従軍慰安婦 (岩波新書)

著者 : 吉見義明
  • 岩波書店 (1995年4月20日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004303848

従軍慰安婦 (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 以前紹介した同著者のブックレット『日本軍「慰安婦」制度とは何か』はこれのダイジェスト版のようなもの、あれは本の題にもなっているとおり“従軍慰安婦問題とは何か”のつかみを知るためによいものだったが、これはその入門書でありバイブルとも言える存在。

    日本人ならばこの問題は必ず知るべきであり、そしてこの本はそれを知るために大変重要な一冊、まずは読むことをお勧めする。

    ただの日本軍における戦争犯罪の記録ではなく、過去から現代まで連綿と続く日本独特の“女性蔑視観”を浮かび上がらせるものだ。すなわち、この問題を解決―謝罪したからとて、それを“解決”と言っていいものかはわからないが―することは現代にいまだ残る女性差別の問題を解決する糸口になるのではないだろうか。

  • 「慰安婦」についての研究をだいたい網羅している。「慰安婦」問題を学ぶ者にとってバイブル的な一冊だろう。1995年に書かれた本なのに今でもあまり状況が変わってないことを実感させられる。

  • 95年に発行されていて、史料発掘による事実の検証が中心の本だ。よって、件の少女像のように昨今騒がれている話題には繋がらない。もちろん、この問題に関わる人道的・倫理的な問題指摘はしているが、具体的に誰が誰にどう保障するかという論点には触れていないが、中身には露骨で生々しい引用もあり、正直言って読み進めるのは辛かった、しかし、上辺だけの感情論に走らぬためにも、こうした素に近い情報に触れるのは損はないはずと思う。日本以外の従軍慰安所との比較もあり、概ね客観的な立場で書かれているが、戦時中という特殊な状況下にして、何故この問題が起きてしまったのかという本質論についての掘り下げが浅く、日本的な男尊女卑的な文化というような、ふわっとした因果に帰着させていたのが少し物足りなかった。

  • 朝鮮人の軍による強制連行の有無ばかりが議論されているが、強制連行の有無以前に、人権侵害とされるべき問題と思う。
    日本人従軍慰安婦が社会問題とならなかったことをよいことに、軍の関与を否定しているいうに思う。
    生死の境を彷徨った兵隊がストレスから解放されるための儀式だったのだろうか?
    日本軍にかかわらす戦争遂行のために必要な施設。肯定できる戦争などあるのか?

  • 昨今の不穏な空気を感じとっているのか今年に入ってからこちら、戦争ネタに敏感になっている。靖国問題も懸案のひとつだ。ともあれ今回は一度きちんと事実を把握しなければと思い歴史家である吉見さんのご本を読んでみた。非常にショックだったのは、いとも簡単にスラスラ読めるのである。従軍慰安婦に関する本など今まで一度も読んだことなどないのに、特につっかえることなくスラスラ読めるのである。

    この事実が示す一つの帰結は、わたしの中に従軍慰安婦を創り出す要素が詰まっているということである。自分の中にないものには、???という反応が続き読み進めるのが困難なはずだからである。脳科学や哲学思想の本を読むときには項も簡単に読み進められない。つまり、従軍慰安婦を生み出した様々な要素が既にわたしの中に巣食っていたというわけである。なんとも悍ましいことではあるが認めざるを得まい。

    日本に生まれて、日本で育っているのである。その歴史は土地に付着しわたしの身体特に脳内に檻のようにじわじわと溜まっていたのであろう。さぁ…どうしたものだろうか?

    Mahalo

  • 自分なりの見識を持っておこうと、教科書でも読むようなつもりで読んだら、気分が悪くなった。

    旧日本軍が前線に慰安所を持っていたこと、そこに外国人の女性が大勢いたことは事実であって、いまもめているのはそれが日本軍の強制連行だったのかどうかという点らしいのだが、ぼくはそこにたどり着くずっと以前で気持ち悪くなった。

    日本軍が慰安所を必要としたのは、日本の軍人が前線で現地の女性を強姦するのに手を焼いたためだというのだ。言われてみれば当たり前かもしれないが、ぼくはまるで気付かなかった。この前提については強制連行を肯定する論者も、否定する論者も異論はないようだ。

    もちろん強姦は当時の日本軍においても重罪だったが、軍がたいそうなリソースを割いて慰安所でも用意しないとどうにもならん、と思うくらいに珍しくもない出来事だったようだ。しかも著者は「強姦事件を起こした兵士は、犯罪として追求されることをおそれて、強姦した女性を殺害することも少なくなかった」とさらっと書いている。
    こういうのを最低と言わずして、何を最低というのだろう? 

    名著「草の根のファシズム」の吉見義明の仕事。

  •  もうすぐ刊行から20年経つが、いまだに重要性は失われていない基本文献の1冊。この本が新書として出されていることは、本当に意義あることだと思う。

     筆者のこの問題への誠実で献身的な取り組み、いわれない中傷に対する毅然とした対応は、心から尊敬に値すると思う。そのこと自体は動かないけれども、あらためて読むと、やや首をかしげてしまう部分もある。
     とくにそれは、「証言をどう受けとめるか」という問題にあらわれているとわたしは思う。「様々な証言のうち、信頼性が高いと判断される証言を検討しながら、徴集の実態を再現してみよう」という一節は、結局のところ、当事者・体験者たちの言葉を、文献史料の不在を補う情報として受け取ることになりはしないか。証言の語りそれ自体の力、語りそれ自体にはらまれた思いや情動を切り捨て、実証的な「歴史」を復元するための素材へと還元してしまっているのではないだろうか?

  • まず最初に読んで欲しい本!!「慰安所」設置の状況や拡大の様子、女性たちの徴収や生活などが包括的に書かれています。当時の国際法に基づいた判断なども。「日本軍『慰安婦』問題」についての概略はこの本1冊ですっきりわかります。

  • 従軍慰安婦 評者が小学校ぐらいの時に習った記憶が無い。高校の時ですら教科書に太字でサラッと書いてあるぐらいだったように思う。
    しかし、つい数十年前の出来事が石器時代のように簡単に片づけられるのだろうか。

    本書は従軍慰安婦について公文書や元従軍慰安婦だった方たちのインタビュー、記録を中心に議論を展開させている。
    そこには従軍慰安婦の成り立ち、実態などが赤裸々に綴られている。慰安婦となった女性は性病を患ったり戦後、アジアの中でも差別に悩まされることとなる。
    ただし、本書が刊行された時点で既に終戦から50年以上経っており、筆者が認めているようにインタビューでは記憶が曖昧な部分、証言内容の矛盾など必ずしも信憑性があるとは言い難いものもある。
    また、終戦前に資料を焼却したり、まだ非公開文書もあるためか推測に頼らざるを得ない部分もあるように感じた。

    しかし、勘違いや推測のため全てを否定することや、連合軍も従軍慰安婦のようなものを設置していたことからあたかも正当化されるかのようなことが許される理由はない。
    仮に必要悪と理由づけされるのであれば、全てのケースにおいて正当化させられかねない。果たしてそれが是とされるべきなのだろうか?

    従軍慰安婦は他国も行ったかどうかが問題ではなく、人としての尊厳の問題である。
    本書が刊行されて以降、政府も一定の謝罪は行っているが、国連加盟においてもアジアからほとんど支持されない現状を見ると、日本が世界から尊敬を集められるには程遠い。
    オランダには抑留者への補償して1000万ドルを支払ったが、アジアに対してはどうだったのだろうか?これは評者が今後検討しなければならない課題である。
    そもそもこれだけの問題を単刀直入に否定するネトウヨはどれほど丹念な検討を行ったのだろうか?
    アジアの盟主としての尊厳を勝ち得た時、日本は本当の意味での一流国家となるのではないだろうか。

  • レポートの参考文献。

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