共生の生態学 (岩波新書 新赤版 (546))

著者 : 栗原康
  • 岩波書店 (1998年2月20日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004305460

共生の生態学 (岩波新書 新赤版 (546))の感想・レビュー・書評

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  • <生態系の長所を生かすエコテクノロジーとは>

    ヒトは自然の資源を消費して生きている。過度な環境破壊に陥ることなく、ヒトと自然が共存していくことは可能なのか。
    共生という視点から、生態系と工学の融合について考察しているのが本書である。

    共生の例として本書のかなりの部分を割いて説明されているのは、反芻動物の胃である。ウシをはじめとする反芻動物は「草食動物」であるが、実は草を消化するために必要な酵素、セルラーゼを持っていない。これを作り出すことができるのは、反芻動物の胃に住む細菌や原生動物などである。胃に住むこうした生物は反芻動物が食べた草を得る一方、宿主である反芻動物はこれら生物が草から取りだした栄養分を利用する。反芻動物は、胃という培養装置を内蔵しているという見方もできる。
    さらに、原生動物が細菌を食べるなど、胃の中の生物の間にも複雑な関係が存在する。反芻動物の胃は、共生が成立している生態系なのである。

    効率を求め、反芻動物に穀物飼料を与えるようになると、栄養効率がよすぎて特定の成分のみが増え、胃の中の生物集団のバランスが崩れることが一因となって、胃壁がただれる症状を起こすものが出てきた。
    これは一面から見た利点を追及したことによる生態系の崩れを端的に示している。

    本書によれば、従来型の工学は、生態系の単純化を図ろうとしてきたという。
    生物はそもそも、不確定要素を多く含むものであるからである。そうした予測が困難な部分をなるべく排除し、単純化されたシステムを作り上げようとしてきた。
    そうして人工度を高めたために、生態系を安定化させていた因子が抜け落ち、場が維持されなくなることもありうる。

    対して、生態系を操作するというよりも、その自己設計能力を利用して望ましい方向に「誘導」しようとするのがエコテクノロジーの考え方だという。
    成功した例として、下水処理に牧草を利用し、この牧草で家畜を育てるウェリビー農場が挙げられている。

    その他、さまざまな場合にどのように適用するのか、具体例が豊富とは言えないのだが、本書の初版が1998年。その後、15年間でこの分野で成果は上がっているのだろうか・・・?

    見方としてはおもしろく、遺伝子操作の話なども興味深く読んだ。

  • 獣医になりたかった頃に読んで、今でも印象に残ってる本。これまで読んだ新書の中でベスト。これ以上の新書は読んだ事無いかも。面白くって、お薦め。

  • 動物16

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