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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784004303145
感想・レビュー・書評
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(2006.07.19読了)(2006.04.08購入)
副題「女が問い直す統一」
2003年に上野さんの「うわの空 ドイツその日暮らし」(1996年)を読んでから、「ドイツの見えない壁」(1993年)を探したのですが、なかなか見つかりませんでした。2006年4月やっと見つかりました。3年かかったけど、探してればたいてい見つかります。
上野さんがドイツで研究していた時(1992年春)、同じようにドイツに滞在していた二人の女性の研究者(前みち子・マールブルク大学、田中美由紀・ボン大学)と共同で調査した結果の報告書です。テーマは、東ドイツの女性たちは、統一の過程で何を経験したのだろうか?彼女たちは何を手に入れ、何を失ったのだろうか?ということです。(2頁)
●失業の急増(61頁)
統一後、東の女性たちが経験しているもっとも深刻な危機は失業だと、ほとんどの人は口をそろえる。社会主義経済の下では、建て前上失業は存在しないことになっており、生産年齢人口の男女はともに100%近く就業していた。育児休業中の女性も生後3年間の職場保障があり、その期間は労働人口に数えられていた。
●母性保護(68頁)
東ドイツでは手厚い母性保護が完備していたために、シングルでも女性が子育てできる条件がそろっていた。89年の統計では、出生数の33.6%が婚外子である。離婚率もすこぶる高い。統一後、出生率は低下、離婚率も急激に下がった。
●差別(70頁)
「東の女性は三重に差別されています。第一に労働市場における二流市民として、第二に女として、第三に東の市民として」
●統一を肯定(138頁)
統一を肯定するのは、「東ドイツ社会は、様々な意味で嘘で塗り固められた世界だったから」、そして「計画経済があのままでは私たちを破滅に導いただろう事は、目に見えていたから」
●外国人排斥(149頁)
民主化から統一への動きの中で、「ドイツ人としての誇り」や、国民感情が高まるのに並行して、外国人に対する差別が表面化した。特に失業などによって社会不安が増大するに連れて、それまでは西のみの現象と思われていた外国人排斥運動が、東各地で一気に火の手を上げた。
●東ドイツの外国人(152頁)
外国人の滞在権には三種類あって、第一には結婚によって東ドイツに来た外国人がいます。これらの人々は約4万5千人。ソビエトから1万1千人、ハンガリーから9千5百人、ポーランドから7千人。
第二のグループは、約4万人の研究者や、国際組織に所属する人たちです。
第三のグループが、外国人労働者です。6カ国から約9万人が来ました。ヴェトナムから6万人。モザンビークから1万6千人。キューバから9千5百人。ポーランドから7千人。中国、アンゴラからも来ています。
●フェミニズムの目指す方向(244頁)
資本主義のルールの下では女性は構造的に敗者になるほかない事は、東の女性の惨憺たる経験で立証された。「非資本主義的な」という選択肢の中には、もはや社会主義は含まれない。それもまた女性に対して抑圧的なことが立証済みである。その意味で、フェミニズムはまだ見ぬオルターナティヴを求めて歩み続ける、気のながい理想主義なのだ。
☆関連図書
「うわの空 ドイツその日暮らし」上野千鶴子著、朝日文芸文庫、1996.03.01
☆関連図書(既読)
「ドイツの憂鬱」熊谷徹著、丸善ライブラリー、1992.03.20
「新生ドイツの挑戦」熊谷徹著、丸善ライブラリー、1993.07.20
「住まなきゃわからないドイツ」熊谷徹著、新潮文庫、2001.03.01
著者 上野千鶴子
1948年 富山県生まれ
1977年 京都大学大学院文学研究科博士課程修了
専攻 社会学
内容紹介(amazon)
一九八九年,「ベルリンの壁」の崩壊は人々に歓喜の声をもって迎えられた.だがいま「東」と「西」,男と女,「ドイツ人」と「外国人」の間には,見えない壁が生まれている.未曾有の激変に呑み込まれた女たちへの数多くのインタヴューを中心にして,この国が直面している失業増,外国人排斥,福祉の後退等様々な難題を多角的に描く. -
統一前後、ドイツではどのようにフェミニズムは発展してきたのか。主に東側で隠れて活躍してきたフェミニストたちの記録をインタビューによって明らかにする本。
著者プロフィール
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