本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784004303886
みんなの感想まとめ
朝鮮植民地化の全過程を通史的に解説し、当時の国際法や国際慣習に基づく合法性と道義的問題を考察する一冊です。著者は韓国併合が国際法上は合法であるとしつつも、それが植民地支配の正当性を意味するわけではない...
感想・レビュー・書評
-
朝鮮植民地化の全過程についてみる通史。
各国の思惑についてもわかりやすく記述されている。
筆者である海野氏は韓国併合は形式的適法性=国際法上合法であるという見解を示しているが、同時に、合法であることは植民地支配が正当であるということを意味するわけではないと述べている。
これは当時の国際法、国際慣習に照らして出されたものである。
加えて、筆者は問題の本質は合法性の如何ではなく、日本と日本人の隣国に対する道義的な問題ではないかと述べている。
日韓問題になると妄言を並べる日本人が多くいることに危惧の念を抱いており、海野氏の意見に対しわたしも賛同する。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
韓国の開国から併合までの歴史は大変ややこしい。でもこの時代は、北朝鮮という、虐待を受けた末に引き籠りになってモンスター化した奇形国家の幼児期なので、そういう意味でも重要だと思う。私は丸暗記したい本…
-
同じ書名で中公新書から刊行された森万佑子の、韓国側からみた併合を考えるという、野心的な書『韓国併合』(副題に「大韓帝国の成立から崩壊まで」とある)を以前に読んでいて、この海野本も言及されていたのだが、気になってはいたもののしばらく放ったらかしておいた。
1876年に締結された日朝修好条規についての記述は読み応えがあった。日本は、事前に朝鮮の宗主国である清国(といっても日本にとっても沖縄にとっても清国は宗主国であったが…)と交渉し、朝鮮は清国の属国ではなく、独立して内政外交の権利を有することの確認を求める。他方で清国に対して朝鮮に条約交渉に応じるよう勧告するよう求めるという矛盾を、著者は鋭く指摘している。
韓国側の無知につけ込んで日朝間の貿易は無関税にするとし、朝鮮側の関税自主権を喪失させた。日本自体が欧米からの関税自主権の回復に苦しんでいたさなかであり、卑劣としか言いようがない。
歴史にIFは禁じ手だが、時代は下って1924年に神戸での講演で孫文が述べたように、覇道ではなく王道による開国を求めることはできなかったのか。
本書でもう一つ注目すべきは、民衆からは親日団体として売国的と目されていた、一進会についてやや詳しく論じている点である。
本書はこう述べている。
「韓国で併合推進を唱える一進会も伊藤にゆさぶりをかけた。一進会は一九〇四年、宋秉畯(ソンビョンジュン)が組織した維新会と、東学教徒李容九(イヨング)が組織した進歩会とが合同して結成された親日団体である。これを利用した日本人、特に陸軍の支援により政治団体として急速に成長し、一九一〇年八月の警務統監部の調査によれば、会員数九万一八九六人にのぼったという。それは政社としては第二位の、穏健な排日自主主義の大韓協会の二万二八九人を大きくひきはなしていた。」(p.205)
日本陸軍が、韓国併合に利用しようとして一進会の組織規模を大きくしたことを端的に指摘している。
内田良平と一進会との関係について。
「一進会が日本の国家主義団体黒龍会主幹の内田良平を通じて山県や桂と深い関係をもつようになったのは、統監府嘱託となった内田が一九〇六年一〇月に一進会顧問についてからである。宋秉畯・李容九と内田は、「韓日合邦」の一点で気脈を通じあっていた。」(p.205)
そして韓日合邦の意図について。
「当時、漢城で雑誌を主宰していた釈尾東邦の『朝鮮併合史』には、「宋秉畯は韓国を日本に合体して一国とするにあるものの如く、李容九は韓国を韓国として日本に合併し、連邦組織にせんことを希望せるものの如し」とある。一進会が求めた合邦とは、日本との対等合併ないしは連邦形式の連合国家であり、日本政府が意図する併合の内容形式とは天と地ほどの隔たりがあったことになろう。」(p.211)
宋も李も朝鮮半島では、今日に至るまで売国奴として扱われている。そしてこの一進会の日本人顧問となった黒龍会主幹の内田良平は、日本ではもっぱらファシストという評価が定着している人物である。
かつて竹内好が60年安保闘争から3年後に筑摩書房から刊行した『現代日本思想体系9 アジア主義』は、一進会という韓国の親日組織の主要組織者の一人である李容九と内田良平について取り上げている。また、両者を取り結ぶ思想的紐帯となった樽井藤吉著『大東合邦論』について、戦前・戦中に『東洋の理想』の著者岡倉天心と同様に悪用されたと述べている。李は、樽井の熱烈な信奉者であり、実の息子の名を「大東邦男」と名付けるほどの親日家であった。『大東合邦論』は出版後すぐに発禁扱いになったため、樽井は漢文でこれを出版し直した。『アジア主義』では、この漢文版を竹内が訳し直したものを掲載している。
読んでみると分かるが、確かに樽井には韓国を見下したような考えはまったくないといってよい。アメリカ合衆国のような、連邦制による対等合邦で欧米植民地主義に対峙することを志向していた。
樽井藤吉という思想家を取り上げるのは竹内好くらいではないかと思っていたが、昭和史研究者の筒井清忠が言及しているものをネット上で見つけた。
初めて明らかになった樽井藤吉の思想と生涯
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/30113
「樽井藤吉は、『大東合邦論』という日本、朝鮮、中国の3つの国が合邦・連合することを説いた近代日本アジア主義の最初の思想家である。一方、東洋社会党という日本最初の社会主義政党を作った人物でもある。右翼と見られがちなアジア主義と左翼の社会主義、2つの先駆者なのだが、これまで詳しい経歴などは分からなかった。それを初めて明らかにしたのが本稿である。」
また、竹内の『アジア主義』には、一進会を通じた合邦運動を後に回顧した内田の「日韓合邦」も収録されている。
その中で李は内田に「我々は馬鹿でしたなぁ。」と自嘲気味に語ったそうである。
李も宋も単純に売国奴として切り捨てられて済ませられるような人物ではない。かつて司馬遼太郎とも交流があった歴史家の姜在彦(カンジェオン)は『朝鮮近代史』の中で、今も売国奴扱いされたままの金玉均(キムオクキュン)について、もうそろそろ一人の独立運動家として遇するべきではないかと述べていた。
李容九も宋秉畯も同様に考えるべきではないか。 -
岩波新書
海野福寿 韓国併合
利益線(日本が利益を受けるライン)と国境線の概念を用いて、韓国併合までの経緯を解説した本。「韓国併合は 当時の国際法上、合法であるが、植民地支配そのものは 道義上、不当」というのが著者の見解。
江華島事件による開国強要、朝鮮抜きで 朝鮮の支配権を決めた日清日露戦争、保護国化と韓国併合の不平等条約を 合法不当と言っているのだと思う
感想
*三度の日韓協約により日本の利益線が確定し、征韓論は完結しているので、韓国併合により 国境線まで変える必要はなかったと思う
*伊藤博文の保護国統治が、韓国併合に至る最終段階なのか、朝鮮の独立富強のための試金石だったのか、検証した本があったら読んでみたい
著者は前者の立場。ただ 後者ならば 韓国併合を避ける機会があったことになる
-
近代日朝関係史の専門家による、韓国併合にいたるまでの歴史を事実にそくしてわかりやすく説明している本です。
「あとがき」には、「韓国併合は形式的適法性を有していた、つまり国際法上合法であり、日本の朝鮮支配は国際的に承認された植民地である」という著者の見解が示されています。そのうえで、「合法であることは、日本の韓国併合や植民地支配が正当であることをいささかも意味しない」という意見が付け加えられます。
おおむね冷静なスタンスで、韓国併合にいたるまでの経緯を追いかけているのですが、こうした帰結へと行きつくことになった日本と朝鮮双方の国内事情にかんする説明が欠けているのはすこし不満を感じるところです。 -
これ一冊読むだけでも「朝鮮は“植民地”ではなかった」「大韓帝国自ら併合を求めた」という愛国保守な人達の言説が嘘だということがよくわかる.そして朝鮮に日本がどれほど酷いことをしたのかということも.韓国に恨まれこそすれ韓国を恨む(朝鮮民主主義人民共和国の場合はそうばかりでもないが)道理などどこにもない.しかしながら当時から変わらず日本人の朝鮮人蔑視がなんら変化がないのが悲しい.
-
韓国・朝鮮の植民地化経緯については、『韓国から願い出たから保護してやった』的なネトウヨ理論か、『違法なやり方で暴虐の限りを尽くした』と言う"進歩的"な面々の両極端の言説しか聞かれない。ファクトはどうなのかを知るために本書を手にとってみた。
日本政府は明治初期から韓半島での利権獲得に向けて一貫した政策を採っており、それを実現するための手法も国際法を逸脱しないよう周到に練られてはいるものの、おおよそ騙しと脅しによるものであることを知った。
とは言え、現代の常識や倫理観で当時のやり方を批判するのは卑怯な態度だ。当時大国と言われる国々はもっとあからさまなやり方で他国の主権を侵害していたのだ。だから韓国人が今頃謝罪を要求するのも少し違うと思う。過去自分達の国力や統治能力が世界平均から著しく劣後しており、そういう国は強国に力で蹂躙されるのが当たり前の世界だったのだから。
このような歴史は日本の学校では絶対に教えてくれないが、近現代のアジア史を独立させて高校の必須科目にした方が良いと思う。50年近く生きてきて、初めて知る事実ばかりだ。 -
明治維新から明治43年の韓国併合までの道のりを丹念に描いた作品です。
日本、清、ロシアの三国の帝国主義的野心の中で、独自の軍事力を持たず、古い儒教的な考え方に拘泥され右往左往する朝鮮の姿が、主に日朝関係を中心に描かれます。
清の支配を排除するために、朝鮮の独立を名目に日清戦争を戦い、ロシアの支配を排除するために、再び朝鮮の独立を名目に日露戦争を戦う。そして両戦争の中で朝鮮を実質支配していく日本。そして、保護国化、併合と突き進みます。
ただし、その道の中には日本国内でも様々な意見の対立が存在し、朝鮮内でも様々な勢力のぶつかり合いが起こります。義兵蜂起も頻発し日本を悩ませます。
そして総仕上げが併合。筆者はこの併合が、道義的な問題があるものの、合法的に行われたと主張します。
全体的には、事実を丹念に追っており冷静な筆致です。
伊藤博文が当初は併合に反対していたとか、知らないことも多くてためになります。 -
(欲しい!/新書)
-
(2000.03.04読了)( 1998.05.10購入)
(「BOOK」データベースより)amazon
江華島事件を口実に朝鮮の開国に成功した日本は、清国との角逐や欧米列強との利害調整をくり返しつつ、日清・日露戦争をへて、一九一〇年、韓国を「併合」する。それは同時に、朝鮮政府・人民の粘り強い抵抗を排除する過程であり、苛酷な弾圧の歴史でもあった。朝鮮植民地化の全過程を、最新の研究成果にもとづいて叙述する待望の通史。
☆韓国・朝鮮に関する本(既読)
「朝鮮史」梶村秀樹著、講談社現代新書、1977.10.20
「古代朝鮮史」井上秀雄著、日本放送出版協会、1988.04.01
「韓国の古代文化」韓炳三著、日本放送出版協会、1995.04.01
「韓国からの通信」T.K生著、岩波新書、1974.08.20
「続・韓国からの通信」T.K生著、岩波新書、1975.07.21
「第三・韓国からの通信」T.K生著、岩波新書、1977.10.20
「軍政と受難」T.K.生著、 岩波新書、1980.09.22
「韓国」渡辺利夫著、講談社現代新書、1986.10.20
「韓国の挑戦」日本経済新聞社編、日本経済新聞社、1988.10.24
「韓国の族閥・軍閥・財閥」池東旭著、中公新書、1997.03.25 -
韓国併合について知りたくて読書。
たまにはこんな論調の本も勉強となる。95年当時なら極々標準的な日韓併合史だと思う。巻末の参考文献が豊富なので読書の幅を拡げるときに便利。
読書時間:約45分 -
[ 内容 ]
江華島事件を口実に朝鮮の開国に成功した日本は、清国との角逐や欧米列強との利害調整をくり返しつつ、日清・日露戦争をへて、1910年、韓国を「併合」する。
それは同時に、朝鮮政府・人民の粘り強い抵抗を排除する過程であり、苛酷な弾圧の歴史でもあった。
朝鮮植民地化の全過程を、最新の研究成果にもとづいて叙述する待望の通史。
[ 目次 ]
第1章 朝鮮の開国
第2章 「軍乱」とクーデター
第3章 日清戦争前後
第4章 日露戦争下の韓国侵略
第5章 保護国化をめぐる葛藤
第6章 韓国併合への道
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
この本が好きな人におすすめの本
海野福寿の作品
本棚登録 :
感想 :
