ユーゴスラヴィア現代史 (岩波新書)

著者 : 柴宜弘
  • 岩波書店 (1996年5月20日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004304456

ユーゴスラヴィア現代史 (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • ユーゴスラヴィアという、今はなき国家を、近現代の歴史から遡って記載されている。
    途中途中は、専門家が書いているためかなり記載が細かいが、ユーゴについて知る時、91年の解体前後だけではなく、近代史まで遡って考えることで知識に深みが増した。
    第一次、第二次世界大戦前後の欧米の思惑や、冷戦の構図を考えながら読むことができた。

  • 入門者向けの様でそうじゃない本。まずは慌てず"図説 バルカンの歴史 (ふくろうの本)"を読んでからでも遅くはない。

  • 第一次大戦の引き金となったオーストリア皇太子が暗殺されたサラエボ事件が起きたバルカン半島。ヨーロッパの火薬庫という別名を中学の歴史で記憶させられたが、それ以上の詳しい歴史については学ぶことはなかった。
    現代では、ユーゴ内戦があり、フランスワールドカップではクロアチアという国名が一躍有名になったが、全体的な経緯は知らぬままだったので読んだ一冊。

    本書では一次大戦からユーゴ内戦までを主に記述されている。南スラブの歴史的な経緯、各共和国の特徴、チトーによるユーゴスラビア成立、社会主義国家のもとでどのように共和国間の利害を調整したか、また内戦への推移、内戦下の悲惨な虐殺など、大変勉強になった。
    個人的に印象に残ったのは、今は民族間の憎しみが依然と残るボスニアヘルツェゴビナは、内戦前は3民族(セルビア、クロアチア、ボシュニャク)が融和して暮らしていたという点である。また、そのように融和していた民族でさえ、いざ内戦が起こると民族浄化という狂気が起こってしまうという事実である。
    現代においても虐殺は起こるという事実に非常に暗澹たる気持ちになったが、いつの日か平和が訪れることを願わずにはいられない。

  • 戦時からすでにあった民族紛争の種。

  • この本では締めくくりとして、

    「民族自決と国民国家は果たして本当に最良の選択なのだろうか」

    という問いを投げかけている。

    ユーゴスラヴィアでは経済問題を端に発し、各民族が独立する過程において凄惨な殺し合いとなった。これは何もユーゴに限らない。イスラエル・パレスチナ、インド・パキスタン、同じではないだろうか。

    もしかしたら、うまくいった国だってあるかもしれない。
    国民国家は民族にとって悲願であり、何を持ってしてでも否定できないと言われるのかもしれない。

    しかし、民族紛争は争いの種を生み、それはどちらかが絶滅するまで互いを恨み合い、いつまでも続く。

    例えばボスニアのような多民族国家において、闘争を和らげる手段はないだろうか。
    著者は別の帰属意識を持つことにより、争いを軽減できるのではないかと提案している。

    例えば、同じく居住する地域に対しての愛着や、同じ言葉を話す者同士の愛着など、民族という枠だけにこだわり過ぎず、同じレベルで相対化できれば、民族紛争は軽減できるのではないか。
    ベルギーにおいては、それが成功していると書かれている。

    僕は、これを日本人的な発想のようにも思える。
    ユーゴスラヴィアという国はそもそも、それを実現しようとして、失敗した国だったように思う。

    ソ連のように、上からの統制で成り立っていた社会主義国家とは違い、チトー率いるユーゴは民族の枠を越えてドイツと戦い、互いに協調し合い、国を育もうとして、そして失敗していった。

    課題は、経済問題においての脆さと、民族同一性以外の面について、プロパガンダ・結束力の弱さだろうか。

  • 民族、国家、宗教の絡み合い。
    ユーゴにおいても壮大な「実験」でもってこれらのパズルを解こうと試みたがあえなく挫折を見た。
    思うにこの問題は人間の業そのものであり、未来永劫解けることはないんだろうな。
    悲観的ではありますが、これらがこんがらがってしまった場合には行くところまで行きつかないと収まりがつかないんでしょう。
    故にせめてこんがらないよう、時には「大人の対応」も必要ということです。

  • ふくろうシリーズの「バルカン半島」も編集している著者の新書版。

    現代史とはあるが、簡単に近代史の流れからユーゴスラヴィアが成立し、それが崩壊していく様子を概論的に描いている。ソ連が崩壊したときには、社会主義国家の経済的破綻と民族主義が重なっていたが、ソ連とは違い、緩やかな連合であったユーゴスラヴィアでも、民族や言語の壁や近親憎悪ということは乗り換えられなかったのだと思う。

    報道では、大セルビア主義を掲げたセルビアが悪い論調があったが、これは報道偏重や歴史的な流れの中で進んできたことだとわかった。1996年発刊で、この後コソヴォ紛争など、旧ユーゴはいろいろな意味で、民族や人間の姿を歴史の中で提示しているように見える。

  • 東欧と西欧、またトルコが近いこともあり数奇な運命をたどるユーゴスラビア。
    読めばだいたい分かるので多言を要さないが、やはり「民族とはなにか。単に国家を与えて自決させればよいのか。」を考えざるを得ない。
    日本はなかなか民族を意識しないが、ないわけではない。
    ユーゴスラビアはヨーロッパ連合への加入を模索する中、入れば「民族の克服」をなし得るであろう。

  • 民族紛争なんかじゃない。
    その背後にあった経済的理由。
    メディアによって民族紛争という言葉に摩り替えられた現実。
    マスゴミに踊らされないためにも、情報を見極める「眼」を持たなければならない。

  • ユーゴスラヴィアの近現代史について、ざっとわかる。
    大変わかりやすく、単なる歴史だけでなく、ユーゴ内戦を通じ民族の在り方について考えさせられる本。
    個々の人物や事件についてはあまり詳細には書かれていないので、それらはまた別の本で。

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