戦後ドイツ―その知的歴史 (岩波新書)

著者 : 三島憲一
  • 岩波書店 (1991年2月20日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004301585

作品紹介

分断から統一へ-。廃墟からの出発、ユダヤ人虐殺の衝撃、ナチズムとの訣別、驚異的な経済復興と急成長、統一後の巨大国家。戦後ドイツ社会の変貌は知識人の精神にも大きな変遷を迫り続けた。ハイデガー、トーマス・マン、アドルノ、ハーバーマスらの言動はどのような影響を及ぼしたのか。複雑に展開した政治・社会・文化を克明に描く。

戦後ドイツ―その知的歴史 (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • ブラントが昨日死亡したということで戦後のドイツが終わったような気がする。ドイツではいいことばかりが書いてある本が多いので、これはドイツを知るいい歴史書である。

  • 知的であること知的でないこと。その対立(ときに混乱)は難しく予想しないダイナミズムを産む。

    ・愛する物が死んだとき、もしもその愛が相手の特性を本当に愛する性質のものであったら、まずは絶望に襲われる。なんとかその死を認めまいとする。あるいは幻想のなかで蘇らせようとする。だが、時とともに現実を認め、自分を立て直す。それは成熟の過程である。これこそ哀悼という大変な仕事である。ところが元々の愛が単に自分の満足感のためだけであったら、愛する者の死は自己の価値への不信、自己の喪失感を生むだけ。
    ・アドルノ『本来性の隠語』
    ・ハイデガーではもはや存在しない静かな日常風景が「本来的」とされている。この生活シーンの中で労働社会の現実が無視され、家庭の権威主義がそのまま肯定されている。
    ・中年以上のドイツ人外交官などにハイデガーをよく読んでいることを自慢する人が多い。
    ・ハーバマス『公共性の構造転換』。文学や芸術を論じる場は政治的な起爆力を持つ公論の場へと発展し、市民社会の批判的な世論が形成される可能性を宿している。
    ・ゲーテ賞からビュヒナー賞へ。普遍的人間の理想から政治的社会的存在としての具体的な人間へ、美しい言葉の転句からこの世の権力被害者へ、手厚い保護の元で夢見られたオリュンポスの世界から反抗と亡命へ、伝統からの負託に関する解釈が転換した。
    ・ホルクハイマー「資本主義にファシズム化の傾向があることを知ってしなければならないのと同じように、左翼急進主義がテロリズム的全体主義に逆転する危険性があることも意識していなければならない」
    ・ハーバマス「耐え難いものが、未だ名付けられず、定義を持っているところでは、つまり、不正がまだ明白に表に出ておらず、大衆の反応としての憤激が存在しないところでは、革命的標語よりは啓蒙が優先すべきである」
    ・中国の文化大革命の影響もあって、頭脳労働と肉体労働の区別も目標となった。観念性から脱出し、頭でっかちを乗り越えようとする仕方そのものが観念的で頭でっかちである。

  • ズバリ戦後ドイツ。
    「アウシュヴィッツ以後、詩を書くことは野蛮である」
    この一言に代表される左翼知識人の繁栄と衰退を日本の左翼的視点からちょっと悔しそうに書いたもの。
    西ドイツは自国の過去を全否定して、歴史を持たないリベラルな国家としての実験場だったが、それが、ベルリンの壁崩壊をもって失敗して普通の国になりましたというような内容。
    敗戦国というのは物理的精神的に色んな物を失い、取り戻すのに時間がかかるのだなと、ドイツを通して日本を振り返らせる内容。

  • 戦後ドイツの思想潮流の変遷を政治史・社会史との関連から解説してある。ドイツ思想に絶えずついて回る、アウシュビッツ以降の思想という問題がいかに論じられてきたかを理解することができる。

  • トーマスマンが、ドイツにもどらかなかったが、講演はしたとのこと。
    ハイデガーの章があるなど、戦後ドイツ著名人という感じの作りになっている。
    それ以外は、いろいろかかれていても、ちょっとピンと着ませんでした。

    ミュンヘンのドイツ博物館は素敵だと思ったのですが、
    そういう切り口は用意していないようです。

  • 戦後ドイツの社会状況と哲学?つうか思想系の流れとを絡めて書いてあって、1回目読んだときは修論に役立ちそうだと思っていたのに、2回目読んだらどこが役立ちそうだと思ったんだったかわかんなかった。
    というわけでたぶん使わない…

  •  戦後ドイツ国民の苦悩が、西ドイツ側について、書かれている。ドイツは、ソ連、アメリカ、イギリス、フランスの4カ国による占領から、西と東に分かれた経緯があった。
     戦争の正当性やドイツという国家、国民がそれぞれ、素通りしたくても出来ない状況や真正面から当たれない弱さや世代間の認識の差など、戦後に多くの議論を生んだ上に現在が成り立っていた。
     また、統一したあとも手放しでは喜べない状況もあったことが判り、止まることも進むことも許されないような、非常に困難な状況を持って、今日も進み続けていると思う。
    ◆図書館

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