中国路地裏物語 市場経済の光と影 (岩波新書)

  • 岩波書店 (1999年2月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784004306016

感想・レビュー・書評

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  • 著者は毎日新聞社の方で87-91年まで香港、94-98年まで北京に駐在していたようだ。タイトル通り、まさに路地裏物語といった感じだ。一般的な中国の人々が社会の変革に振り回されつつ、逞しく生きていく様子が描かれている。この時点ですでに拝金主義への嫌悪感を持つモノも居たようだが、社会はそんなモノは全く意に介せず、拝金主義を邁進したような気がする。昨今よく聞く躺平主义などというのも、お金や名声を追い求めても無理だから諦めてるだけのようだし、拝金精神は変わっていないような気がしなくもない。。

    登場人物の商売が上手くいっていそうに見えるところにたかりに来る役人を、紅目病だ(当時流行していた人をねたむ人の意味・・らしい)と思ってみたり、二種類のスープの入った火鍋が鴛鴦(おしどり)火鍋と呼び、この頃開発されたらしいとか、三里屯のバーストリートの走りにファンキー末吉さんが絡んでいたらしいとか(今は撤去されてしまったというニュースを見た気がするが。。。)、色々興味深い。

    反日餃子屋さんに訪ねて話してみたら、最後にはあなたには餃子をご馳走したいと言われてみたり、なんというかこういう中国人の持つ人懐こさがこの頃も今も社会であまり活かされていない気がする。

    P.133(95〜96年ごろか・・)
    自我が未成熟で、等の宣伝に従うだけの人間集団だったから、目の前で起きている子供による殺人、リンチ、破壊が正しいのかどうか、自分の頭で判断しようとしなかったのではないか。個人(他人)が抑圧されることに疑問を持たなかったのではないか。
    文化や思想は共産党が決めるという文化専制体制に浸っていて、個人個人が自分の生き方、理想というものを自分なりに考えなかった。だからいま、市場経済を始めると、多くの人が節度のない拝金主義に走るのではないか。極端から極端で突っ走るという体質は、文化大革命の時と変わっていないのではないか。
    共産党は市場経済導入を決めたが、それに対応する社会主義の新しい理念を示し得ていない。いや、そもそも党が理念を示そうとすること自体が、もう無理なのだ。これからは、個人が自分の頭で考え、悩み抜くしかない。しかし、みんなが自我を主張するようになった時、中国人がまたばらばらになることはないのか・・・。
    ーーー文革記念日の前夜、北京の大学教員や研究所の研究員と、そんな議論を飽くことなく繰り返した。その時の彼らの言葉、表情は今でも鮮明に思い出すことができる。

  • 1999年刊行(つまり前世紀末)。著者は毎日新聞東京本社外信部副部長。記者が書いているので読みやすく、現状(といっても、15年位前のこと)がレポートされている。鄧小平死後の模様と、現在に至る中国の問題点の萌芽が開陳。なお、人民公社解体が、潜在的失業者を顕在化、つまり余剰労働力の存在をあからさました事実は、その後の農村から都市への人口流入に関わる事項・人民公社の史的な問題点として知っておくべき点か。

  • 岩波新書らしからぬ本の感じがした。
    中国の「光と影」を描いているにしても、
    新聞記事を読むような軽いタッチで、
    そこからだされている情報が、
    あまりにも細切れ過ぎて、
    もう少しそのストーリーをつきつめて欲しいと思った。
    中国にいて、このようなことがあるだろう
    ということを肌で感じている。

    鄧小平の残した「先富論」は、
    確かに中国の社会体制を守るために行ったかもしれない。
    しかしそのことで、成功者が沢山生まれ、
    その結果、「貧富の格差」が急速におこった。
    その風潮の中で、中国の人は心の安寧を
    どこに求めるのかをうまく描いている。
    「共同富裕論」に向かうことが出来ない。

  • ぐいぐい発展しているように見える中国の、裏側を覗ける本。

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著者プロフィール

1980年、大阪外国語大学中国語学科を卒業後、毎日新聞社に入社。ニューヨーク支局長を経て、2005年まで毎日新聞中国総局長を務める。現在、獨協大学外国語学部教授。専門は現代中国論。香港、北京、ニューヨークに暮らし、天安門事件や9.11テロを取材。米国事情、国連問題にも通じている。著書に『中国権力核心』(文芸春秋)、『中国のいまがわかる本』(岩波ジュニア新書)、『中国路地裏物語・市場経済の光と影』(岩波新書)、『香港狂想曲』(岩波書店)などがある。

「2006年 『チャイナシンドローム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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