日本軍政下のアジア: 「大東亜共栄圏」と軍票 (岩波新書 新赤版 311)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004303114

作品紹介・あらすじ

「大東亜共栄圏」とは、植民地や占領地の富と資源をすべて日本の戦争目的のために動員するという体制にほかならなかった。しかも日本軍の現地自活主義はさらに物資収奪を乱暴なものとした。本書は、日中戦争前後から敗戦まで日本の軍事支配地域で展開された政策と実態を総合的に分析する。戦後責任また戦後補償を考えるための必読書。

感想・レビュー・書評

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  • 1997年刊。著者は早稲田大学大学院アジア太平洋研修科教授。戦争中でも生活物資を人が必要とするは当然。それを獲得・交換する手段は貨幣だが、戦時中日本軍占領地域で貨幣の役割を主に軍票が果たした。本書は占領地行政と貨幣ヘゲモニー・物資獲得競争を貨幣的経済現象面から解読。確かに満州国までは上手く切り抜けた。が、華北・華南・東南アジアまで範囲を広げ、かつ戦火の中、短期間にその貨幣のヘゲモニーを獲得するには、当該地域の歴史・経済実態・日本への信用度を踏まえた対策を事前準備しておく必要があったのだろう。
    本書からは、陸海軍が貨幣論を全く分っていなかったとまでは言わないが、貨幣論やインフレ問題を念頭において、戦略や指導方針を立てたとは言いにくいだろう。なお、本書は、8年間で第10刷まで刊行されており、隠れたベストセラーかも。

  • 太平洋戦争での日本は、アジアにとって解放軍でもなんでもなくて、ただ収奪するだけが目的だったというお話。

  • 中支での徴発が上手く行かなかったのは,それ以前の通貨政策で失敗してるのだな.それにしても1945年までの共栄圏内のインフレには驚くべきものがあった..

  • 2008年1月22日

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著者プロフィール

1943年東京生まれ。東京都立大学法経学部卒。同大学大学院社会科学研究科博士課程修了。駒澤大学経済学部教授を経て、現在早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授。
著書に『「大東亜共栄圏」の形成と崩壊』(御茶の水書房)、『昭和ファシストの群像』(校倉書房)、『大東亜共栄圏』『日本軍政下のアジア』(以上、岩波書店)、『満州と自民党』(新潮新書)、『満鉄調査部―「元祖シンクタンク」の誕生と崩壊』『ノモンハン事件』(以上、平凡社新書)、『日本近代史を読み直す』(新人物往来社)、『日本の迷走はいつから始まったのか』(小学館)、共著に『満鉄調査部事件の真相』(小学館)、『一九三〇年代のアジア社会論』(社会評論社)など多数。

「2011年 『論戦「満洲国」・満鉄調査部事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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