日本の経済格差: 所得と資産から考える (岩波新書 新赤版 590)
- 岩波書店 (1998年11月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004305903
感想・レビュー・書評
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第1章
どうして日本は福祉国家ではないのかという疑問に対しての答えが書かれていた。
とても良かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
経済学の観点から、日本の格差問題に焦点を当てた作品。
まだ格差問題がブームになっていなかったときから、格差問題に取り組んだ先駆的作品と言える。 -
最近、橘木教授の所論を検討してます。話題を読んだこの本、今も古くないですね。個人の自由尊重と、経済効率化を犠牲にすることなく、理にかなわない不平等化を阻止する政策が望ましく、かつ、可能だと説く。
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NDC分類: 332.107.
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この本を読んで良かったと思えるのは、経済格差の是非を倫理的な側面から考えるだけでなく、様々な資料から冷静に見直すことができたことだ。専門的とは言わないまでも最低限この程度の資料を叩き台としない限り、その是非を感覚的に語るのは空論に近いと言わざるを得ない。
しかしその一方で、社会科学はその本質として、そのような「感覚的な」道徳・思想に立脚している側面があるという点も見逃すことはできない。
つまり、その人個人が平等・不平等をどう考えているかによって、さらに言うならばその人がどのような思想を持っているかによって結論にも若干の違いが出るということである。
これは自然科学ではあり得ない性質であると思う。
経済格差等の社会的な事象はジニ係数に代表されるような様々な指標があり、また無数の条件を考慮しなければならないということを(恐ろしくつまらない)煩瑣な議論によって思い知らされることとなった。
著者のあとがきにおける「世の中には理にかなった不平等化と理にかなわない不平等化がある」という言葉にもその一端が垣間見れる。
話はただ不平等化を解決すれば良い、という単純な問題では決してないのである。
「平等・不平等」あるいは「効率性・公平性」という一つの断面から政府の今ある政策を見つめ直すことができるというのは大きな驚きであるし、また有意義なことであった。
しかしこの問題を専門として読み進めるならいざ知らず、普通の一般人が読む本としては非常に退屈な議論であったと言わざるを得ない。
(2006年10月22日) -
[ 内容 ]
バブル期に土地・株式が急騰したこと、低成長に入って所得が上昇しないこと、などから「一億総中流」に象徴される社会の平等・安定意識は揺らいでいる。
時代の推移のなかで、そして国際比較の上で、格差の拡大を統計データによって詳細に検証し、その経済的メカニズムを明らかにしながら、税制や、教育・企業システムなどの課題を示す。
[ 目次 ]
第1章 平等神話は続いているか(「一億総中流」意識の虚実―国際比較のなかの日本 バブル経済は何をもたらしたか ほか)
第2章 戦後の日本経済社会の軌跡―分配問題を通して(戦前の不平等と戦後の諸改革の効果 高度成長期からバブル期へ ほか)
第3章 不平等化の要因を所得の構成要素からみる(統計データと実感の差 所得の構成要素から何がいえるか ほか)
第4章 資産分配の不平等化と遺産(二つの資産―実物資産と金融資産 持ち家志向、安全金融資産志向と貯蓄率の意味 ほか)
第5章 不平等は拡大していくのか―制度改革(階層(職業)、教育(学歴)、結婚 浸透する実力主義と意識の変化 ほか)
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
1998年に出た本にしては、あまり古臭さを感じずに読める。<br>
というのも、日本の不平等化が進んでいる、という話はまったくその通りだからだ。<br>
男女の雇用機会や賃金格差。親の経済力による教育機会の差や遺産額の差。<br>
そういった本人の努力ではどうしようもないことによって不平等化が進んでいく。そのことが本書では言われている。<br>
しかし、国民年金について言及されている部分を読むと「やはり昔の本だなぁ」という気がしてくるので、特別読むことをオススメはしない。
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有名な本。ジニ係数について基礎になります。
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流行の格差問題を考えるために、新書。わかったようでわからなかった…というのが正直な感想。センのcapability議論のほうが頭に残った。
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不平等化が進行している。累進消費税の導入と税と社会保障の統合を考える必要がある。