インターネット (岩波新書 新赤版416 新赤版 416)

  • 岩波書店 (1995年11月30日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784004304166

感想・レビュー・書評

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  • 日本のインターネット黎明期の名著。

    インターネット発展の背景や裏にある哲学など、物語を追いながら理解できる。
    インターネットに関する書籍をいくつか読みながらも、線で捉えられていなかった概念がわかりやすく解説されていた。(例えば、メール〜ファイル共有システム〜wwwの登場 など)

    20年以上前の1995年に書かれた本だが、インターネットの根底の部分は変わっていないことが汲み取れる。ITに関連する昔の書籍は、情報が古くなるので読む意味は薄いと思っていたが、本書を読んで考えを改めた。

  • インターネット初期に書かれた本。当時の空気感が分かって良い。

  • インターネットは、それを作った技術者たち自身も「奇跡」と呼ぶほどの、「いい加減な技術」で出来上がっているという。
    インターネット技術の発展を後押しした独特な文化というか、技術に関する考え方というか。それがとても新鮮で面白かった。25年も前の本なのに。

    「ふつうは、新しい技術を作ろうというときには、原理とか哲学、そして、技術的な仕組みについて議論しながら決めるのですが、インターネットの技術を決めていくときには、どれだけの技術者がその技術を支えられるだろうかという、人間の能力の問題を非常に重視します。つまり、どんなよい技術でも、それを支えることのできる技術者が少ないならば、普及して運用されることが無い、と考えているのです。」(p41)

    「どんなテクノロジーでも、ソフトウェアでもそうでしょうが、90%のところまでは比較的簡単に作ることができます。しかし、残りの10%を詰めるために、膨大な労力やコストがかかるのです。つまり、この10%の部分を省いたり後回しにできると、ものすごく安価に作れる。とりあえずは90%作っておいて、必要な時だけ残りを詰める--この分離が可能だということが、一般的なエンジニアリングと比べた時の、インターネット技術の面白さです。」(p43~44)

  • 超良い。

    ・インターネットが普及した理由
    1.ハードが処理・制御する性能up
    2.IPの仕組みは普及のためにできる限り簡単に設計されたため技術者参入への敷居の低さ
    3.90%の完成度で良いという利用への敷居の低さ

    ・人間中心設計から生まれたインターネット

    ・インターネットは国境の概念が弱い
    例、国別ドメイン名に当時イギリスはGBが正しかかったが、ukで良いんじゃね、みたいなノリでukになった
    国境を越えた倫理を考える必要がある。


    ・当初のインターネットへの期待と、ぼくが考える実情の齟齬
    p.103にインターネットでは大規模なコミュニケーションに「力」は必要がない点が革新的だと記されていたけど、実際は現実の拡張、部分集合であって、「力」が必要な文脈は当初の期待より多いのではないかと感じます。

  • 例え含めて説明が簡潔で分かりやすい。今でも読まれているのがわかる。

    従来のメディアとの違いとして「双方向性」「対等性」はよく言及されるけど「日常性」ってのは面白い。一方向のメディアで多くの人が同時に見るってことは、それだけたくさんの人が共有して話題にできること=非日常さが必要だったということ。

    今でも入門書としての役割は十分果たしている。

  • インターネット (岩波新書)

  • 本書が著されたのは、奥付によると1995年11月30日です。
    本書が著されてから、既に10年以上の時間が流れた事になります。
    しかし、本書が示している道筋は、決して古びてはいません。
    それどころか、今でも煌煌と「インターネット」が辿るべき道筋を照らしています。

    技術的な解説の殆どは、確かに今では古びてしまっています。
    それは、"dog year"と呼ばれる進化の速度を考えれば当然の事です。
    とはいえ、それは今現在においても「インターネット」の根幹を成しています。
    そして、第4章、5章に示されたものは、決して古びる事はありません。
    そこに書かれているのは、「インターネット」の理念です。
    どういう目的で、「インターネット」というものが産み出されたのか。
    そして、「インターネット」とは何を目指しているものなのか。
    そういう、「インターネット」の本質が、そこには記されています。
    何故、そのような本質を記す事が出来るのか。
    その答えは、本書の著者が「「日本のインターネットの父」こと村井純氏だからです。
    氏の業績については、本書を読めばしみじみと思い知ることになります。

    「インターネット」は、この数年で爆発的な躍進を遂げました。
    今や、社会インフラとしての一角を担うほどの影響力を示し始めています。
    しかし、その発展とは裏腹に、その本質を理解されては来なかったように思います。
    それは「単なる便利な道具」といった部分に留まるようなものではありません。
    本書から引用しましょう。<blockquote>インターネットの上で生きていくということは、新しい国際社会――「国」が意識されないのだから、「国」際というのはおかしいかもしれません。地球の社会とでもいったほうがよいでしょうか。――をつくっていくということにほかなりません</blockquote>つまり、これまでの「世界」を根底から覆す可能性をも秘めているのです。
    何を大袈裟な、と思う人もいるかもしれません。
    しかし、ちょっと考えてみれば、すぐに理解できるでしょう。
    「インターネット」では、自国外の人の発言でも、自国の人の発言とまったく同列に読むことが出来ます。
    そこには言語という高い壁があるため、日本語圏では実感しにくいかもしれません。
    しかし英語圏に住む人にとって、この衝撃はかなりのものだと想像できます。
    文化圏の違う人の発言が、同じ文化圏の人の発言と同列に並ぶのですから。

    繰り返しますが、「インターネット」は身近なものとして浸透し始めています。
    だからこそ、「インターネット」に関わる人にとって、本書は必読の書です。
    技術者は当然、ただの利用者であっても、きちんと認識するべき時期にきていると思います。
    そして、これから「インターネット」はどうあるべきなのか、考えてみるべきです。

  • 【読書ノート】
    ・ニーモシネ1-7(2010/7/26)

    【要約】


    【ノート】
    ・いまさらだけど。

    ・思った以上に読みやすかった。

    ・テクノロジーの進化により、コミュニケーションのあり方、ひいてはコミュニティのあり方が変わっていき、それを考えていくのは、テクノロジーではなくて、人間。

    ・だが、この本が書かれた時から現在まで約20年が過ぎようとしているが、果たして、そのことがきちんと議論されてきているのだろうか?

    ・いやいや、そんな他人事じゃなくて、自分自身が、そのことを考えているのかと言われると、気づきもしませんでした、というのが正直なところ。

  • 「人類の歴史はメディアのいろいろな制限によって多くの情報を切り落としてきたと言えます。そこで、人間が本当の意味で知識や情報を摂取する空間は何なのか、コミュニケーションをする空間はどのようなものか、と立ち戻って、インターネットのテクノロジーで考え直してみると、いままで切り落としたものをもう一度復活させることができるかもしれない。復活とまではいかなくとも、これからはできるだけ切り捨てずに行けるかもしれない。」

    インターネットの第一人者が見据えていた「その先」に、時間が経った今でもグッとくる。

  • インターネットの歴史が,事実の羅列ではなく,当時動いていた人たちの気持ちや,インターネットそのものの概念と共に,丁寧に説明されている。読んでいて,学生の時と今とでは確実に視点が変わっていることも感じた。技術的なことも比較的丁寧に書かれていて,特に公開鍵・共通鍵・電子証明あたりの説明は,クレジットの例もあいまって非常に分かりやすく感じた。

  • インターネットの歴史に加えて問題、課題なども意識出来る。

    以下はいずれふりかえりたい節
    第1章 インターネットの仕組み / 通信サービスのコストの問題
    携帯回線 ( 従量課金 ) と固定回線 ( 固定課金 ) の課金制の違いを技術的な切り口で説明されている。

    第1章 インターネットの仕組み / 「いいかげんな」技術の集合
    "We reject kings, presidents and voting. We believe in rough consensus and running code". - David D. Clark
    上記はデービッド・クラークの翻訳前の発言 ( 本書には翻訳語の発言が記述されており、そちらはフレーズに登録済 ) 。ラフ・コンセンサス。

    第3章 メディアとしての可能性 / インターネットが変えた意思決定のプロセス
    リモートワーク等の場所に囚われない働き方が注目されている今こそ読まれるべき。当社もリモートワークを導入してはいるが、大事な意思決定は東京の本社でといった制約がある。IT 企業であるのに嘆かわしい。

    第5章 インターネットの重要課題 / 情報社会におけるコンピュータ・リテラシー
    情報リテラシーの低さの原因は何なのか。どの時期に養うべきなのか。

  • インターネットの黎明期から個人に定着し始める前段階、windows95の発売前まで。

    古典だけど、インターネットへの向かい方については現代に通じるものがある。

  • 読了。古い本ですが良書だと言われている理由がよく分かります。インターネットの仕組みや歴史を、分かり易い日本語で噛み砕いて説明している。もちろんテクノロジーとしても知っておくべきだけど、そもそも仕組みはこんな感じ、っていうのを日本語で説明できるってものすごく大事だなー、と。

  • 読了。
    95年のその時代のインターネット史や当時抱えている問題などが描写されており、その後インターネットはどうなっていくのかなどが書かれている。
    現行の技術も基礎的には全く同じで動いており、なかなか面白かった。
    しかし、20年経った現在は著者が考えているよりも大きなスピードでインターネットという世界が進化し生活に組み込まれているのかという対比が非常に面白かった。(文中では現在あるようなVODは実現可能性が低いものであると述べている。)

  • 日本におけるインターネット環境の整備に尽力した著者が、インターネットの基本思想について分かりやすく語った本です。

    ドメインや2バイト文字の問題など、著者自身が直面したさまざまな問題についての回想もあり、歴史的な観点から興味深い話が多く語られています。

  • インターネットとは何ぞやってことをわかりやすく解説した本。
    20年近く前の本なのにあまり情報が古臭く感じない。
    多少不整合があってもとにかく動けばいい、というインターネットの思想が興味深かった。

    食事のマナーなどの躾のようにインターネットでのルールも子供が小さいうちにちゃんと教えるべき、という著者の考えにも同意。

  • 2013.9.13 pm6:29読了。15年以上前に書かれた本とは思えない。現時点で既に確立していると思われる技術についての予測などがあった。しかしその予測も的を得ていて当たっていることが多いように感じた。インターネットについてさまざまな視点から説明しており面白い。中学・高校で学んだ情報を少し詳しくした感じ。当時はテストのろための暗記しかせず、本当に理解していなかったので本書読んでインターネットの枠をぼんやりと掴めた感じ。頭に入ったかというとそうではない。インターネットが世界中に普及した理由が少し分かった。インターネットは便利だから世界中に広がったと単純に表面的に捉えていた自分の馬鹿さ加減に気づけたので良かった。インターネットは思想や論理、経済といったさまざまな分野が関連している。インターネットを本当に理解するにはそのような分野の知識も必要と痛感。関連本と合わせて読み、学びたい。再読必須。

    以下、印象に残った言葉。

    『規制というのは、そう考えると恐ろしいものです。限られた前提のなかで考えることを私たちに強いているのですから。』p159

    『すべてをインターネットでやる必要はないのであって、ほかのメディアとの複合的利用が進むほうがはるかに意味があります。』p175

    『テクノロジーが人間の社会をどのように変えていくかということについて、その方向性を決めるのは、あくまでもテクノロジーの基盤の上に立っている人間の責任でしかありえません。テクノロジー自体が決めるものではないのです』p204

    『インターネットは「地球の上のスノコ」』p202

  • 95年に書かれた本のため、内容的に使えない部分もあるが、インターネット創世の概念的な箇所や、技術的な箇所はわかりやすくて勉強になった。

  • 95年発行の本なのに、今読んでも全く古くない!評判通り。

    インターネットは、鉄道路線のようなもの。乗換駅がある、鉄道会社によって運営元もちがう、出発地から目的地への行き方も一通りではない。

  • (1996.02.28読了)(1995.12.04購入)
    内容紹介 amazon
    インターネットとは何か.「コンピューターネットワークのネットワーク」だと簡単に説明され,ビジネス面での活用がもてはやされているが,本来の力は遥かに大きい.これまでのパソコン通信とは全く異なる思想にもとづいた,人間活動の新しいインフラストラクチャーとしてのインターネットの本質を,日本での第一人者が熱く説く.

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著者プロフィール

慶應義塾大学環境情報学部長、同教授。
工学博士。1984年国内のインターネットの祖となった日本の大学間ネットワーク「JUNET」を設立。1988年インターネットに関する研究プロジェクト「WIDEプロジェクト」を設立し、今日までその代表として指導にあたる。内閣官房情報セキュリティセンター 情報セキュリティ政策会議委員、社団法人情報処理学会フェロー、日本学術会議第20期会員、現在は連携会員。2000年~2009年7月まで内閣高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)有識者本部員。その他、各省庁委員会の主査や委員などを多数務め、国際学会などでも活動する。著書に『インターネット』(岩波書店、1995年)、『インターネット新世代』(岩波書店、2010年)など多数。

「2016年 『価値創造の健康情報プラットフォーム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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