交通死―命はあがなえるか (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004305187

作品紹介・あらすじ

私たちはいつの間にか毎年交通事故で一万人以上の生命が失われるという現実を当たり前と感じるようになっている。しかし機械的な事故処理、「生命の値段」の決めかたに異を唱えるのは非常識なのだろうか。交通事故で最愛の娘を失った著者が、事故当夜から刑事裁判、賠償交渉、民事訴訟に至る「人間としての死」を取り戻すための闘いを綴る。

感想・レビュー・書評

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  • ご令嬢をなくされた著者にとって、
    交通事故死でも、交通死でもなく、きっと「自動車殺人」という書名にしたかったに違いない。
    現在の自動車に関連する死亡事案に対する思いが伝わってくる。

    法律、経済に関する事項は、ひしひしと伝わってくる。
    1997年の著作で、その4年以上前の事案であるため、15年を超えている。
    現状はどうだろうか。

    交通死亡事案に対する解決策が示されているだろうか。
    法律、経済に関しては、少しづつ改善されているかもしれない。
    技術、道路政策に関しては、それよりももっと遅いのではないだろうか。

    著者が、経済学者であるため、経済から法律への広がりがあるが、
    技術、道路政策への広がりがないため、読者が気がつかない可能性がある。

    運転者の責任を問うのであれば、自動車に記録を義務付けることが大切である。
    ドライビングレコーダという運転記録は、今では、安価に製造できるし、
    カーナビがあれば、その機能を果たすことは容易だ。

    タクシーなどは、昔からタコメータという運転記録があったし、
    今では画像付のドライビングレコーダが普及している。

    それにもかかわらず、一般車両は、タコメータに相当する運転記録が義務付けもない。

    運転者の責任を追及していくと、道路設置者の責任が浮かび上がってくるかもしれない。

    機械安全では、隔離の原則が重要である。
    歩行者が自動車から隔離されるのは、道路設置者の義務であるはずだ。

    歩行者道路と、自動車を隔離していないことが死亡の原因である可能性もある。
    さらに一歩踏み込んだ議論があるとよい。

    2008年の安全工学シンポジウムでは、死亡事案の遺族の方から、
    運転記録の義務付けが話され、会場で否定する人は見当たらなかった。
    それにもかかわらず、実現への道のりが見えてこないのはなぜだろう。

    道路設置者の責任が余り問われないのはなぜだろう。
    まだまだ、検討すべき事項があるのだろうか。

  • 突然、我が子を失った経済学者が、その後になされた裁判や損害賠償などの体験を踏まえて、交通事故について考察したもの。出版時と現在とは事情が異なるところもあるが、経済学的視点を織り交ぜつつ、交通事故への法的対応をめぐる問題点を鋭く考察している。

    OPACへ⇒https://www.opac.lib.tmu.ac.jp/webopac/catdbl.do?pkey=BB00595420&initFlg=_RESULT_SET_NOTBIB

  • 読了日:2011年4月頃

    民事訴訟法の先生が民事訴訟の外観を知るのにおすすめしていました。(民事訴訟の外観を知るのにおすすめとは知らずに単にタイトルに惹かれて読んだのですが)
    交通事故で亡くした筆者の娘の刑事訴訟および民事訴訟の話にくわえて、当時の慰謝料算定方法等についての検討についても書かれているので不法行為法関連も学べます。

    今から約10年ほど前の話であり、筆者の訴訟に対する批判が書かれています。
    刑事裁判に関してはおそらく筆者の思ったことをカバーするような制度ができましたが、民事裁判に関しては約10年経った今でもあまり変わりがありません。
    死亡した被害者に対する賠償金の問題、そして日本の裁判のあり方について深く考えさせられます。

  • 女性の命の値段は、男性の6割

  • これには深く考えさせられた。男女の別によって、子供が交通死した際の逸失利益が違うこととか、知らなかったことが多くあって衝撃でした。そういえば、数年前、美容院でブリーチに失敗し、頭皮に火傷を負い、痕が残った男性が、その際にもらえる慰謝料が女性より低いのは差別だとかいって訴えている事件があった。あれも逸失利益と根本は同じ問題なんだよな〜。とふと考えた。

  • 分類=法律・車社会・交通事故・子供・老人。97年8月。

  • 2004年3月16日

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