俳句という遊び―句会の空間 (岩波新書)

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レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004301691

感想・レビュー・書評

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  • これまで俳句を作ったり、句会の知識がなかったのですが、ひょんな事から故郷の友人とネット句会をやることになり、この本を手にしました。

    現代俳句は、句会である連歌から離れて、発句の五七五が独立し、さらに俳句の活字化に伴う結社誌の普及等により、コミュニケーションという形を捨てた文芸に変質した。
    また和歌も平安朝では、イスラム原理主義のような男女が隔離された状態での、男女間のコミュニケーション・ツールであったのが、近代以降その機能が失われた文芸へと変質している。
    これらから我が国の文芸がコミュニケーションの媒体として発達した事は面白い現象だと思う。そして橋本治流の言い方だと、「生活のツールから芸術へ堕落した」と。

    本書は俳句本来のコミュニケーション機能を戻そうとする野心的な試みを狙っているか否かは分からないが、結果として、その目的を果たしていると思う。
    内容は流派を超えて、当代きっての8人の俳人が句会を開き、その実況中継という感じで展開していく。
    初日は全員が何となくぎこちなく、それぞれが緊張した感じが、そして二日目になり、やっと緊張感から解放された感じがよく伝わってきます。
    そして、その句会を実況中継することにより、現代の俳句が失っていたコムニケーション・ツールとしての面白さを十分に堪能させてくれます。
    俳句に興味のある方にはお勧めの本です。

  • 私はこのシリーズに、本作の続編である『俳句という愉しみ ―句会の醍醐味―』から入ったので、1作目のこの本を、2作目と比べて「カタいなぁ(笑)」と思ってしまった(^^;)。

    参加する俳人たちも、進行役の2人も、すごく緊張している様子が伝わってくる(笑)。。
    いやはや、皆さんここまで緊張されていたとは。『俳句という愉しみ』の和やかな雰囲気は、この1作目があったからこそできたものだったね。

    なので、もしこのシリーズをこれから手に取られる方には、ぜひとも2作目まで読まれることをおすすめする。この1冊でも十分「俳句という遊び」の世界を垣間見ることができると思うし、楽しめるとは思うのだが、ちょっと肩の力が抜けていない感があるので。

    でも、この句会で一番緊張していたのは、実は俳人のみなさんではなく、著者の小林さんだったんじゃないかなぁ。。
    ・・・などと、こっそり思っていたりもします(笑)。

    • yuu1960さん
      「ひとりの夜を短歌とあそぼう」(短歌はプロに聴け 改醍)角川ソフィア文庫は読みました?
      本の雑誌に穂村、東、沢田の3氏の発売記念トークイベン...
      「ひとりの夜を短歌とあそぼう」(短歌はプロに聴け 改醍)角川ソフィア文庫は読みました?
      本の雑誌に穂村、東、沢田の3氏の発売記念トークイベントの模様が載ってました。
      2012/03/14
    • 抽斗さん
      それが、まだ読んでないんです(><;;)。
      書店の店頭で見て「!!!」となったのですが、購入してすらいなくて・・・。
      本の雑誌も最近ご無沙汰...
      それが、まだ読んでないんです(><;;)。
      書店の店頭で見て「!!!」となったのですが、購入してすらいなくて・・・。
      本の雑誌も最近ご無沙汰で全然読んでおらず、とにもかくにも時間がぁー、と叫んでいます(^^;)。

      でも、遠からず読みたいと思っています。なんといっても、そのお三方のおかげで私は短歌を知ることができましたので!
      2012/03/15
  • まだまだ勉強が足りませんなあ。。。笑

  • 千野帽子「俳句いきなり入門」経由で知る。句会のドキュメンタリ。プロどうしの句会なので、千野の提案するスタイルよりもかなり重いが、読み応えある。

  • 句会の実況中継という試みが非常に面白い。また最高の俳人たちの句をまとめて読めるのも面白い。選句に参加できるのは非常に勉強になる。しかも正選・逆選双方を経験できるのがとても良い。「論外」などと言われる措辞から改めて日本語を学ぶことができる。

    いろいろと面白く勉強になって驚く。そして小林恭二によるエピローグもまた良い。小林恭二によって提供される批評のモチーフだけでもって、たとえば落語や、あるいはラグビーなんてものも「面白く」評することができそうだ。

    本書も続編もいずれも絶版なのかもしれないけれど(ぼくは古本屋で買った)Amazonなどにも出ている様子。俳句の本はいろいろと読んできたつもりだったけれど、こんな大物を読みそこねていたのかと恥入る次第。

  • [ 内容 ]
    春爛漫の甲州に八人の俳人が会した。
    飯田龍太、三橋敏雄、安井浩司、高橋睦郎、坪内稔典、小沢実、田中裕明、岸本尚毅―。
    当代一流の技量を有する俳人たちが、流派の別を超えて句会を開いた。
    これはその句会録である。
    うちとけた中にある厳しい雰囲気、俳句を媒介にした上質なコミュニケーション、この「遊び」こそ俳句の醍醐味なのである。

    [ 目次 ]
    句会の空間
    ある俳句史―飯田龍太と三橋敏雄
    句会の醍醐味
    句会とは何か

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    [ 参考となる書評 ]

  • 面白くて面白くて、句会の魅力にどっぷりはまってしまった。
    それというのも今回の句会が、遊び心のある文化的なコミュニケーションだったからなのだ。個人で完結された一句の世界観を、其々の感性や教養で広げるというコミュニケーション、最高である。
    たった17文字、されど17文字。
    ぎっしりみっちり詰まった一句は、多くの人と共有することによって、より光ったりくすんだり、生っぽくなるのだと思った。

  • なるほど、目ウロコ。高一の国語あたりで副読本なら良かったなあ。
    たしかリトルモアの社長が、アーティストをえらいと思ったことなんかない、受け手が、高度な受け手がいなければ、なにひとつ成立しないから、ってどっかで言ってたけれど、全員が詠み、読む、句会というシステムでは、この手のそもそもの上下関係が固定されないんである。需要と供給ではない、まさに「遊び」です。文芸にこういう成立の仕方があることは、なるたけはやく知れるといいなあ。

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