東欧革命: 権力の内側で何が起きたか (岩波新書 新赤版 256)

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  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004302568

作品紹介・あらすじ

一九八九年秋、相次ぐ共産党支配の崩壊という未曾有の政治ドラマのさなかに、各国の権力中枢ではどのような論理と思惑が交錯し、党の幹部たちはどうふるまったか。劇的な変動のあとにやってきたのは何か。現地取材で得られた興味深い証言をまじえて「革命」の真相に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 以下、個人的メモ。

    さすが岩波新書、そしてもっとさすが、記者の著者。読んでいて、一切苦じゃなくて、エキサイティングで止まらない。小説を読むときのように楽しめて、おまけに頭を一気に整理できた。
    ただ、あくまで東欧「革命」を整理するためのサブツールとして割り切る必要はありそうだ。
    タイトルや著者を見て大体予想がつくが、基本的にはアクターの時系列記述中心であり、制度的要因や構造的要因についてはほぼ考察がない。また、書かれた年代がまさに当時であるし、モノとしてはいわゆるルポなので、論文と思ってはいけない。ハンガリーを極端に「上からの民主化」事例として描いているところや、「比較的穏健派」カーダールを政治家として称賛している点などは、反論もあるだろう。カーダールだけではなく、ヤルゼルスキについても好評価、というかもはや英雄視という感じだ。愛国的な人間として描いていて、戒厳令は対ソ防衛のための最小悪であった、という定番の仮説に論拠しており、それに対する反論にはほぼ触れられていない。一方、ワレサは権力への執念に燃える俗物wのように描かれていて、これは逆に、当時の言説としては鋭いのかもしれず、面白かった。なお、ブルガリアの出発選挙における旧共産党の勝因を、国家党の資源力に求めている点についても、(今ではよく言われてることなのかもしれないが)当時としては多分鋭い指摘なんだと思う。さすがバリバリ現地で情報調達している記者さんだな・・・と感嘆してしまった。
    色々ごちゃごちゃ書いてしまったが、確固たるソースとして活用するものというより、頭の整理において非常に有用な「教科書」だと思った。しかも数日あれば読める軽さ。手元に置いておくのも良いかもと思った。

  • 興味を持っていた「東欧」のテーマの本を読むことができた。
    各国それぞれが、それぞれの方法で革命により、共産党政権から離れていく姿は、波や時代の流れがあるとはいえ、決まったルールがない点が印象に残った。
    ドイツは個人的におさらい的に読む予定だったが、一つ一つ出来事を細かく追いながら、東西統一まで読むことができたのは収穫だった。

    大きく印象を受けたのはルーマニアで、チャウシェスクの悪政の打倒は、国民の反対だと思っていたが、内部のクーデターだったことが衝撃だった。

  • 内容としてはあくまで新聞記事の延長線上といったとこでしょうか。その後の各国の動きを追い切れていないので何とも言えないところはありますが、ゴルバチョフの評価が結構高いように見受けられるのはこの時点ではそうならざるをえないのかも。
    何にしろ資本主義の克服を表向きでも掲げた結果が、どの国でも独裁的国家に収斂してしまったという事実は相当に重く受け止めないといけないのかも。国のリーダーシップ等耳当たりの良い言葉には気を付けても行き過ぎってことはないかと。

  • 参考になりました

  • 冷静かつ論理的に書いてあって面白かった。ヤルゼルスキってこういうことをした人だったのか。こんどは民衆側から見た東欧革命を読んでみたい。

  • かつて共産主義の理想に突き進んだ東ヨーロッパの国々の権力崩壊のプロセスがわかる。国によって様々な崩壊パターンがあるが、共産党内部からの緩やかな崩壊を進んだ国と国民の不満が一気に爆発し急な体制転換が成された国では、その後の社会の不安定の度合いが異なってくることが示唆される。革命後の自由選挙ではほぼ共産政権が大敗してることから、どれくらい人々の暮らしが困窮を極めていたかが気にかかる。それぞれの事例の関連を年表などによって整理してくれたら尚よかったと思う。またその後の各国の動向も気になるところである。(2006/12/2読了)

  • 東欧諸国の民主革命のあらすじを理解できるかなり使える本。
    一冊のうちに諸国の改革過程が載っているので、比較するのに最適。写真も的確に使われており、人物=肖像で覚える俺にとってかなり有益!!

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著者プロフィール

1950年生まれ。東京外語大学卒業後、共同通信社に入社。ワルシャワ留学を経て、ウィーン、プラハ、ボンなどに駐在。2008年から2022年まで大妻女子大学教授。著書に『東欧革命』(岩波新書)。訳書に『キューバ・ミサイル危機 上・下』(白水社)など。

「2023年 『経済兵器 現代戦の手段としての経済制裁』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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