ハイデガーの思想 (岩波新書 新赤版 268)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004302681

感想・レビュー・書評

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  • ハイデガーの存在論や哲学観の全体像がよくわかる。カント、ヘーゲル、ニーチェ、フッサールなどの関係性や影響も時系列ごとに綺麗に整理されていて読みやすい。

  • ハイデガーの言う「存在」とは何か。本書はそれを丁寧に説き明かしてくれる。その説明の中で「世界内存在」という概念についてわかりやすい解説が行われている。これらを杖にもう少しハイデガーの思想について勉強していこうと思う。

  • 読もう読もうと思いつつも、難解で近寄りがたいハイデガー。この本は大変分かりやすかった。存在の見方をひっくり返すハイデガーの考えが平易な言葉で読みとかれている。


    存在は、〈それが何であるかということ〉「本質存在」と、〈それがあるということ〉「事実存在」とに区別される。その区別とともに形而上学としての存在の歴史がはじまるのである。

    哲学史全体にわたったハイデガーの思想を考えることをと通して、哲学の根本問題について語られている。アリストテレスやプラトン、ソクラテス以前の哲学者たちの思想を理解するのにも役立つ。

  • とかく難解と言われるハイデガーの著作。もともと日本語で訳すことができるのかどうかさえも疑わしいハイデガーだが、木田先生特有の言葉で綴るハイデガーのエッセンスは、おそらく他の追随を許さないほどの見事な解釈とわかりやすさである。木田先生は日本を代表する知性だとあらためて思う。

  • 読み終わってから時間が経ってしまったので記憶がぼけてしまったり、理解が間違ってるかもしれないのでご了承を。哲学に疎い自分でも読めるように分かりやすく解説されてる本だった。同時代の人たち、詩人や哲学者との関係について紹介し、またナチスとの関連についても解説されている。当時は第一次大戦に敗北した極限的な状況だった。

    ハイデガーの有名な著書「存在と時間」。この本は発表された当時、人々に大きい影響を与えたらしい。戦争中であったのでそういうことに敏感な人が多かったのだろう。
    僕がハイデガーを勉強しようと思ったきっかけは、存在とはいったいなんなんだろうって疑問から。自分のことに自信がもてなくて、自分は一体なんなんだろうって悩んだりしてて、そういうことを教えてくれるものはないかなと思って。
    でも、ハイデガーは、人間のあり方はどうあるべきか?ということを考えていたのではなく、むしろ「存在」とはなにかを探っていたのだという。表現が難しいのだが、「~デアル」と「~ガアル」の違いだとこの本では述べている。 難しく言うと、事実存在と本質存在の違いだという。哲学史上、いろいろな考えの哲学者がいたが、プラトン的な考え方とアリストテレス的な考え方がある。プラトンとしては、なにか純粋的な概念があり、それをもとにしてモノが存在する、と考えていた。アリストテレスは、なにかモノが先にあり、それがしめす性質があるという考え方だ。ハイデガーによるとモノは被制作物であるという。なにか純粋的な概念な概念があり、その概念をもとにだして創りだしたのがモノだと。英語のcreatureはcreateから来ているように。そして、一見相反するようだが、アリストテレスも実はこの考え方だといっている。しかし、こういった事実存在と本質存在という区別化は本当の自然(ピュシス)を忘却してしまうことであるらしい。ピュシスは英語のnatureに相当する単語らしい。natureといえば、自然であるが、nature of …という用例だと~の本質という意味にもなるように、本質という意味が近いのかもしれない。ハイデガーはこの形而上学の存在の区別の克服を目指していたが解決できなかったらしい。ちょっと自分の理解が怪しい範囲になってきたのでここまでで…

    あと、後期の芸術論についても述べてあった。思索とはつまり創造すること、createすることで、芸術の本質とはそういうことだということが書いてあった。芸術作品の中に世界をcreateすることが本質だと。詩作も思索であるとかだじゃれっぽいことを言ってたり(違 ここらへんも誤解してるかも

    こうまとめてみると、ハイデガーの思想をとてもわかりやすく解説してあるいい本だったけど、自分の中でちゃんと噛み砕けてないなあと痛感。またの機会に借りなおしてよもうかな。

  • 著者は「存在と時間」を読みたくて東北大学の哲学科に進んで以来、半世紀以上ハイデガーを読み続け研究を重ね続け斯界の泰斗と目されてきたけれど、その割にまとまったハイデガー本が少ないのですね。批判的に捕らえている部分がかなりあるせいか。
    これは初心者用に易しく書かれているとはいえ、思想的射程は深く広い。

著者プロフィール

中央大学文学部教授

「1993年 『哲学の探求』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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