子どもと学校 (岩波新書 新赤版 212)

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  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004302124

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  • ▼福島大学附属図書館の貸出状況
    https://www.lib.fukushima-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/TB20191824

    臨床心理学の第一人者河合隼雄の多数ある著作の中で入門書としておすすめします。

    (推薦者:人間発達文化学類 青木真理 先生)

  • あの教育方式のようなお揃いの性格にしようとせず、一人ひとりの性格に合わせた、素直ですっきりした生き方を手に入れられますようにと思った。子が起こす問題は、親の子への理解を深めることもできる。子供へのストーキングじみたことではなく、自立力のサポートを考えられるなら。

    遊べば、人生の活動が強化される。画一的な方法を学ぶことは個の一生にならない。大人がこれを奪ってしまう。同じ生き方が仲良くできると考えるのは大間違いで、現在では差別のようになってしまう。方法の柔軟性に長けること。積み上げではなく流れ続けること。

    なぜ学校に所属している時期にだけ学ぶことになっているのか?子どもの自発性を無視することは不自然な添加物な成長だろう。積極的に学べるものと出会えることが学びの時期の第一の目的。

    創造が苦手な人に教育を任せるのは恐ろしいことだ。製造されてしまう。『関心を持って見守る』創造と生成がある。実用的な心理学では危険で、精神分析が根強いのは「性の扱い」人には性があるはずなのに、それ語れないものが語ることは現実ものではない。

    「コンプレックス」「子どもの宇宙」「子どもと学校」 河合隼雄 岩波新書

    の三つはセットで読んでよかった。読んでよかった。心やさしい時代があったと思えた。いまの理屈社会はむごい。携帯電話の頃から始まり、ネットに影響されているのだろう。やめた方がいい。共有の基礎はあっても、地べたの考え方は他者の真似ではいけない。教育が必要なのはこういう人だと思う。

  • 子どもと教育

    目次
    1 教育の価値を見直す
     1 教育における「価値」
      価値の一様性
      多発する問題
      「問題」の受けとめ方

     2 「臨床」の視座
      盗み
      見方を変える
      「臨床」ということ
      病いの意味
      遊びの重要性
      死からの展望
      価値の多様性

     3 教育のなかの二つの原理
      父性原理と母性原理
      原理の混乱
      何によって教育を考えるか
      父性の本質
      原理を深める
      教育の創造性


    2 大人が子どもにかかわること
     1 「教える」と「育つ」
      教育とは何か
      「個性」は何を必要とするか
      教師の判断
      臨床教育学の成立

     2 「教育」はいま
      現代における教育の課題
      教育を考え直す
      放任の害
      学ぶ側の視点から
      個性と教育
      日本人と個性
      「個性的」であること
      創造活動としての教育
      考える道徳
      創造活動の意義

     3 「女性の目」、「男性の目」
      教育現場において
      客観的観察の問題
      創造過程としての子ども
      「男性の目」、「女性の目」
      新しい保育学

    3 教える側、教わる側
     1 幼児の成長と教師の役割
      幼児の教育とは何か
      遊びの意義
      関心をもって見守る
      楽しさを見出す
      育てることの難しさ
     
     2 日本文化のなかの教師と生徒の関係
      文化のなかの教育
      教師と生徒の関係
      「発見的」過程としての授業
      教師の個性とは

     3 体育と笛
      笛を吹くことの意味
      管理と表現の関係
      「み」の教育
      だれのための笛か
      

     4 不登校の「処方箋」
      不登校の種々相
      いろいろな要因
      行きたくても行けない子
      どんな「処方箋」があるか
      何が欲しいのか
      さなぎの時期
      自立と依存
      社会の変化の速さ
      未来に向かって
      静かな革命
      教師として
      

    4 こころが育つ環境
     1 子どもの倫理と道徳性
      子どもの目
      子どもは見ている
      道徳とは何か
      生きることのなかで
      人格発達と道徳性
      教師の態度
      壁としての道徳
      壁のもつ意味
      国際化がもたらしたこと
      道徳性の創造
      
     2 性の理解と教育
      性非行
      自立への過程
      つなぐものとしての性
      性の破壊性
      性の教育
      性心理の発達
      

     3 思春期の心理
      思春期の難しさ
      生徒の信頼を得るために
      学校全体の姿勢

    あとがき

  • 以前読んで、そのまま本棚に並んでいたものを再読した。河合隼雄氏の教育に関する本である。
    以前、いつ読んだのかも忘れたし、本書の内容もすっかり忘れていたため、新たな気持ちで読んだ。
    タイトルから、学校制度に関する内容かと思ったが、そうではなかった。臨床心理士としての河合氏の経験から、子どもをどう見つめるのか、また教師は子供をどう見つめるべきなのかを論じた本である。すなわち、『子どもと教師』とした方が良さそうな本である。
    著者自ら「あとがき」に記しているが、大所高所から教育制度を語るのではなく、小所低所から子どもの内面を見つめている。すなわち、鳥の目ではなく、虫の目で論じている。
    そして、本書の中で最も私の目が開かれたのは、「男の目と女の目」を論じた部分である。すなわち、分断の父性と包含の母性の話である。
    内田樹氏は、父性は人よりも優れていることを望み、母性は人並みであることを望む、と言ったが、まさにそのことが明確に書かれており、納得した。

  • 1992年刊行。いわゆる教育社会学とは異質の印象論にとどまり、数理的・再現可能な論とは趣きを相当異にする。悪書ではないが、個人的には、認知心理学の知見か教育社会学的観点からの書でなければ興味が沸かず、食指が動きにくい。それほど、経験談が役立たないほど教育・子育ては多様だと言うこと。

  • 教育福祉学科1年の方

    「毛虫が蝶になる必要があるように、人間にもある程度「こもる」時期が必要である。思春期から青年期にかけて、ほとんどの人に、それは何らかの形でやってくる。「さなぎ」状態が他の子どもよりきつい形になると、不登校になり、文字どおり部屋にこもるようになる。大切なことは、それを尊重して「待つ」ことである。」

    資料ID:C0023975
    配架場所:2F新書書架

  • Ⅰ教育の価値をみなおす
    1教育における「価値」
    2「臨床」の視座
    3教育のなかの二つの原理
    Ⅱ大人が子どもにかかわること
    1「教える」と「育つ」
    2「教育」はいま
    3「女性の目」、「男性の目」
    Ⅲ教える側、教わる側
    1幼児の成長と教師の役割
    2日本文化のなかの教師と生徒の関係
    3体育と笛
    4不登校の「処方箋」
    Ⅳこころが育つ環境
    1子どもの倫理と道徳性
    2性の理解と教育
    3思春期の心理

    小1の詩p158-159
    「人」
    えらい人より/やさしい人のほうがえらい
    やさしい人より/金のない人のほうがえらい
    なぜかというと/金のない人は
    よくさみしいながで/よくいきているからだ

    道徳は教師が子どもから学ぶ教科

  • 問題児の排除・画一的な教育方針により、子供から自由や活発性が失われています。

    ある問題に対し、原因を探り、問題点を抽出します。
    そうして、結果が見え、さらなる課題へ繋がっていくことが大切です。

    「早く、とりあえず」ではなく、「丁寧かつじっくりと」が教育に求められていると感じました。

    ※現在の教育現場を見ると
    ・教職員の仕事量の増大
    ・非常勤講師の増加等

    子供達を教育する側も疲弊している点も見逃せないです。

  • 図書館有

  • 子どもの成長において、ひとつの事象の意味を多面的に見て、いかに「見守る」かが大切。その中で子どもは、揺るがない安心感の下、自由に考え遊び、行動し、創造性を培っていく。また、多面的に見ることで、様々な問題解決にもつながる。

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