本の森の狩人 (岩波新書)

著者 : 筒井康隆
  • 岩波書店 (1993年4月20日発売)
3.31
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  • 本棚登録 :104
  • レビュー :11
  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004302759

作品紹介

書物が溢れんばかりに出版されている現在、本当に面白い作品とはどのようなものか。狩人となった筒井康隆が、本の森に分け入り獲物を渉猟して歩く。実験小説あり、古典あり、SFあり、ミステリーあり…。作家の鋭い眼力に照らしだされた豊饒な作品群を、多彩な人物を登場させ、様ざまの文体を駆使して描く書評は文学の新たな悦楽である。

本の森の狩人 (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  •  1992年、1年間にわたって読売新聞朝刊の読書欄に連載されていた書評を集めたもの。
     連載されていたのがもう20年以上の前のことなのだが、それほどに古臭い印象は受けなかった。
     この手の書評を読んでいると必ず「ああ、この本読みたい」というのが出てくる。
     で、探してみると絶版になっていることが多い。
     そういう意味では「時代」を感じてはしまうのだが。
     書評の書き手として、筒井氏本人以外にも、唯野教授や火田七瀬など分身も登場してくる。
     取り上げられている書籍も、その当時の最新作から古典、コミック、伝記と幅広く、一冊に対するページ数は少ないものの、その分簡素にまとまっているように思える。
     ただし、こちらの知識(特に文学用語や哲学用語)の持ち合わせが足りないと判らない部分も多く、ついていけないまではいかないまでも、ちょっと置いてけぼりを食らったようになることもある。

  • 書評ごとに文体が違っていて、筒井氏の弟子でも出てきてるのかなーと思ってたら、

    これ小説の中の登場人物を召喚してんのか。。

    一人で書いてたみたいで、完全にしてやられました。

    文体こんなに使いこなせるの、天才かよ、と思いました。

    『人がみな狼だった時』の書評が個人的には一番面白くて、「悪漢や悪事を描くとき作者は自分自身がそうではないということを弁明する文体になりやすい」という視点はなるほど確かにと思ったし、そんなヌルいことはしないという上記作品に興味を持ちました。

  • ・1/25 読了.知らない作品ばかりだったけど筒井康隆バリの面白そうな本がいくつか見つかって、これからの楽しみが増えた.「人がみな狼だった時」は約束通り是非書き下ろして欲しい.

  • 語り手が作者だけじゃないんです。
    まあ、只野教授はキャラクタの性質上、当然として、
    美藝公や七瀬までが登場するんです!あの口調で。

    だもんで、紹介された本だけじゃなくて、そっちまで
    読みたくなってしまう〜。

    ということで、文芸評論といいつつ、これも反対の意味でのメタものになっているという。さーすが筒井大人、でしょ?

  • ジョルジュ・ペレックを初めて知る。読みたい。

  • あーやっぱ文学部行けばよかったなああ
    こういう話をずっと聞いてるというおべんきょうがしたかった
    言及されている本のみならず、
    筒井のでっちあげ本まで読みたくなる始末でした

  • [ 内容 ]
    書物が溢れんばかりに出版されている現在、本当に面白い作品とはどのようなものか。
    狩人となった筒井康隆が、本の森に分け入り獲物を渉猟して歩く。
    実験小説あり、古典あり、SFあり、ミステリーあり…。
    作家の鋭い眼力に照らしだされた豊饒な作品群を、多彩な人物を登場させ、様ざまの文体を駆使して描く書評は文学の新たな悦楽である。

    [ 目次 ]


    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  •  最近出た『漂流』はそれ自体一つの物語を根底に持った書評集であり、筒井さん本来の分析眼はかなり控えめに、その分を自伝で埋めたような一冊でありましたが、こちらは初版93年、おそらく唯野教授が半分居残っているような時期に書かれた本であって、実作者としての分析的視点が非常に鋭い、勉強になる一冊です。
     基本的に筒井康隆の読み方はそれがどのような構造を持っているか、というところにまず着目するものだと思うのですが、その構造に対して文学知識、文学理論の知識、そして実作者としての経験を結びつけ、なぜその作品が面白いのかというところまで論じていく手腕が巧みであって単純に読んでいてわくわくします。というのも、その論じ方すなわち筒井さんがどこをどのように面白がって読んだかについての過剰なまでの説明でもあって語り手としての筒井さんの興奮までもが伝わってくる感覚があるからついついこちらとしても一緒になって興奮してしまうのですね。やっぱりこういう感覚の書評は、この人だけだなあ、と思います。
     多分筒井さんはいろいろな文学理論は知っていても、それで自説を構築するというよりは、その辺はかなりいい加減にしておいてる人なんでしょうね。根っこのところは非常に単純にしておいて、その分だけ柔軟に対応できるようにしている、そんな感じがします。だから、文学理論もたいていが褒めるための援用といった使われ方になっているし、それによって読者はそういう面白がり方があったのか、という発見ができるようになっている。それは折角の知識なんだから有効活用しよう、という狡さでもあって、その狡さが最大の魅力なのかもしれません。もちろん、堅実さという土台があるからこその狡さでもありますが。
     ところでこの本、筒井康隆本人だけではなく、唯野教授やら七瀬やらといった小説のキャラクターまで書評者として登場する。それは単なるファンサービスにとどまらず「今回はこういう分析しますよ」という表明にもなっていて、読んでいる側としては話の方向性がある程度予測できるがゆえにかえって書評に飲み込まれてしまうという効果を生んでいる(つまり、ファンが筒井さんの書評だから、といってこの本を買うのと同じような心理的効果を一冊の中で数回多用するような按配になっている、ということ。半ばこじつけだけど)。こういううまさがこの人のエンターテイナーとしての力なのだなあ、と思って、ちょっと感動してしまいました。

  • 火田七瀬や唯野教授、神戸大助などの筒井作品のキャラが登場したりもする書評。これまた無駄に贅沢である。
    筒井御大の読む小説はあまりにも多岐に渡りすぎていてなかなか真似できない。
    いや、勿論プロなら誰だってそうなのだろうが、これだけの作品を読みこなしているからこそ、新鮮で面白い作品が書けるのだ。
    一つだけ注文しておくなら、本文中で言及されている『人がみな狼だった時』は書かれていないような気がする。
    もしかしたら、別のタイトルに変わって作品化されているかもしれないが。

  • 筒井康隆の書評本。文体を使い分け(ジャンルによって、七瀬とか彼の小説の登場人物で書いている)、物語構造などを明解に解き明かし(←これはわざとです)ながらの真面目な書評。筒井のおっさんが、本当にすごい人だと分かる。天才というだけでなく、頭もいいんだな。出てくる本のジャンルもいろいろ。ぶっちゃけ知らないのが多かったから、結構飛ばし読みしているけど、ピンチョンの競馬ナンバーなんとかも論じている。

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