タイ 開発と民主主義 (岩波新書)

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レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004302988

感想・レビュー・書評

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  • タイの現代史について知りたてく読書。

    タイと関わることが増えてきたが、タイの現代史はほとんど知らない。今もデモが発生し、混乱しているニュースを見る度にどうしてこんな状況が繰り返されるのか。なぜ軍事クーデターが頻発するのかをタイの現代史から学びたくなった。

    アジア通貨危機が発生する前の1993年発売の本であるが、政治の状況は今とあまり変わっていないように感じる。国王の存在が絶対的な独裁者を生み出すことはないものの、数多くの政変や流血を繰り返して歴史を知ることができる。

    60、70年代は共産主義の影響も強く受けている。事実、隣国ラオスは王政を廃止し、共産国化。ミャンマー、ベトナム、カンボジアもボロボロ状態でそんな国に囲まれた中ではタイはむしろ安定した歴史を刻んてきたようにさえ見えてしまう。

    改めて華僑財閥の多さに驚く。

    タイは負の連鎖をどうやってタイ人自身の手で断ち切れるかに注目していきたい。足かせとなる前に。そしていつか理想とするタムが実現する日は訪れるのであろうか。

    読書時間:約1時間5分

    本書はバンコクのサンブックスで購入しています。

  • 1992年の流血事件の直後に書かれた本。
    タイ式民主主義とはいかなるものか、政権によって開発というツールがどのように用いられたのか、簡潔にまとまっていてわかりやすい。「タム」の概念など、タイを理解する上で欠かせないキーワードもきちんと押さえられている。途上国研究をする上ではそうしたその国特有の概念を押さえていないと理解が進まないのがよく分かった。

  • ’タイの人びとが考える社会的公正(タム)を実現するような「発展」(開発ではなく)と「民主主義」は、依然として将来の課題として残されているのである。’
    というのが印象的。
    1993年に発行された本書に記載されていることは、2014年現在においても不変であり、解決されていない課題が多く残っている。
    この20年という歳月が産んだものは何なのであろうか。

  • 目次(抜粋):
    序 章 「開発」と「民主主義」
    第1章 開発体制の誕生
     1 サリット元帥の「革命」
     2 「民主・宗教・国王」
     3 「開発」の多様性
     4 経済開発と工業化政策
    第2章 民主化運動と流血のクーデタ
     1 ヴェトナム戦争への荷担
     2 一〇月一四日政変
     3 民主化運動、そして分裂へ
     4 血の水曜日事件
    第3章 「上からの民主化」と軍部
     1 ヤングタークスと軍民主主義グループ
     2 「半分の民主主義」
     3 腐敗した政党政治とクーデタ
    第4章 NAIC経済からNIES経済へ
     1 経済開発計画と工業化
     2 ふたつの工業化――NICsとNAIC
     3 経済のNIES化とその担い手
    第5章 アグリビジネスともうひとつの開発
     1 タイは「日本の台所」
     2 アグリビジネスと環境汚染
     3 生きるための農業と村づくり運動
    第6章 社会変動と五月流血事件
     1 都市中間層の拡大
     2 顔見知り社会と情報社会
     3 民主化運動の変容
    終 章 再び開発と民主主義について
     タイ主要年表/主要参考文献

  • [ 内容 ]
    「日本の台所」として焼き鳥、エビなどを輸出し、「東南アジアの優等生」として王制のもと国づくりを行ってきたタイ。
    気鋭の経済学者が、独自の「民主主義」、NIES諸国とは異質の経済発展にともなう開発の功罪、激変する社会環境に迫る。
    開発と民主主義の両立という、途上国が直面している難問解決への糸口を提示する好著。

    [ 目次 ]
    序章 「開発」と「民主主義」
    第1章 開発体制の誕生
    第2章 民主化運動と流血のクーデタ
    第3章 「上からの民主化」と軍部
    第4章 NAIC経済からNIES経済へ
    第5章 アグリビジネスともうひとつの開発
    第6章 社会変動と五月流血事件
    終章 再び開発と民主主義について

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著者プロフィール

学習院大学国際社会科学部教授/東京大学名誉教授

「2018年 『中国・新興国ネクサス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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