翻訳と日本の近代 (岩波新書)

  • 岩波書店 (1998年10月20日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004305804

翻訳と日本の近代 (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 丸山真男と加藤周一の二人の碩学による対談。
    丸山真男は60年安保闘争でのオピニオンリーダーの一人だったが、70年安保闘争では、全共闘から批判され、心労と体調不良で逼塞するのだが、そういう政治色抜きで見ると、恐ろしいほどの碩学の徒であるのが分かる。「日本政治思想史」における業績や『福沢諭吉論』はそれ以降の思想史研究家にとって、現在まで見過ごすことのできない金字塔的な存在となっている。

    本の冒頭の説明では「日本近代思想体系」の解説の作業にあたって、当時丸山真男が体調を崩していたので、その執筆を任された加藤周一が、丸山真男の意見を聞くための問答集という事になっているが、さすがに二人とも博学の主で問答の範囲は翻訳の問題を越えて拡がっていくのには、痺れる一方で、ついて行けない場面も多々あり、私の知的水準の低さを思い知らされた次第です。

    タイトルは「翻訳と日本の近代」となっているが、江戸時代の荻生徂徠や本居宣長に話しが及び、江戸時代に既に翻訳という概念が出来上がっていたという処から話が始まる。その流れが、幕末~明治の広汎な西洋文献の翻訳、ひいては日本の近代化に繋がっていく。

    面白かったのは、アヘン戦争で英国に敗れたのは中国なのに、中国人よりも、幕末の日本人の方が、熱心に英国事情を知ろうとして、近代化を急いだ。
    その理由として、「戦闘者」=武士が支配階級だったことが大きく、中国のように文治官僚が支配階級だったら、そういう機敏な反応は出来ない。
    当時の文献を読むと、天下大平が音を立てて崩れると、支配階級の武士に甦るのは戦国時代だと言う。サラリーマン化していた精神に武士の魂が現象的に甦る。これは吉田松陰だけでなく、広く本来の侍が、事態を軍事的脅威として受け取った。
    また、明治5年に森有礼が大和言葉には抽象語がないから、とても西洋文明をものに出来ないと、「英語の国語科」を提唱し、それに対し、馬場辰緒が、日本で初めての日本語の文法辞典を書いたり、英語を国語にした場合の弊害を説いて反論している。兎に角、この時代に翻訳するに当たり、新しい日本語を創っていった福澤諭吉等の人々の努力には頭が下がります。
    また、近年英語力の強化が叫ばれているが、幕末~明治にドップリと英語浸けになった人々は、この事態をどうみているのでしょうか?
    色々と考えさせられる一冊でもあり、大変疲れる一冊でもありました。

  •  維新後、西洋文明・西洋の情報を取得し、それら情報を広く流布させるため、洋書の翻訳が大々的に展開した。これは、中国などとは異質で、ある意味日本的特質と言ってよいとのことのようだ。
     本書は、そのような状況が生じた背景、翻訳本が多数刊行されたことによる社会的影響等を、著者らが対談形式で論じあうもの。
     法治国家形成のため、種々の法令を翻訳導入してきた経緯からみて、定義や概念の原語を日本語(つまり熟語)に変換・置換することに特段の奇異はない。森有礼が主張するように母国語を外国語にしない限りは…。
     こちらとしては、むしろ、その必要不可欠な作業の事後的な帰結の方に興味が湧く。
     その意味では、前提たる江戸期の在り様は流し読みに止まり、むしろ、翻訳本の流布による影響を書いたⅢ・Ⅳ章、特にその中でも福沢諭吉論が興味を引いた。

     1996年刊行。

  • 加藤周一氏の質問に丸山真男氏が答えるという形式の本。1998年にこんな面白い本が出版されていたのか。学生時代に出会いたかった。

    対談本の面白さは、対談を通して新たな知見が誕生する瞬間を追体験できるということにあると思う。
    あの加藤周一氏でさえ明確な形になっていなかったものが、丸山真男氏を介することで1つの知見として形作られていく。
    そのダイナミックな過程そのものが読むものを興奮させる。

    もちろん内容がすべて理解できたわけではありません。
    だいたい「『道理』と『物理』の区別」とかさらりと言われて、
    どれだけの人が「ははん、なるほど」って言えます?
    そうした難しさは当然あるのだけれど、それを超えるダイナミクスが面白い。

    明治期の、ひいては現代社会の知の枠組みがどのように形成されていったか。
    そんなことに興味がある人にはぜひおすすめしたい一冊だった。

  • 明治初期の思想状況を翻訳を軸に解説する。福沢諭吉に根拠ある興味を抱いた。

    思想的な足腰の強さがこの時代にはある。今はどうか。娯楽に商売に依存しすぎていないか。

  • かつての日本を代表する知性の二人、ということで、とても期待して読んだ。内容は翻訳にとどまらず、江戸から明治にかけての日本の文化・政治のありようなどが語られていて、面白かった。丸山氏も博識だなと思った。外国文化をどう受容し生かしていくか、という問題は今の時代、また意味合いが変わってきていると思うが、かつての江戸や明治の人たちがどのように外国文化を受け入れてきたのかは洞察に値する。1日で読めた。

  • 2018年02月11日に紹介されました!

  • 図書館本。 136

  • 対談形式で読みやすい文章だと思ったのですが、確かに読みやすいのですが単語、人名などわからない事が多く結果的にあまり内容を理解できなかったと思います。本の中で福沢諭吉について話しているところが結構あったので手始めに「学問のすすめ」を買ってみました。
    あまりにレベルの違うお話の内容だったので、星はつけられません。
    いつかつけられるようになると嬉しいですね。

  • 以前,筆者は相模大野の市立図書館に足繁く通っていた時期があるのだが,そこで何気なく手にとって読んだら,これが抜群に面白い!!著者は誰だと思ったら丸山眞男と加藤周一という,知の両巨頭という。そりゃ面白いわけですね。

  • (1999.03.20読了)(1999.01.02購入)
    (「BOOK」データベースより)
    日本の近代化にあたって、社会と文化に大きな影響を与えた“翻訳”。何を、どのように訳したのか。また、それを可能とした条件は何であり、その功罪とは何か。加藤周一氏の問いに答えて、丸山真男氏が存分に語る。日本近代思想大系『翻訳の思想』(一九九一年刊)編集過程でなされた貴重な問答の記録。自由闊達なやりとりはまことに興味深い。

    ☆関連図書(既読)
    「日本の思想」丸山真男著、岩波新書、1961.11.20
    「雑種文化」加藤周一著、講談社文庫、1974.09.15

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