熱帯雨林 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 51
レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004306245

作品紹介・あらすじ

陸上生物の種の八割を産するといわれる熱帯雨林。そびえ立つ40mを越す常緑樹の頂部でくりひろげられる生物たちの営みは見る者を圧倒する。動物たちの呼び声ではじまる朝、活発な生物活動が展開する昼、芳しい香りの夜。世界各地のフィールドで観察をつづける著者が、森の実像を生き生きと描き、多様性の秘密に挑む。

感想・レビュー・書評

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  • 東大教授おすすめ
    環境問題系
    まずはこれからとのこと

  • まじで当たり本です。名著です。あと数年たってもこの本の価値は変わらないと思う。

    十分な太陽光と十分な水がある熱帯地方では、陸上生物の種の八割を産するといわれる熱帯雨林がある。その熱帯雨林での生物の営みを書いています。

    熱帯雨林には「山菜」というものがほとんどない。これは植物を食べる昆虫などから身を守る作用ですが、日本の温帯地帯とは比べられないほど多種多様な植物を食べる生物がいます。植物を食べる生物の代謝系に異常をもたらす化学物質を植物が生産するようになり、これにより、熱帯雨林が未知の化学物質の宝庫だといわれる所以である。医薬品になる化学物質も植物からが多く、いまだに熱帯雨林の植物の化学物質がもとになってつくられるものもある。

    あと、生物の系統で使われる「界」「門」「綱」「目」「科」「属」の概念が少し分かってきた★

    「共生関係」について
    共生関係にもいろいろあって、相利共生関係と呼ばれるものは、お互いが利益を得る共生関係。
    例えば、アリに植物を食べる生物から身を守ってもうらかわりに、アリに報酬(蜜)を与えるという関係。
    あまりにも見事な相利共生関係をもっている生物がいるので、利他的行動が働いているのかと思うが、結局は利己的行動が先行する利己原理によって成り立っている。これを具体的な実例で紹介しているところが素晴らしかった。

    「なぜ熱帯の花には特殊化したものが多いか」P119
    ここが一番気にいってます。特殊な花を咲かせ特定の昆虫などを引き付けるのは、植物にとって多大なコストがかかる。それでも熱帯地方の競合となる植物が多い豊富な動物相では、特殊な花をさかせ虫を引き付ける。それに対し、単一林からなる種が少ないところでは、特殊な花を咲かせることはしないで虫による受粉ではなく、風によって花粉を飛ばす種がほとんどである。 競合が多い植物の世界では、多大なコストを払ってでも特殊な花を咲かせ虫を引き付けないと生き残ることができない。単に風による受粉では種を維持できない。

    競合が少ないエリアでは無理に差別化することなく一番効率がいい広め方に注力し、競合が多いエリアでは極端な差別化をすることで生き残っていけるということを、熱帯雨林の植物が物語っているなーと思う。

    読んでいてワクワクしました。

  • [ 内容 ]
    陸上生物の種の八割を産するといわれる熱帯雨林。
    そびえ立つ40mを越す常緑樹の頂部でくりひろげられる生物たちの営みは見る者を圧倒する。
    動物たちの呼び声ではじまる朝、活発な生物活動が展開する昼、芳しい香りの夜。
    世界各地のフィールドで観察をつづける著者が、森の実像を生き生きと描き、多様性の秘密に挑む。

    [ 目次 ]
    1 林冠の世界へ
    2 熱帯雨林とは何か
    3 多様な植物の世界
    4 種の多様性
    5 多彩な生物間相互作用
    6 一斉開花の謎
    7 熱帯雨林と人間

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 相当マニアックな内容だが、いわゆる写真集で表面をなぞるだけでは、うかがしれない「熱帯雨林」の生態が分かって面白い。

    ・林床に動物はいない。林冠にいる。
    ・熱帯雨林には簡単な処理で食べられる葉、山菜はほとんどない。植物を食べる敵対者への対抗進化が、薬や毒素を産んできた。
    ・極相については、新熱帯をやっている人と旧熱帯(アマゾン)をやっているひとで結論が違う。
    ・高温多湿であるために、有機物の分解が速い。そのため土壌は薄く、大木の根も浅い。
    ・種の半分が地表3%の熱帯雨林にいる。門の多様性では、動物界の門の七割は海にしか生息していない。

  • 一言で熱帯雨林といっても、動物相、植物相、昆虫相、そして人間との関わりや産業としての位置づけなど、様々な語り口があるものだと感心した。とくに、動物(昆虫含)と植物の駆け引き豊かな共生・競争には脱帽。単に自然の驚異といってしまえばそれまでだが、やはり何億年のレベルで進化してきた生物には、人間の浅知恵など爪の垢のようなものだ。なかなかこうした研究は大変そうで、これらを明らかにしてきた著者を含めた研究者達にも頭が下がる。

  • 熱帯雨林の真実が分かります。
    でも、恐竜の話がね。。

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著者プロフィール

京都大学霊長類研究所教授

「2015年 『講座スピリチュアル学 第4巻 スピリチュアリティと環境』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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