日本の対外構想: 冷戦後のビジョンを書く (岩波新書 新赤版 285)
- 岩波書店 (1993年6月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004302858
作品紹介・あらすじ
国際環境が激変した今、経済大国・日本には、新しい能動的な対外構想が求められている。米国、ロシア、中国やアジア諸国とどうつき合っていくべきか。経済協力・援助や国際貢献、また国連に占める位置をどう考えるか。平和と共存をめざす「グローバル・シビリアン・パワー」の国家像を大胆に提起し、そのための条件を具体的に示す。石橋湛山賞受賞論文を含む鮮明な青写真。
感想・レビュー・書評
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▼日本外交史特殊問題の参考文献として通読。テーマは船橋氏提唱の「グローバル・シビリアン・パワー」をつかむこと。
▼面白いな、と思ったのは、戦後日本と(西)ドイツをシビリアン・パワーのアクターとして例示しながらも対比しているところ。地域主義に根差したシビリアン・パワーであるドイツに対して、日本は「グローバルな」シビリアン・パワーにならなければならない(なっていくべきだ)、とのことであった。ヘンにEUの制度を日本に移植すればいいとか、薄っぺらい「東アジアの一員」といった主張をするより、よっぽど説得力がある(気がする)。
▼結局、日米の関係は切れない(その利害調整をよりグルーバルな視点からすればいいだけの話だ)し、韓国や豪州といった米国のパートナーとも協調しつつ、多角的な安全保障体制を築いていく――それ自体、非常にスマートな指摘であったと思う。
▼もっとも、戦後の日本の成功を肯定すればするほど米国の存在が重いものとなり、その関係を重視しようとすれば、地域で(単独の)リーダーシップをとることは難しくなる、というジレンマは、日本にとって今後も最大の悩みであり続けるのかもしれない。 -
2冊