日米安保解消への道 (岩波新書 新赤版 476)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004304760

作品紹介・あらすじ

九月八日に行われた沖縄県民投票で、全有権者の過半数が、「基地縮小賛成」の意思表示をした。沖縄からの重い問いに本土の人間はどう応えるのか。冷戦が終結してもまだ、安保条約は必要なのか。戦後の日米関係をたどりながら、「核の傘」の幻想、「思いやり予算」の無用さなどをとりあげ、安保解消の道筋を具体的に明らかにする。

感想・レビュー・書評

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  •  一橋大学名誉教授であった経済学者・都留重人の著作。

    【構成】
     序章 沖縄の主張
     1章 日米安保の成り立ち
     2章 冷戦終結で迎えた転機
     3章 日本の安全は「核の傘」のおかげか
     4章 在日米軍「安あがり」論について
     5章 安定化装置としての役割
     6章 米国の世界戦略と日本
     7章 「びんのふた」説への疑問
     8章 日米安保の解消をめざして

     1995年2月、ジョセフ・ナイjr.国防次官補の提案、「ナイ・イニシアティブ」が示された。

    要約すると

     A 米国国防予算の立場からの打算的考慮として、
       米軍の駐日は安あがりであるという判断。
     B 東アジア太平洋地域における米国の安全保障戦
       略の立場からの日米安保の役割について。
       ・パワーバランサー、びんのふた
       ・東アジアの安定化
       ・世界戦略の中の日本の位置づけ

     本書はその引用先の大半が『朝日新聞』『週刊朝日』『週刊金曜日』『朝日ジャーナル』『世界』であることから、その方向性が容易に想像がつく。というより『朝日』の論説のダイジェストと考えて差し支えないだろう。

     上で示した「ナイ・イニシアティブ」の内容をもとにして、日米安保の再定義に疑義をなげかけるとともに安保解消の可能性と方法を論じるものである。

     日米安保は周知の通り、冷戦下における対ソ・対中共の封じ込め戦略の一環として独立する日本に対して米国が締結を求めた条約である。それは紛れもなく軍事的関係を規定するものであった。
     で、あるならば、この日米安保解消の是非を論じるならば、この軍事戦略が軍事的な合理性・妥当性をもつのかということを中心に極めて実証的に論じられるべきであることは明らかだろう。しかし、本書はそのような実証は一切行っていない。検証の方法・手段が全く間違っていると言わざるをえない。

  • これからの日本がどうあるべきかを問う本。
    在日米軍は、極東の平和のためにいるといっていますが、実情は自分で起こした波を自分で片付けているだけだとか。
    しかも日本に駐留することは安上がりだそうですよ・・。

    国連本部を沖縄に移設するという案は、非常に面白い案だと思いました。
    平和国家である日本にふさわしいと思います。

    ただ本業は経済学者とのこと、少し「えっ」と思わせる箇所もなくはありません・・・。

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著者プロフィール

ハーバード大学経済学部を卒業。一橋大学学長を経て、朝日新聞社論説顧問。一橋大学名誉教授、経済学博士。
訳書に、サムエルソン『経済学』上・下(岩波書店)など。講談社より『都留重人著作集』(全十三巻)を刊行。

「1974年 『経済学はむずかしくない(第2版)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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