酸性雨 (岩波新書 新赤版 230)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004302308

作品紹介・あらすじ

森林が突然枯死し、湖から魚たちが消え、自由の女神が溶けていく…。いまや酸性雨は欧米のみならず日本や中国、アフリカ、さらには北極海まで世界中に降り注ぎ、深刻な被害をもたらしている。90数ヵ国を訪れた著者が現状を報告し、同時に酸性雨に立ち向かう市民運動の活躍を伝える。私たちの生活を問い直させずにはおかない1冊。

感想・レビュー・書評

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  • 1992年刊。著者は元朝日新聞編集委員。空気中の窒素酸化物・硫黄酸化物の増大の結果、雨、霧の酸性度上昇、直接、森林・植物に対する毀損のみならず、土壌の微生物死滅→生態系破壊、金属の水溶化→土力低下→植物毀損。さらには、湖面・川面における酸性度の亢進→各種プランクトンの死滅と重金属類のイオン化・水溶化→湖面等の生態系破壊→動物死滅といった間接的問題点も解説。また、欧州、北南米、アフリカ等地域毎の実情と環境保全の世界的取組とその抵抗に触れる一方、酸性雨形成の化学的解析と要因にも筆が及ぶ。後者は興味深い。
    が、不明または理解困難な内容も多々。また、少し古い書なのでアップデートが必要だが、少し関心が薄れていないかという危惧もある。本書にある北欧諸国・北極圏を想起するまでもなく、窒素・硫黄酸化物の大気中への撹拌の問題は、一国内の問題ではないからだ。特に、石炭を燃料として利用する隣国がある日本なら、なおのことである。なお、松の如き針葉樹=裸子植物は酸性雨・酸性霧で、葉のみならず、種子と土壌をやられ、いわゆる松くい虫の如き病害虫への抵抗力を失う問題にも注意。杉も類似の問題を抱えているらしい。
    PS.酸性雨の形成メカニズムは判然としない部分が多く、また、森林等の毀損・消滅の要因は多々あって、それらが複合していることは否定できないようだが、その主要因たる大気中の窒素酸化物・硫黄酸化物の増大の要因が非人為的なものということはなさそうである。むしろ、工場排煙、石炭等化石燃料の利用、車等の利用拡大がその主要因だということは否定できなさそうだ。

  • 三葛館新書 519.3||IS

    酸性雨の被害現場で大きなショックを受けた筆者が、実際にアメリカ、北欧、西欧、東欧や南米、アジアまで約90カ国を訪れ、被害や、立ち向かう市民運動の活動を報告。日本でもいよいよ深刻な問題になってくる酸性雨への注意喚起をうったえる。

    和医大OPAC →http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=28359

  • 文字通り、酸性雨に関して書かれている本だが、もう少しわかりやすく表現できたのではないかと思った。

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著者プロフィール

1940年東京都生まれ。東京大学卒業後、朝日新聞入社。ニューヨーク特派員、編集委員などを経て退社。国連環境計画上級顧問。96年より東京大学大学院教授、ザンビア特命全権大使、北海道大学大学院教授、東京農業大学教授を歴任。この間、国際協力事業団参与、東中欧環境センター理事などを兼務。国連ボーマ賞、国連グローバル500賞、毎日出版文化賞をそれぞれ受賞。主な著書に『感染症の世界史』『鉄条網の世界史』(角川ソフィア文庫)、『環境再興史』(角川新書)、『地球環境報告』(岩波新書)など多数。

「2022年 『噴火と寒冷化の災害史 「火山の冬」がやってくる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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