臨床の知とは何か (岩波新書 新赤版 203)

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  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004302032

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  • この本は,内容の上では二部構成である.前半は広義の臨床の知,つまり現場の知とも言い換えられる事柄を扱い,後半のV章「医療と臨床の知」以降の2章が狭義の (医学的) 臨床の知について述べている.

    前半の内容は,現在では常識化して今更と思った事もそこそこあるが,疑義を差し挟むような事柄はあまりなく,論理の流れも明快である.特にマルチン・ハイデガーの『放下』で述べられている結論のショボさについては頷かされた.

    それが一気に明快でなくなるのは後半で,どうにも歯切れが悪い.医療の現実に対する門外からの感想文,という体である.このあたりが,臨床を唱えながら臨床に身を置かずに生きる筆者の立場の限界だろうか.

著者プロフィール

1925年、東京都出身。哲学者。明治大学名誉教授。東京大学文学部卒業後、文化放送に入社。その後、明治大学法学部教授を長く務めた。西洋哲学をはじめ日本文化・言語・科学・芸術などに目を向けた現代思想に関する著書が多数あり、主要著作は『中村雄二郎著作集』(岩波書店、第1期全10巻・第2期全10巻)に収められている。山口昌男と共に1970年代初めから雑誌『現代思想』などで活躍、1984年から1994年まで「へるめす」で磯崎新、大江健三郎、大岡信、武満徹、山口昌男とともに編集同人として活躍した。

「2017年 『新 新装版 トポスの知 箱庭療法の世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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