本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784004301530
みんなの感想まとめ
ヨーロッパの多様性と統一性を深く探求する本書は、長年の滞在を通じて得た著者の豊かな洞察が光ります。著者は、各地域の独自性がどのように形成され、いかにして「生き続けてきた実体」としてのヨーロッパを理解す...
感想・レビュー・書評
-
しばらくほっておいたこのブクログに、もう一度戻って来ようと思わされた本。欧米の大学で深く研鑽を積み、ヨーロッパ各地に長年滞在していた著者ならではで、頭とからだが密接に結びついている。「ヨーロッパという『生き続けてきた実体』は、理論ではないのである」(172頁)。いかに自分が「理論」(それも非常に偏した)によってしか見ていなかったかを思い知らされた。理論=教理の面だけで捉えるならば、カトリックは文字通り「箸にも棒にもかからない」。しかしそれは彼らの現実の生を知らない「こちら側」(アングロアメリカ福音主義プロテスタント)から見た姿に過ぎない。聖書学を専攻したカトリック者である著者の、深い神学的・聖書的洞察が、ヨーロッパ(の地域・国によって多様ではあるがある統一性を持った、人々の具体的な生の現実)を2000年にわたって形成してきた、カトリシズム(普公性)の核心について目を開かせてくれた。イギリス・フランス・ドイツ・イタリアからオランダやチェコにいたるまで、大小さまざまな国が各章で扱われているが、圧巻は「聖母の花輪」の章。教会暦や聖母マリアの意義について書かれている。それらがいかに人々の具体的な生活に根ざしていることか!他者(他文化、他宗派、他宗教)と出会うこと、それも抽象化された思想(教理)だけではなく、生きた実体と出会うこと、これなしに本当の意味での知識=教養を得ることはできないのだと思う。そのような他者を知ることによってはじめて、自分が何であるか、自分の受け継いできた考え・生き方・信仰がどのようなものであるか、考えることができるだろう。ヨーロッパについて関心ある人はもちろんだが、何よりも、アメリカ流の信仰を(良くも悪くも)強く受け継いでいる福音派キリスト者に読んでもらいたい。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最近やっと興味を持ち出したヨーロッパについての本。良く出来た本。ヨーロッパに長年滞在した著者が深い洞察力と慈愛を持って書いたことが窺える。
-
『私たち日本人はヨーロッパを正しく知っているだろうか。ヨーロッパが育み、実らせたものの本質とは何か。アルプスの北と南で、樅の森の東と西で、立ち現れる様々な表情の奥に息づくギリシア・ローマ文化とキリスト教。在欧三十年に及ぶ著者の経験と出会いを通して、今や世界の熱い注目を集めるヨーロッパの多様性、風土、その心を語る。』 (カバー見返しより)
『ギリシア・ローマからEC統合まで
脈々と息づく
ヨーロッパの魂とは?
日本が明治以来抱きつづけた対ヨーロッパの、こっけいな劣等感と、経済的に飛躍したのちは手の平をかえしたかのこれまた大して理由なき優越感は、最もヨーロッパらしからぬときの姿の、ほんの表面をなでさすって「知った」と思い込んだ誤謬から生じている。(本書「プロローグ」より)』(帯より)
犬養道子は『フリブール日記』や『私のスイス』でスイスファンには有名であるが、これらスイス関係の著書は略歴にはまず紹介されることはありません。やはり「犬養基金」を始めとする難民救援活動等で一般には知られており、著書としては『人間の大地』や『1億の地雷・ひとりの私』、処女作の『お嬢さん放浪記』等が紹介されることが多いです。
熱心なカトリック教徒として知られる著者は、なぜか女子学習院の出身ですが、祖父の進めで入学したそうです。思いのほかリベラルな校風だったらしいです。この方の祖父は515事件で青年将校に暗殺された「話せばわかる」の犬養毅首相です。戦後は米国、フランスでカトリシズムを学んで長い期間を欧州各地で過ごしています。欧州には三十年近く滞在し、激動の時代をカトリックの活動を通じて直視し、その本質、あるいは悲惨な面を雑誌のレポート等を通じて日本にも伝えてきました。全体主義の大崩壊は、日本人を含めた全世界の目をヨーロッパに向けさせましたが、その後ほどなく著者は欧州を離れています。
この本は著者の滞欧時後期に書かれたものであり、ベルリンの壁の崩れた翌々年、マーストリヒト条約が結ばれた年に発行されています。内容的には欧州各国の「心(=本質?)」を著者独特の語り口でレポートするものですが、さすがに著者の様々な知識・思いが錯綜する文を一読しただけで理解するのはなかなか難しいです。再読三読して味わうべきでしょう。
スイスについてはオランダと共に「小さな国々」という章に入っており、その2節に「おきあがりこぼし」という題名で語られています。著者本人にとっては住みやすい国というスイスに対する賛美が綴られますが、著者としてはけして手放しに擁護しているわけではなく、ちゃんと理由をあげてスイスへの批判(「銀行のダーティー・マネー守秘」、「警察国家」や「外国人労働者への不遇」等)に反駁しています。これを読むとよほどスイスが好きなんだな、と思ってしまいます。
確かにスイスに住んでいた頃、他国に出張や観光で行くと、そのいい加減さに怒りを通り越して笑えてきたことも多かったです。スイスに戻るときっちりとした対応のスイスという「システム」にほっとしたことを思い出します。ただし、個々人の受け止め方はまったく違うだろうし、そう感じない人もいるでしょう、私も今なら逆に堅苦しいと思うかもしれません。
「おきあがりこぼし」の意味は、ボトムヘビーな主権構造を持った連邦国家であるスイスはちょっとやそっとの打撃では倒れたりしないよ、と言う意味です。 -
昨今の風雲急を告げる欧州を見て再度手に取る、毎回同様で芸が無いですが全く内容を覚えていない、、、
まぁそれはどうでも良いですが、うーん、この本自体がEnglandで否定されたliberalism、もっと突っ込めばestablishmentそのものの発想の産物かな、という気がする。
当方としては、この本の主張は基本的には正論(幾つかははぁっ?って思うところもあることにはあるのですがそれはひとまずさておき。)だと思うんだけれども、この思考回路を良しとしない民が半数を占めていて、もう我慢ならんとその旗幟を鮮明にした現実は極めて深刻。世界平和は遠くに也にけりです、ほんと。 -
長年ヨーロッパに暮らしてきた著者が、ヨーロッパの文化と風土について語っています。
イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、スイスなど、各国の精神の特色を掘り下げています。また、プラハの春で深く心に刻み付けられた傷を語る女性との対話を通して、西欧諸国だけを見ていてはあまり見えてこない、ヨーロッパの精神が経験した歴史の闇の一面に触れています。
また最終章では、ヨーロッパを訪れた人びとが一様に感じる多様性の背後に、ギリシア、ローマ、キリスト教というヨーロッパの根幹が存在していることが語られています。とくにカトリシズムが、ローマ時代から宗教改革の時代を通って現代に至るまでヨーロッパの精神的支柱の役割を果たしてきたことが論じられています。
著者の深い教養に裏打ちされた、格調の高いヨーロッパの紹介です。 -
[ 内容 ]
私たち日本人はヨーロッパを正しく知っているだろうか。
ヨーロッパが育み,実らせたものの本質とは何だろうか。
アルプスの北と南で、樅の森の東と西で、立ち現れる様々な表情の奥に息づくギリシャ・ローマ文化とキリスト教。
在欧約三十年に及ぶ著者の豊富な経験と出会いを通して、ヨーロッパの多様性、風土、その心を語る。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
赤153
著者プロフィール
犬養道子の作品
本棚登録 :
感想 :
