南アフリカ: 「虹の国」への歩み (岩波新書 新赤版 473)

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  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004304739

作品紹介・あらすじ

一九九四年に全人種参加の総選挙を行って、新体制への船出をした南アフリカ共和国。アパルトヘイト制度を撤廃し、「違いを尊重した統合」に向けた壮大な実験が始まっている。複雑な人種関係と地域の多様性、都市化を軸にした近代化に着目して、近・現代史を綿密に検討し、直面する「負の遺産」や、国際社会のなかでの位置を描ききる。

感想・レビュー・書評

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  • サイ人、コイコイ人(コイサイ人)、ソト人、コーサ人、ヴェンダ人、ズールー人、ツワナ人、ツォンガ人など。
    アフリカ系の人達と、白人、インド人などの混合民族。
    アパルトヘイトと都市化。
    民族という視点はいろいろ得るところがありました。

    しかし、個々の民族が、どういう産業、文化、食生活、風俗、芸術を持っているかが見えていない。
    南アフリカの課題は多いが、産業と文化が明確でないと、未来が見えない。

  • 聞いたことはあるけど、どんなところか知らない南アフリカ。都市化という視点から。

  • アパルトヘイトは撤廃されたが、格差は広がるばかりではないのだろうか。

  • (2003.11.25読了)(2000.07.08購入)
    南アフリカの人種隔離政策は、いつごろ始められて、それがどのように突き崩されて廃止になり、ネルソン・マンデラ大統領の登場に至ることになったのか?
    その後の南アメリカは順調に、秩序が保たれ人種間の融和が図られているのだろうか?
    というようなことに答えてくれる本を期待して読んだのですが・・・。
    全人種参加の総選挙が実施されたのが、1994年。この本が出たのが1996年なので、総選挙後の様子は、ちょっと時間が足りない。
    この本で扱われている南アメリカの歴史は、15世紀末のヴァスコ・ダ・ガマのころも含まれている。そういえば、白人はそのころから頻繁にアフリカを訪れるようになりアフリカ人奴隷をアメリカに運ぶようにもなってゆくのだから。
    1652年オランダがインドへ行くための補給基地としてケープタウンに80名の人を入れた。
    その後民間の入植者も入り白人が少しずつ増えていった。植民地の建設には、アジア系の奴隷が使われた。入植者は、男性が圧倒的に多いので、女性は現地調達になってしまい混血が生まれる。白人とアフリカ人、白人とアジア人の混血が生まれ、カラードと呼ばれる。
    1795年イギリスがオランダからケープ植民地の支配権を奪った。1820年に5000人のイギリス人移民が到着した。白人が増えると、土地の現地の人はどんどん追い出されていくことになる。労働力としては、インド人が南アフリカに年季奉公の契約の基にやってきて住みつく。1893年モハンダス・ガンディーがインド人商人の依頼を受けて弁護士としてやってくる。このときのガンディーの年齢は23歳。弁護士資格はロンドンで取得している。
    ガンディーは1914年にインドに帰国して独立運動の指導者として働くまでの大部分の時期を南アフリカで過ごしている。
    1869年にスエズ運河が完成し、東方貿易の中継地としての役割が減少した。ところがその2年前の1867年にキンバリーでダイヤモンド鉱山が発見されたので、新たな経済機会が提供されたことになる。
    1949年 雑婚禁止法、1950年 背徳法 人種間の結婚と性交渉を禁止
    1950年 人口登録法 白人、カラード、インド人、アフリカ人の4つの人種に分類
    1950年 集団地域法 人種別の居住区を指定
    1953年 隔離施設留保法 あらゆる公的な場所に白人用、非白人用の掲示
    このようにして、人種隔離政策(アパルトヘイト)が完成した。
    多くの人の犠牲の下に、1994年に総選挙の実施にこぎつけ、アパルトヘイトは終焉。
    総選挙が多数の参加により行われた原因を著者は、比例代表制を導入したことに帰している。それまでは小選挙区制だったので、少数者の代表を国会に送ることができなかったのだが、比例代表制により政党の支持率に応じた議席を獲得できることになった。その結果、選挙ボイコットを叫んでいた政党も最終的には選挙に参加することになった。

    スポーツの国際大会に、南アフリカが復帰し、上位に入ってくるのを見ると国力をつけてきているのがわかる。

    ●関連図書
    「南ア共和国の内幕」伊藤正孝著、中公新書、1971.02.25
    「南ア・アパルトヘイト共和国」吉田ルイ子著、大月書店、1989.02.20
    「アパルトヘイトの子どもたち」吉田ルイ子著、ポプラ社、1990.04.
    「南アフリカの新しい風」吉田ルイ子著、大月書店、1995.12.08
    「少女マギー」吉田ルイ子著、ポプラ社、1996.05.

    著者 峯 陽一
    1961年 熊本県天草生まれ
    1987年 京都大学文学部史学科卒業
    専攻 世界経済論、アフリカ地域研究

    (「BOOK」データベースより)amazon
    一九九四年に全人種参加の総選挙を行って、新体制への船出をした南アフリカ共和国。アパルトヘイト制度を撤廃し、「違いを尊重した統合」に向けた壮大な実験が始まっている。複雑な人種関係と地域の多様性、都市化を軸にした近代化に着目して、近・現代史を綿密に検討し、直面する「負の遺産」や、国際社会のなかでの位置を描ききる。

  • 2冊

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著者プロフィール

同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教授

「2023年 『開発協力のオーラル・ヒストリー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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