プラトンの哲学 (岩波新書 新赤版537)

  • 岩波書店 (1998年1月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (234ページ) / ISBN・EAN: 9784004305378

みんなの感想まとめ

哲学の深淵を探求する本書は、プラトンの思想を新たな視点から理解する手助けをしてくれます。著者はプラトンの著作を年代順に解説し、彼の探求がどのように深化していったのかを明らかにしています。特に、イデア論...

感想・レビュー・書評

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  • 昔々に、読もうと思って積ん読してた本。「生命力」のことを「プシューケー」とか書いてあるし、いや、難しい本でしたよ(だったら読むなよ!)。プラトンと言えばソクラテス。ソクラテスと言えば「無知の知」。知らないことは知らないと、素直に言おう!何歳になっても!そんな感想しか書けない……

  • 岩波文庫の古典ギリシャもので好きな翻訳者である藤沢令夫先生によるプラトン入門。
    著作を年代順に解説しており、それによってプラトンが探求したものが深化しながら、ときに自己批判しながらも展開されているさまが概観できた。そこから文庫のタイトルだけではわからない、著作群からなる関係性が見えてよかった。
    個人的には、イデア論を自己批判した(また後世の誤解の元となった)『パルメニデス』にたいして、熱っぽくソクラテス=プラトンを擁護しているところが印象に残った。冒頭もそうだが、後世誤解に晒され続けているプラトンを救い出そうとする意思がーーもちろん藤沢氏は一級の研究者であり、テキストから救い出すのは勿論だけれどーー僕にとっては、論理いじょうにとても胸を打たれた。
    冒頭、「金や評判・名誉のことばかりに汲々としていて、恥ずかしくないのか。知と真実のことには、そして魂をできるだけすぐれたものにすることには無関心で、心を向けようとしないのか?」と『ソクラテスの弁明』から引用している。素朴だと誹りを受けるかもしれないけれど、現代でもほんとうに大事なことだ。
    終章において、プラトン哲学から現代批判をしていて(物質主義が蔓延する現代に対し、プラトン的な精神の大切さを説く)、それはあまりに単純すぎないかと思われるかもしれない。しかし「このような事態の進行に対してほんとうに対抗する力は、たとえ現実の勢力とはなりえないにしても、原理的には、『精神』原理しかないのである」(p.223)とかえす切実さは、僕は真摯に受け止めたいのだ。

  • さすがプラトン全集の訳者の一人だけあって、切れ味抜群の読みを見せてくれる。イデア論を相当がんばって擁護していて、プラトンに対する認識を新たにさせる。―いやはや、全く新たにさせるのだ。
    これを通せば、好奇の目でプラトンが読めるようになるだろう(?)
    つまらなかったあの著作も、著者の巧みな解釈によって、どこが興味深いポイントなのか判るようになる。

    ただし終章では、プラトン哲学を安直に適用したようにしか見えない現代批判が展開されていて、ちょっと残念だった。
    社会的な出来事を〈物〉と〈善〉の二元論だけで評するのは流石に雑すぎるのではないかと思う。

  • 筆者のプラトンへの愛が文章から溢れ出してくる本。「入門書」として、その道に通じたいときの第一歩になるだけでなく、まずその道自体に大きな興味をもたせるような内容となっている。それは、ソクラテスへの思慕がプラトンの出発点であるだけでなく、一貫して彼の根本にあるというある種の哲学的ドラマや、真理はそのものとして善であるというロマンチックともいえる洞察などに代表される。また、このことが、プラトンの哲学の発展や全体との関連を保ちつつ記されているため、説得力があるとともに統一性があり、非常に納得しやすい。

  • この本の主題は「プラトン(ソクラテス)の言は、非科学的な方面に独走するようなものでは決してない」ということである。プラトンの主張で一番有名なものはやはり「イデア」であろう。これは観測不可能な完璧なものを示しているという点、紀元前の哲学であるという点から「検証不可能な非科学的なもの」というレッテルを張られ続けてきた。しかし藤沢が言うには、イデアはそのような主張に対するアンサーも包含するような、懐の深い哲学である。
    -プラトンの哲学、特にその中核をなすイデア論が認識の基本的な場面において、常識的なものの見方の枠組みを-その中では見えてこない真実に目を開かせるべく-突き崩したところに成立している事、したがって、いつの時代にも大多数の人々を支配する常識の立場から、反対や誤解を受ける宿命を担っている-

    以下私の解釈が多分に入る。
    世界には様々な人間がいるが、その多くに共通する原理というものは存在する。それは身体性が似通っているからと捉えることもできるが、「先験的にそのものを知っているから」とも捉えることができる。それがイデアである。プラトンは、全てのものはイデアに似ているだけであり、イデアそのものではないと考えた。例えば「美のイデア」に似たところを持つものが美しいと称される。イデアが先験的な原理なのは、例えばあるものに対して「AはBより美しい」という比較が成り立つ。どのようなものにもそれ以上に美しいものが存在しうるという点でイデアは知覚不可能な場所にあると考えられる。イデアというものを追い求めているからこそ、ソクラテスは「知」に対して厳しい視点を持つし(真の知は行動を規定するとまでいう)、イデアに到達するために無限の努力を行うのである。
    全てのイデアのその根本にあるものは「善のイデア」である。なぜならば、あるものが美しいと知る(何かと何かを混同せず分類できる)ことは有益で「善い」ことだからである。全てのイデアに善のイデアが介在しているという点で善のイデアが全てのイデアの根本と言える。

    善のイデアというアイデアは現代にも通じる。科学技術は生き延びる為の方法であり。善く生きるためのものではない。従って環境破壊などが生じ、人間の住みにくい地球になっていっている現在の状況はプラトン哲学の視点からみると当然の帰結である。快ではなく善を。ただ生き延びるのではなく善く生きることを。これが現在にも通ずるプラトンの箴言である。

  • これからプラトン読んでいくにあたっての概説書として読んだんだけど、かなりわかりやすかった。たくさんの著作の中でどんな思想を・どのようにプラトンは発展させていったのか?という一番知りたかったところを、著作から丁寧に、また簡潔に引き出して解説してくださっているのがありがたい。プラトンが大好きなのはすごく伝わってくる。「創造主が世界を作るという思想はプラトンが初めて作った」など、?と思う箇所はあるのだが、読んでいてわくわくする本だった。
    この本に従ってプラトンの思想の発展を見ていくと、ソクラテスの生き方からまっすぐにイデア論、哲人政治、イデア論の再検討、広がりを持つ宇宙論へ…とつながっていくのがとても鮮やか。もちろんプラトンは様々な解釈をされ、多様に受け取られてきた哲学者であるというのは当然なのだが(そしてプラトン本人がどうというよりはその「受け取られ方」を今後意識しなければいけないのだが)、この読み方に乗っかってとりあえずはプラトンを読んでいきたい。

  • 武器としての哲学の推薦本である。最初の方は易しかったがあとに行くほどにだんだんわかりづらくなってきたような気がする。ただし、プラトンについての他の本よりははるかにわかりやすいと思われる。

  • プラトン哲学の解説書。難易度からして、おそらく入門書では決してない。項数はそこまで多くないが、行われている議論の内容が比較的難解で、読み砕くのに時間がかかってしまった。しかしプラトンが生涯をかけて行ってきた思索をありのままに読み解こうとする筆者の意思は存分に伝わり、また内容を理解さえすればこれまでなんとなくわかっていた気になっていたプラトンの哲学をより鮮明に捉えることができて、今回はなかなか良い読書体験になった。

  • ソクラテスの「Xとは何であるか?」は定義なんてものを求めているのではなく、イデアに向けて近づいていくプロセスだったのか!
    (どっかの知識人で「Xとは何であるか?」って質問してくるヤツにロクなのはいないと言っていた人もいたが・・・。そういう人は哲学嫌いなんだろうな。)

  • 著者ができる限り平易に説明するという姿勢で書いて頂いているのに、やはり、プラトンの哲学は広範で奥が深いものである様で、十分な理解ができませんでした。
    いつか、この本の内容が理解できる自分になれたらと夢想しています。

  • さすがプラトン研究の泰斗による著作だ。読書を通して、確かな手応えを感じる。

    ソクラテスの遺志を継ぐ形でのあるべき読みを示し、数々の誤読をなぎ倒している。
    また、「全著作」を通して現代へのプラトンのメッセージを伝えている。

  • 歴史上、過去2回古典として受け継がれてきた書物が選別されたことがあり、プラトンは奇跡的に全ての著作が葬られることなく書写され現代まで受け継がれている、という古典の厳しさを知りました。

  •  第一人者によるプラトン哲学の入門書。
     とは言っても、ある程度は哲学の基礎をかじっていることが前提にはなるだろうと思う。のっけから現代哲学の主流を否定して、真のプラトン理解から哲学を始めようとする著者の心意気には圧倒されるが、いくつかの指摘にあるようにややプラトンに寄りすぎている感はある。専門化の姿勢としては当然とも言えるか。
     とはいえ、「プラトンの毒」という表現からも、プラトン最強説を唱えているわけでもないことは確か。プラトンのみならずギリシャ哲学の入門としても一級品だと感じた。

  •  プラトン入門には様々な種類がある。一つ一つの対話篇の概要を伝えてくれるブラックの『プラトン入門』やプラトンの対話の精神を伝えてくれる納富信留氏の『プラトンとの哲学』など。さらにプラトンとソクラテスとの関係を知りたい読者は納富氏の『プラトン』や『哲学の誕生』、あるいは岩田靖夫氏の『ソクラテス』へと手を伸ばすであろう。しかしここまで記してきたプラトン入門とは異彩を放つ古典的な入門書がある。それは藤沢令夫氏の『プラトンの哲学』である。
     本書の特徴はプラトンがソクラテスとの出会いの衝撃によって見出した魂の在り処をどのように対話篇の内に見出していったのかを跡付けていくことにある。ソクラテスの死という決定的な出来事を通してプラトンは哲学へと目覚めさせられた。そして私たち一人ひとりには確かによく生きなければならないという「魂の配慮」の一語へと収斂していく課題が与えられている。私たちにとって善とは、美とは、正義とは、敬虔とは何であるか。それらの一つひとつの問いかけを通してプラトンが私たちに提示しようとしていることが何であるかを本書は丁寧に明らかにしていく。
     中でも印象的なのはディアレクティケーと呼び習わされている対話を特徴づける語は、本来プラトン自身の言葉としては用いられることが少なく、むしろディアレゲスタイという不定法で表現されているという指摘である。このことは対話を静的なものとしてではなく、あくまで動的なものとして描こうとしているプラトンの意図が現れているのではないかというのである。ある結論を提示するためではなく絶えず問いかけるその知的躍動をこそ読み取るように読者を促しているのである。
     プラトンの著作群の中で後期対話篇のソクラテスの不在についての指摘もまた印象的であった。初期対話篇の中でアポリアの内に終えた問題群のさらなる追求をソクラテスの口を通してではなく、対話する相手の言説の中に織り込んだり、ある登場人物に語らせたり、あるいは積極的に語ることのないソクラテスの同意の内に暗示させたり、時には議論の陥穽をより鮮明に描くことを通してプラトンはアポリアの更なる追及を目指しているのである。
     本書はプラトンの有名どころの解説めいた叙述は一切省いて、短い紙幅の中にプラトンの議論だけを先鋭な形で取り出してプラトン自身の哲学を浮かび上がらせる本である。『饗宴』のアンドロギュノスや『国家』のギュゲスの指環への言及さえ省いた本書は、出来上がった「プラトン哲学」ではなく「プラトンの哲学」が如何なるものであるかを生き生きと追体験させるものであり、読者は対話篇そのものへと導かれるであろう。そしてプラトンとともに私たちが生きることの内にある、美しさ、あるいは善への問いへといざなわれることであろう。本書の鋭い問いかけは今もなおその輝きを失っていない。

  • やっと読み終わった!
    初心者には難解だし一回だけじゃわからないが、それでも十分読みやすいし分かり易かった。とてもおもしろい

  • 藤沢令夫著『プラトンの哲学(岩波新書)』(岩波書店)
    1998.1発行

    2020.5.4読了
     冨田恭彦著『観念論の教室(ちくま新書)』でこの本のことが紹介されていて、アマゾンで購入したものだが、プラトンの入門書としてこれほど最上のものはないと思う。著者はプラトン研究の第一人者でプラトン全集の共同編集も務めたその道の専門家である。この本の特徴は、とにかく誤解されがちなプラトン哲学を原文のテクストを参照しながら忠実にその履歴を辿っていく点にある。「ソクラテスの弁明」に始まり「法律」まで、プラトンの思索の道筋を辿っていく。
     プラトンは後期に至ってイデア論を放棄したと言うプラトン学者がいるが、著者はそれは間違いだと言う。イデア論はプラトンの中核をなす思想であり、プラトンの思想的闘いは、「プシュケーの観念を世界観全体の中で哲学的に強化拡充して、ギリシア哲学の伝統における本来の位置に復権させることであった」(p206)と述べている。つまり、前5世紀の終わり頃にデモクリトスの原子論が現れ、中世を通じての長らくの無視をくぐり抜けてしぶとく生き残り、近世以降、アリストテレス批判の気運に乗じて、もっぱら「物」の局面だけを抜き描きした自然万有の捉え方が、プラトンの敵であった。しかし、イデアという理想を抜きにした(没価値的な)科学万能主義が跋扈している現状を見る限り、後世の人々はプラトンから何も学ばなかったらしい。例えば、我々はこの一文に対して何か反論できるだろうか。――生物的生存のための利便と快適の追求が、科学技術に取りこまれた「知」と「理」のシステムに委ねられたとき、人間の欲望水準は限りなく上昇していく。科学技術が作り出す「(いまではなくてもすんでいたが)あると便利で快適なもの」(道具、機械、交通手段、人工的環境など)は、やがて次々と「ないとやって行けないもの」となり、そして、産業社会の体制と化している科学技術の「知」はそこでストップすることを許されず、さらに次々と「より便利で、より快適なもの」を開発し、それがまた「ないとやって行けないもの」の中へ次々と繰り込まれる。この無限に続くかとも思えるプロセスが当然消費するエネルギー産出の代価が、積もり積もって、人類の危機を招くような今日の事態を引き起こしたのである。――
     東日本大震災による原発問題、今まさに猖獗を極めている新型コロナウイルスは武漢の研究所から洩れたものという噂もある。科学技術が人間の生活を豊かにしてくれるという考え方は、今も根強く残っているし、トランプ大統領のような指導者も現れる始末だけど、徐々に気付きはじめている人たちもいる。『寂しい生活』を著した稲垣えみ子氏は、その実践を試みている人といっていいだろう。「ただ生きる」のではなく「よく生きること」。時代を越えて受け継がれてきたこのメッセージを我々は今こそ実践していかなければならない。

    https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002664807

  • 配置場所:摂枚新書
    請求記号:131.3||F
    資料ID:59703014

  • 「借」(大学の図書館)。

    プラトンの哲学の中心的な部分の発展を前期から後期にかけて、著作を援用しながら解説している本。
    プラトンの専門家による解説だから、かなり詳しい。
    ただ個人的にはちょっと読みにくかった。

  • (2003.03.28読了)(2003.03.06購入)
    内容紹介 amazon
    西洋哲学の祖と仰がれるプラトン.だが,その哲学の内容はしばしば通俗的理解によって歪められてきた.ソクラテスの影響,イデア論を中核とする思想の展開と最終的達成,さらに現代に生きるわれわれにとって彼の哲学がもつ意義.プラトン哲学の核心を,研究の第一人者が長年の蓄積の上に立って平易に語った最上の案内書.

    ☆関連図書(既読)
    「ソクラテスの弁明・クリトン」プラトン著・久保勉訳、岩波文庫、1927.07.03
    「饗宴」プラトン著・久保勉訳、岩波文庫、1952.10.05
    「ソクラテス」田中美知太郎著、岩波新書、1957.01.17

  • 西洋哲学の祖と仰がれるプラトン。だが、その哲学の内容はしばしば通俗的理解によって歪められてきた。ソクラテスの影響、イデア論を中核とする思想の展開と最終的達成、さらに現代に生きるわれわれにとって彼の哲学がもつ意義。プラトン哲学の核心を、研究の第一人者が長年の蓄積の上に立って平易に語った最上の案内書。

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