民法のすすめ (岩波新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004305361

感想・レビュー・書評

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  • 1月?
    「民法のすすめ」という題名ではあったが、内容はとても重厚なものであった。民法を多角的な点からとらえ説明している。私は民法を勉強する機会があったが、それは条文が中心であり、その条文の後ろに脈々と流れていた(だろう)歴史に目を向けることはなかったが、本書を通し、フランス民法典から、民法の理念から説き起こしていった点は興味深かった。構成は、家族法と財産法を中心に、フランス民法典から民法の将来の時間軸をもって説明している。中でも、財産法、家族法における人間像の変化という記述は面白かった。財産法においては、「強く賢い人間像から弱く賢い人間へ」という変化、家族法では、「自由・平等の理念の法律上の徹底」「弱者の保護、教育」ということが指摘されている。そして、将来において民法の変化として考えるものとして、筆者が述べていたのは、財産法においては「市場経済があるかぎり、これを支える法的基礎としての民法は変わりようもない・・・民法典という形式から見ると、その規制する社会領域の縮小と、縮小した部分の特別法による置換ということになる。」とし、家族法においては「婚姻や親子には、最低限の民法的枠組みが必要であり、その範囲内でどこまで多様性・寛容性のある家族法を作るかが、将来の法律家に課された課題となる。」と指摘している。これらの指摘に基づいて今後の民法の変化に注目していきたいと思う。

  • 新書版の民法入門ということで、現代社会のアクチュアルな問題を題材に取って民法の観点からどのように考えるのかということを分かりやすく解説している本を期待したのですが、案に相違してかなりヘヴィーな内容でした。法哲学ないし法制史の観点から、「公と私」や「市民社会」といった概念を洗い、私たちの社会において民法の持つべき役割について考察しています。

    民法の理念についての概念史的な検討をおこなうに際して、著者はしばしば専門家ではないので十分にフォローできないとエクスキューズをおこなっていますが、とはいっても学者としての良心なのでしょうか、新書本の中で簡単に取り上げるには不釣り合いなほど、突っ込んだ議論に踏み込んでいます。ただやはり、こうした議論をおこなうのであれば、「民法のすすめ」というタイトルを持つ新書という場所はあまりふさわしくなかったのではないかという気がしてしまいます。

    おそらく優れた内容を持つ本なのだろうとは思うのですが、未消化のまま読み終えてしまうことになりました。

  • 新書ですが、これは読み応えがある!民法がわが国の社会の中で果たしている役割を述べるだけなら単なる教養本と扱えようと思われるのに、本書は民法の成り立ち(それもローマ法まて遡る!)から、民法の将来の姿まで言及している点がすごいと思われるのです。

  • 文体がやや堅苦しい。法律についてだからしょうがないが、勧めと言っている割には読みにくい。3.4章は筆者の専門分野ではないらしく語尾が不安定であったから読み飛ばした。歴史上2度のねじれ(トップダウン的な革命)のある日本に西洋のような法意識が欠落していることが筆者の問題意識。民法が經濟・家族などの基礎的な生活分野を包括していることはわかった。日本民法典についての記述は面白かった。大学1年冬に受けた西洋近代法史の授業を思い出しながら日本の民法典の系譜について理解を深められた。

  • 数々の法律解説書が岩波から出ている中、民法と日本人との関係を切り口に、法律解説書をまとめなおした一冊。

    民法を読み解く前にまず筆者は、「法」と「法律」の違いから解説する。日本人は、「法(=法律より狭義で、身の回りを取り巻くルールや規範)」を守るけれど、「法律(=国会や議会で決められルール)」は嫌いだという。そして、民法より刑法のほうに興味関心があるという。

    民法は、個人と個人、そして個人と法人・国家が対等でかつ良好な関係を保っていられるためのルールである。
    以前民法は不安定を嫌う、と習ったことがあるが、日本人の市民社会・共同体での関係を良好にするためであれば、民法が不安定を嫌うのもよく分かる。

    最後は民法への期待でまとまったが、日本に民法が「輸入」されたときから法務省がどのように考えて策定されてきたのか、そして現在へどう改変されてきたのかが平易に解説されていて、民法の入門書としてはぴったり。民法に関連して「社会と世間」「市場経済」など言葉の解説も多い。
    東大の先生ながら、放送大学生向けの書物を目指していたらしく、読み口は軽く、頭にも入ってきやすいのでおススメの一冊。

  • 著者は十数年前に人気を博した民法学者で、確か敬虔なクリスチャンだったと思いますが、本書でもそういった倫理観が色濃く反映されています。大学の一般教養で開講されている『法学』という講座で、民法をモチーフに近代市民社会を支えるル-ルや理念を解説するための教科書といった感があり、これから民法を学習しようという方はもとより、ある程度は学習が進んだ方が民法を色々な角度から鳥瞰したいという目的にいいでしょう。

  • 国際商務論の任意課題図書。

    ぜんぜん脳に入ってこない。。涙
    私、この手の話に疎すぎる。

    「日本人が法・法律にあまり関心がない一つの原因は、高校までの過程で、憲法はともかく、あまり法・法律について教えられていないことにあろう。確かに、社会科系の授業で、かなり詳しい法律知識を教えられている場合がある。しかしそれらは、単に知識であって、法や法律の基本的な考え方や在り方について教わってくる人は稀である。」(P5)


    著作権関連の話は少し気持ちが向いた。興味あるのかな。
    弁理士さんが扱うジャンル?

    >つまり著作権法は、「民法」の特別法(二〇頁以下)である。著作権その他「発明」を保護する特許権などを、かつては「無体財産権」と呼んだが、今日では「知的財産権」と呼ぶのが通常である。(P43)

  • [ 内容 ]
    国家と古い共同体を軸とする社会から、自立した個人によって形成される社会を重視すべきことが強調されつつある今、私たちは民法を避けては通れない。
    人と人を結びつける法である民法は、ビジネスや市民運動、日常生活の見えざる基礎を成している。
    社会を創り活動する市民のために、民法学の第一人者がその基本理念と役割をやさしく解説。

    [ 目次 ]
    第1章 法、法律、民法
    第2章 生活規範としての民法
    第3章 民法と市場経済
    第4章 民法と市民社会
    第5章 民法の技術
    第6章 民法の理念
    第7章 民法と人間
    第8章 日本民法典
    第9章 民法の将来

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 民法について、我々の生活といかに関わり合っているか、そしてそもそも民法の理念とは何かという本質的な問いに返っていく構成。

    「家族法は人間の愛を規律できるか」など、法とは何かという問いかけをしているかのようなテーマでの議論は興味深い。

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