- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004302483
作品紹介・あらすじ
日本的経営、企業系列・企業集団、株式相互持合い、行政指導、労使協調主義…。戦後の経済成長を支えた日本的システムが、いま内外からことごとく問い直され、動揺を見せている。いくら働いても豊かさを実感できず、対外摩擦を深める一方の歪んだ日本経済は、どのように変わりうるのか。『企業買収』につづく鋭い日本診断の書。
感想・レビュー・書評
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ふむ
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欲望や博愛精神を持った個人ではなくて、意思を持たない法人によって所有されているのが日本の大企業の特徴。そこにいる経営者や従業員がしているのは、労働であって仕事ではない。この状況を、大企業からのスピンオフを通して打破し、企業家精神を取り戻さなければなければならないという論旨。 大変古くて、書店では手に入らないと思うが、今読んでも学びが大きいと思う。
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学生時代
もうこの頃とは外見的には、会社というものは変わったと思う。奥村さんの法人資本主義的な会社群は変わらずに存続してるけど、新しく出てきた会社はかなり違うと思うけど、もう一度読み返してみよう。 -
硬いタイトルなだけに硬い内容でした。読むのに少し間があいてしまったことには反省している。
日本の会社はほとんどが法人株主で構成されている。
それにより個人よりも会社が強いという仕組みができてしまっているということを記している。
日本人的な発想と言われている‘大企業思考’の原因はココにあるということがわかる。
印象に残っている点
1、社宅という制度は日本独特のものであることを知る。欧米では、個人が住む住宅まで会社に管理されるのはかなわないという心理と同時に、住宅は公共機関が整備していくという福祉国家の政策があり、社宅制度はない。日本に社宅制度がある理由は、土地は所有者のものという意識が強いからだということがわかった。社宅を建設することは従業員福祉になると同時に、会社の含み資産の蓄積になる。さらにその地は、工場や事務所建設のためにもなるし、投機目的にもなるからとのこと。驚く。社宅は安く住めるよいところだと思っていたが、そんな単純な解釈はまずいということがわかった。これがずっと続くなら日本の格差社会はさらに広がり続けると感じる。日本はやはり法人が優遇されすぎていると感じる。会社に不平を言うつもりはないが、これでは独創的な発想を持つ21世紀に必要な人材が育たないのではないかと感じる。それと、自分は、日本の土地所有者制度があまり好きではない。みんなのもの、とまでは言わないが、地主とそうでない者に生まれたときから差がついているのは、どうかと思うからである。
2、日本の企業の寄付金がアメリカやイギリスへと向けられていることを知る。その理由は、名前を売ると同時に、企業派遣の社員を学生としてこれら大学に迎えてもらおうという魂胆があるとのこと。日本の大学に魅力が無い理由が自分の中でさらに一つ増えた。企業が見捨てているなら、日本の大学はどうなってしまうのだろうか。行く末に不安を覚える。
3、労働(レイバー)と仕事(ワーク)の区別。奴隷は労働をし、職人や芸術家は仕事をしていたという。現在の大企業のもとでは経営者も従業員もすべて労働をしているのであって、仕事をしているのではない、とのこと。仕事を選ぶ年になって、このことはわかっているけど実際には難しいと感じる。殊に日本では、会社本位主義が強いため、大企業に入らないと社会からはじかれている感を受ける。大きな会社で忙しい毎日を送るのが、本当に幸せなのか、きちんと自分なりの答えをださなければならないと感じる。「会社人」から「社会人」へという日本のサラリーマン像の転換。出世主義から友愛主義への転換。この二つ転換が21世紀の希望、という締めはうまい表現だと感じた。