- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004306221
作品紹介・あらすじ
国際化時代にもかかわらず低い日本人の英語力。非能率な英語教育を改善して英語ができる人材を育てるためには、発想の根本的転換が必要だ。英語を義務教育から外す、「国際理解」はやめる、教材は日本を扱ったものだけにする、など意表をつく大胆な改革案を提示して、発信型の国際英語が身につく教育システムづくりを呼びかける。
感想・レビュー・書評
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日本人が獲得すべき英語とは、日本の文化を対外的に説明することを目的とした言語であるべき的な。
最後慶應SFCの外国語学習カリキュラム構築の部分が面白かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
[配架場所]2F展示 [請求記号]080/I-3 [資料番号]2003115657、0099103610、2009300559
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山本七平の「なぜ日本は敗れるのか」を読んだ。
本書の主題と根は同じと感じた。
実学が虚学化して、精神修養、英語道へ。というのは、
時代遅れの武器を芸の域にまで完全に使いこなす精兵の養成へ。と流れた
日本軍のありかたと同じだ。
要するに、力を向ける方向をしっかり見定める必要があるということ。
英語の目的は、精神修養ではあるまい。
著者の主張には、うなずくけるところがたくさんある。 -
かつて外国語は、学ぶべき外国の文化を日本に取り入れるための手段として重要だった。だが現在、海外へ日本の文化を発信するために英語を用いるという発想に立たなければならないと著者は論じている。なお、国家戦略という観点から英語の学び方を論じている本であり、個々人が英語を学ぶために役に立つ本ではない。
国際社会に日本という国家の立場を発信してゆくために、「戦略」や「武器」という観点から英語を捉える必要があるというマクロな観点は、たいへん新鮮に感じた。
発信型英語を身に着けるということは、よく言われる「会話力をつける」ことや「国際理解を深める」こととはまったく違うという著者の意見は、少し意外な気がしたがなるほどと思った。流暢に会話することができたり、海外の事情に通じているということは、日本の事情や歴史について説明ができるということとは異なる。著者が本書で主張している発信型英語とは、日本の文化を海外に伝えるための英語である。さらに、海外に向けて日本の文化を発信するためには、日本人自身が自分の言語と文化に自身と誇り、そして何よりも愛着を持っていなければならないと述べられている。
英語を単なる教養としてではなく、戦略的な観点から考えなければならないという著者の立場以外にも、さまざまな立場から英語に関わることはできるだろうが、これからの日本が進むべき道を大きな観点から捉えるとき、そうした戦略的な発想も必要となってくることは間違いないと思う。 -
慶応藤沢キャンパスの外国語教育のグランドデザインをした言語学者の本。
「日本はいまや大国となったのだから」、これまでのような英語教育ではまずい、という主旨。
本書は1999年刊。
それから十年以上経った現在では、日本の立ち位置がまた変わってしまった感がある。
いまや「二流国に成り下がった」という空気が濃厚に漂っているから。
そういう時代が変わってしまった部分はあるものの・・・
筆者の指摘の大半は、現在の状況にもほとんど当てはまると思う。
会話重視の授業、AETの導入をしても、筆者は英語力はつかないと考えている。
そもそも、何のために英語を学ぶのか、どういう種類の英語を学ぶのかが、現在の日本人にとって本当に合ったものになっていないというのだ。
自己改良に熱心で、内向的な日本人の心性が、英語学習にどのように作用するのかという話もあった。
筆者は、日本人は国際社会で日本の持っているもの(知的財産を含む)を発信し、地位を高めるために英語を学ぶべきだという。
そのためには、日本についての事柄を英語の教材とし、徹底的に国際的な情報発信力を身につけさせるというのだ。
そして、身につけるべき英語も、いわゆる英米人の英語(土着英語)ではなく、国際交流言語としての英語だという。
文化理解として土着英語を学ぶのは、教養主義的で、必ずしも全ての学生に必要ではない、のだとか。
昨今のグロービッシュの議論を髣髴する話だと思った。
ただ、今も大半の学校での英語教育は、筆者の考える方向には進んでいない。
グロービッシュも、ビジネス英語として、一部に注目されたにすぎない。
残念ながら、日本人の英語力については、たぶん当分、変わらない。
ただ、面白いのは、外国語ができることをありがたがる必要は全くないという主張。
たしかに、日本人には外国語ができることに妙なあこがれを抱く傾向が強い気がする。
こういう風潮は、筆者によれば、あまり外国に見られないそうだ。
日本語だけでやっていける環境が続く限り、たぶん当分、日本人は英語をしゃべれない、ということだろう。 -
卒論関係その2。
極端な意見もあるけど、言ってること間違ってないと思う。 -
今の日本人が抱く「もっと英会話をやらなければ英語を話せる国際的な子どもは育たない」という考えに警鐘を鳴らす、鈴木孝夫氏の本。
日本は一度も植民地になったことがなく、インドネシアやフィリピンのように英語を話すことを強いられたこともないために、外国・特に西欧に対して憧れが強い…
というような、歴史からみた日本人と英語の関係が面白かった。考えたこともなかったなー。
昔はよかった英語教育も、先進国となった今はそのままではいけない。日本の文化・日本のいいところを英語で発信していくことが必要なんだなー。 -
著者も最後で述べていた通り,非常に読みやすい本でした。
先日留学生と話をしたとき,自分の国の制度や文化についてうまく伝えられなかったことを経験したばかりだったので,うんうんとうなずきながら読み進められました。
英語教育のことを勉強しようかな,という気持ちでとった本書でしたが,初等中等と高等教育が同時に論じられ,少々内容が薄まってしまっていた印象です(SFCでの語学の改革の部分は興味深く拝読できましたが)。
もう一点付け加えると,著者が主張するような感覚を持った先生をどのように育成するかという議論もあればよかったと思いました。そういった理想,ビジョンについても踏み込まれていたらもっと満足だったかなと思います。 -
英語は使ってやってるんだ、くらいの気持ちでやらないと。「東西の名作名著や日本の文化伝統に精通していることが、流暢な英語と比べものにならないほど重要」