日本の渚 失われゆく海辺の自然 (岩波新書)

  • 岩波書店 (1999年4月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784004306139

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

生物多様性や日本の自然環境について深く考えさせられる内容が魅力です。作品では、かつての豊かな水辺の風景や、そこに生息していた独自の生物たちの姿が描かれています。読者は、現在の環境問題や生態系の破壊を背...

感想・レビュー・書評

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  • 渚の生物を学べて、またかつてのその生物多様性の高さを学べた。
    また読み返したい。

  • 蜻蛉島大和の国(あきづしまやまとのくに)、豊葦原の瑞穂の国と呼ばれていた日本。最近はダムの建設によって河川の生態系が破壊され、その多様性は失われてしまった。川と海の連続性は断ち切られ汽水域の豊かな環境は減少の一途をたどっている。この本で紹介されている口絵の写真のように、葦やヨシが生い茂る美しい水辺が今はあるだろうか?こんなにきれいな日本の原風景を見たことがないような気がする。子どもの頃に遊んだようなそこにしか生息しないニッチな生物があふれる水辺で子どもたちを遊ばせてあげたかった。

    本来なら河川が増水した時のための臨時の水溜め場だった移行帯や推移帯を開発して住宅地にしてしまったから、自然界に優しくないし人間生活には洪水のリスクが増すしで、いいことはないlose-loseなんじゃないかと感じた。

    本の内容は素晴らしく詩性や教養、ウィットに富んでおり、読みごたえがあった。良書だとおもう。

  • 河口では、川がもたらす栄養物と、ヨシ原のヨシや珪藻の光合成によって生態系がつくられている。巻き貝と陸生のカニ類は珪藻やヨシの枯れ葉を、ハサミシャコエビは泥中のデトリタスを、シギやチドリはカニや貝を、ハヤブサ、チョウヒ、チョウゲンボウなどの猛禽類はシギやチドリを食べる。気水域では、ゴカイやイトメが泥中のデトリタスや小動物を食べる。
    波や海流によって運ばれてきた砂によって河口がふさがれたものが潟。
    河口干潟:小櫃川(木更津市)、潟:尾ぶち沼、小川原湖

    干潟は内湾の干潮時に現れるもの。昼間の泥の表面では珪藻が光合成を行い、トビハゼやムツゴロウ、カニ類、巻き貝が珪藻を餌にする。二枚貝、腕足類のシャミセンガイ、アナジャコ、ツバサゴカイ、ユムシは、泥の穴の中で海水中のプランクトンを濾過して食べている。スナモグリ、ミズヒキゴカイ、タテジマユムシ、貝類のイチョウシラトリ、ウニ類のオカメブンブクやハスノハカシパン、タマシキゴカイ、半索動物のワダツミギボシムシは、泥の堆積物から餌を食べる。巻き貝、魚、カニ類は、冠水時に二枚貝、甲殻類、ゴカイ類を捕食する。
    東京湾に残された自然干潟は、三番瀬、谷津干潟、盤州干潟。

    内湾潮下帯の砂泥底には、海草のアマモが根を張る。アマモの葉上には微小藻類が付着し、それを巻き貝やウミナメクジ、エビ類が食べる。環形動物のウズマキゴカイ、コケムシ、群体ホヤは、アマモの葉上でプランクトンなどを濾過して食べている。ワレカラも葉上で藻類や小動物を食べる。アマモの藻場には、ヨウジウオ、タツノオトシゴ、ナメクジウオ、カブトガニが棲み、北海の海ではホッカイエビ、琉球諸島ではナマコ、シラヒゲウニ、アオウミガメ、ジュゴンが生息している。アマモは製塩、水田や畑の肥料として利用されていた。

    サンゴは渦鞭毛藻の褐虫藻と共生している。石灰質のCaCO3は、海水中のカルシウムイオンと重炭酸イオンから、CO2と水とともに生成される。この反応は左右どちらにも進む平衡反応のため、海水中のCO2濃度が高くなると石灰質は溶けやすくなる。CO2は温度が低いほど、圧力が高いほど水に溶けやすいため、深海では石灰質の生物遺骸は溶けており、熱帯や亜熱帯の沿岸では石灰化が進む。サンゴの石灰化によって発生したCO2は共生藻に吸収され、吸収によって濃度が低くなると石灰化が促進される。陸域の開発によって栄養塩類が海にもたらされて植物プランクトンが大発生すると、サンゴを捕食するオニヒトデの幼生が増加して大発生につながる。
    肉質鞭毛虫の有孔虫は単細胞だが、体内に藻類を共生させて光合成産物を得ている。石灰質の小部屋を追加しながら核を増やして細胞を大きくすることができ、1mmを越える大型のものが多い。サンゴとともに白浜の砂を形成する。

    キノコやシロアリなどの木材腐朽生物は中世代以降に出現した。

    ヒルギ林(マングローブ)の林床では、巻き貝のキバウミニナが落葉を、イワガニ科のミナミアシハラガニなどは落葉や動物の死体を、甲殻類等脚目のウミキクイは枯れ枝などを食べる。二枚貝のフナクイムシも、セルラーゼをもつ細菌を共生させることによって落ち枝を食べている。シオマネキ、ミナミコメツキガニなどのカニ類、ウミニナ類、オキナワジャコなどが堆積物のデトリタスを食べ、ノコギリガザミ、ハゼ類、オオウナギなどがこれらを捕食する。

  • [ 内容 ]
    干潟・砂浜・サンゴ礁…。
    日本列島を美しくふちどり、豊かな自然をはぐくんできた渚が、いま急速に失われようとしている。
    北海道から琉球列島まで、全国各地の海岸をたずね歩いた生態学者が、かつて人々の心のうちに映じていた渚の原風景を描きつつ、その生態系と機能、生物多様性を説きあかし、渚の保護をよびかける。

    [ 目次 ]
    序 海やまのあいだ
    1 河口―川と海が出合う場所
    2 干潟―満ち引きする大地
    3 藻場―海の中の草原
    4 砂浜―波が寄せる岸辺
    5 サンゴ礁―光合成共生の海
    6 ヒルギ林―海に浮かぶ森
    7 渚の保護のために

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    [ 参考となる書評 ]

  • これを読んで、世界で一番行ってみたい場所が、江戸時代の日本の渚...になってしまいました。絶対に行けないジャン!どうしてくれるんだ!!211ページから212ページにかけてのくだりで思わず涙してしまった方、是非お友達になってください!!

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