自由主義の再検討 (岩波新書)

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  • 岩波書店
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レビュー : 25
  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004302933

感想・レビュー・書評

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  • 「自由主義」の伝統とその現代的な問題点を簡潔に論じている本です。

    まず、ホッブズやロック、アダム・スミスらの伝統的な思想を振り返りながら資本主義、議会制民主主義、功利主義の3つに渡る「自由主義」の諸相を検討し、次いでマルクス主義がこれに対してどのように戦いを挑んだのかということが論じられます。最後に、社会関係から切り離された「負荷なき自我」を絶対化することに対するコミュニタリアニズムの批判が紹介されています。

    新書一冊の分量で、歴史的な経緯と現代における課題がバランスよく解説されている本だと思います。

  • 古代についてはプラトンとアリストテレスを、中世についてはアウグスティヌスとアクィナスを、近代についてはホッブズやロック、スミスなどを中心に思想史として解説している。個々の思想家を平易に理解するには最適な1冊と言える。また、現代のリベラリズムやリバタリアニズムにも触れているが、この解説は2015年でも十分なものだろう。ただし、著者はコミュニタリアニズムに共感を示しているが、この立場からのリベラリズム・リバタリアニズムへの批判は根本的に齟齬をきたしている。いずれにせよ、思想史として読む分には推薦できる。

  • 現在において、経済政策をめぐっては、リベラリズムとケインジアンの対立的な論争、つまり政府が大きく介入すべきなのか、自由経済の仕組みにまかせるのか、という議論から脱し切れていないように思えるが、私が尊敬するこの藤原先生の著書を読むと、これはとりもなおさず、人間をどうみるのか、ということに帰結する、ということがわかる。
    政治や経済を論ずるときに、価値観や行動様式が個別に違う人間というものを抽象化するのが普通であるが、どうもこの抽象化によって、多くの政治理論、経済理論はその弱点をも内包することになっているように思える。
    しかし、本書の結論は明快だ。人間は自己解釈的で物語的存在であるがゆえに、コミュニケーションによってその弱点を克服していくであろう、ということだ。まさに目からうろこだと思う。
    個人的には共同体主義に与するものではない。なぜならどこか保守主義に通ずるものを感じるだ。だが、共同体の中で個人と社会の関係を修正し再定義していくという見方は有用な考え方であると思う。

  • そもそも自由主義とは何たるか、そしてその意義と限界は何か、などをまとめて考察しており、コミュニタリアニズムへの展望へとつなげています。サンデル本の背景理解として読むといいかも。

  • ヨーロッパの思想史における資本主義の正当化やマルクスに代表される社会主義社会の模索などの流れを解説し、自由主義の問題点とその根本的な解決に向けたコミュニタリアニズムの紹介に本題を置く。
    思想史の入門書として有用ではあるが、本題のコミュニタリアニズムを述べた結論部にはやや言及不足な印象が残り、実例が伴わない点を考慮してもどこか抽象的であった。

  • アリストテレスは配分における正義を2つに分けた。
    (1)配分的正義・・・各人の価値に従って事物が配分される。
    (2)整正的正義・・・交換される事物が価値において等しいこと。
    ホッブズ以降において、人間は自由で平等なものとされたため、配分的正義は成立しない。また、事物の価値は客観的に決まっているものではなく、各人の主観によって決定されるのものであるため、整正的正義も成立しない。
    近代においては配分の正義は交換の正義の結果である。

    スミスは、各人の利己心を行動の機動力としながら分業を通じて富が増大していく社会を考えた。スミスは人に仁愛を期待しない。むしろ、交換のコミュニケーションを通じて自他の行動の適不適が判断されるようになり、道徳意識が成立すると考えるのである。

  • 大学に入りたての頃、帰国子女に薦められて読んだ最初の新書。

    正直、内容は何も覚えてないけど、高校での勉強と大学での学問との間の落差が身に染みてわかった気がした。
    勉強はそこそこできたかもしれないけど、学問は一切していなかったことに気付き、悲しくなったという思い出深い本。

    • maicosmopolitanさん
      私も大学1年の頃、政治家希望の男の子に勧められて、同じ感想を覚えました。もしかして同窓生・・・・・??
      私も大学1年の頃、政治家希望の男の子に勧められて、同じ感想を覚えました。もしかして同窓生・・・・・??
      2011/09/17
  • [ 内容 ]
    資本主義の経済、議会制民主主義の政治を軸とする「自由主義」―それは社会主義体制の崩壊によって勝利したといえるのだろうか。
    むしろ今こそ、その自己克服・修正が求められているのではないか。
    近代の思想史を見直しながら、自由主義の本質と限界を明らかにし、二十一世紀にむけた新しい思想「コミュニタリアニズム」への展望を語る。

    [ 目次 ]
    序章 自由主義は勝利したか
    第1章 自由主義はどのようにして正当化されたか(資本主義の正当化 議会制民主主義の正当化 功利主義の正当化)
    第2章 社会主義の挑戦は何であったか(政治的解放の限界 私有財産と疎外
    市場経済と搾取)
    第3章 自由主義のどこに問題があるか(社会主義の失敗 自由主義の陥穽)
    終章 コミュニタリアニズムに向けて

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    [ おすすめ度 ]

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • マイケルサンデルの本を読む前に、この本を読んでいた方が理解が深まると思われます。自由主義が、西欧の歴史の中で異端のものであったかよく理解できた。この思想の好き嫌いはともかくとして、その成果と今我々が授かっている恩恵は大切にするべきです。
     今までの思想の解説部分はよくまとまっていていい本ですが、結論部分は物足りないです。そのため評価は4にしました。

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