴天皇制
    1 代替わり儀式と法
    2 「践祚」関係儀式
    3 大喪の礼
    4 即位の礼関係儀式
    五 象徴天皇制と人権
    1 自由権の侵害
    2 平等原則に反する諸差別
    参考文献
    関連条文

    ●天皇の国事行為(21頁)
    十二の国事行為は、内閣総理大臣の任命、最高裁判所長官の任命、憲法改正・法律・政令・条約の公布、国会の召集、衆議院の解散、総選挙施行の公示、国務大臣等官吏の任免と全権委任状・大使および公使の信任状の認証、大赦等の恩赦の認証、栄典の授与、批准書・外交文書の認証、外国大使・公使の接受、儀式を行うことである。(19頁)
    天皇は、憲法の定める国事行為「のみ」を行うと規定されているので、公的には右(上)に列挙した国事行為しか行うことができないはずである。しかし、現実には、天皇が象徴であることや、公的存在であることを理由として、国事行為でも私的行為でもない「公的行為」を天皇は大量に行っている。
    ●元首(26頁)
    内においては行政の長であり、外において国を代表する者(条約締結権などを持つ者)を指して元首とするのが通常の説となった。
    現在の天皇は行政の長でもなければ、国を代表する者でもないから、元首ではない。
    ●君主(27頁)
    一般的には、①世襲であること、②統治権を名目的にせよ持つこと、③対外的に国を代表すること、が君主の要素とされてきた。この定義からすれば、天皇は、①の要件を満たすだけで、右に述べたように③の要素も希薄であるので、君主とは言えない。
    ●内奏(94頁)
    旧憲法時代には、統治権の総攬者たる天皇に対して、その判断を仰ぐために閣僚や統帥部首脳が報告・説明する上奏ないし奏上と呼ばれる行為を行っていたが、現在行われている広義の「内奏」の慣行は、過去の上奏等を彷彿させ、天皇がいまなお統治の中枢にあるかのような印象を生み出している。
    ●「君が代」(117頁)
    「君が代」は現憲法の下での国歌としてはまったく不適当な歌で、それを公的に歌ったりすること、ましてやそれを強制することは違憲であると判断される。
    ●菊花紋章(119頁)
    パスポートの表紙に菊花紋章が使われていることは、あたかも私たち国民が天皇の臣民で、天皇に包み込まれているような印象を生み出している。

    ☆関連図書(既読)
    「我々にとって天皇とは何か」エール出版社、エール出版社、1971.09.30
    「君は天皇を見たか」児玉隆也著、ZERO BOOKS、1975.02.10
    「天皇とマスコミ」松浦総三著、青木書店、1975.11.15
    「文芸春秋と天皇」松浦総三著、晩声社、1977.10.15
    「天皇制の深層」上山春平著、朝日選書、1985.06.20
    「象徴天皇」高橋紘著、岩波新書、1987.04.20
    「天皇裕仁と東京大空襲」松浦総三著、大月書店、1994.03.01
    「昭和天皇独白録」寺崎英成・マリコ・テラサキ・ミラー著、文春文庫、1995.07.10
    「「日の丸・君が代」の話」松本健一著、PHP新書、1999.12.06
    「靖国問題」高橋哲哉著、ちくま新書、2005.04.10
    「昭和天皇とワシントンを結んだ男」青木冨貴子著、新潮社、2011.05.20
    「国家神道」村上重良著、岩波新書、1970.11.27
    「国家神道と日本人」島薗進著、岩波新書、2010.07.21
    (2018年1月4日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    昭和天皇の逝去ののち、戦争責任発言への威圧や代替わり儀式、そして学校教育における君が代・日の丸の強制は、天皇制度のあり方と日本国憲法との間に新たな緊張を生じさせている。開かれた議論を求めて、憲法上の天皇の地位、国事行為と公的行為、元首化、皇室祭祀、マスコミ報道など、象徴天皇制をめぐる諸問題を整理・検討する。

  • 配置場所:摂枚新書
    請求記号:313.6||Y
    資料ID:59001347

  • 天皇制に対しては人それぞれさまざまな思いがあるだろうが,そこは差し置いて,書名の通り“憲法と天皇制”について考察された一冊,決して天皇制批判のための本ではない。そして天皇制については色々考えさせられる一冊となろう。

  • 天皇制全般について憲法の視点から違憲判断を突きつけていく主旨の書籍。

    基本に「天皇制は違憲」という著者の結論があって、それを主張するだけでそのことの証明がなされているとは言えない。

    一部は「指摘されればなるほど」と理解できる部分もあった。
    また、天皇制に対するタブー意識についても概ね同意できる。

    天皇制度のみならず、皇室行事全般まで踏み込んで憲法に基づいた判断を行っている点については目新しい。

    しかし、天皇制や事例に対する事実誤認や決めつけが多数あり、残念。
    また、その項で違憲判断するためにか知らないが、著者の主張というか意見を書籍全体を通してみた場合に所々食い違っている箇所も見受けられた。

  • 日本国憲法と象徴天皇制の矛盾点を明らかにしようとする著作。

    ほとんどの論点において作者の結論が先行し、具体的根拠を示さないまま、「違憲」判断を下していくのが本書の欠点。
    大嘗祭などの儀式を政教分離原則の立場からとらえ直すという観点は歴史学の発想ではあまり出てこない憲法学ならではの発想か。

    全体の印象としては、日本国憲法を引き合いにだして、天皇と天皇制に対する嫌悪感を吐露している論考だと言える。

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