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- Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004302346
作品紹介・あらすじ
「身をたて名をあげ、やよはげめよ」。これを合言葉に誰もが立身出世を夢みて刻苦勉励したのは、もう一つの島国イギリスでも同じであった。ディケンズ、ブロンテ姉妹、サッカレー、ロレンスなどの作品を題材に、教育という美名の陰にひそむ建前と本音を鮮やかに描き出して、1億総中流の幻想にうかれる現代日本人にも鋭い疑問を投げかける。
感想・レビュー・書評
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産業革命を生み、セルフ・ヘルプを唱えたヴィクトリア朝英国の教育が如何なるものだったのかをディケンズ、ブロンテ姉妹、ロレンスを挙げつつ論じる。人を教育する、しかも公的機関が人を教育するという営みに付きまとう偽善に果敢に立ち向かうのは、やはりやくざ者の代表、つまり文学者だった。本著の言葉、「すぐれた文学というのは、何も高邁な理想の松明を掲げ、時代を大胆に先取りしたものばかりを言うのではない。栄光や前向きの姿勢の下の方に、低迷趣味や醜悪・汚穢の暴露というような「かす」や「おり」が、玉の盃の底に沈んでいる。その苦味をも時には味わってみるべきではないか。美酒のうわずみだけをすすって酔っているのでは、人生の本当の味はわからないのだから」。
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