科学事件 (岩波新書)

  • 岩波書店 (2000年3月17日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784004306634

みんなの感想まとめ

人の命に関わるさまざまな科学技術や事件について、著者が歴史的背景とマスメディアの取り扱いをわかりやすく解説しています。脳死や臓器移植、薬害エイズ、体外受精、原子力、地震予知、クローン技術など、各トピッ...

感想・レビュー・書評

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  • 脳死・臓器移植、薬害エイズ、体外受精、原子力、水俣病、地震予知、クローン技術についてそれぞれ20数ページで、歴史とマスメディアがどう取り扱ってきたかを朝日新聞論説委員の経歴を持つ著者が概説する。個々の項目についての短い歴史が分かる章冒頭の年表は便利。主に人の命と関わる技術のマス報道の1999年までの流れを説いた本なので、詳細と2000年以後と他の味方については訂正項目も含めて読者でフォローする必要があるがスタート地点として分かりやすい。
     個人的には、自分がそれらの技術を意識した時期は、現場での議論が大きくなってからかなり後であるということを強く意識させられた。その技術の始まりにはすでに物心がついていたものであっても。

  • 科学技術の進歩は人類に様々な益をもたらしてきた。調べてみると科学とは、「物事を体系的に理解するための知識や原理」を指し、技術は「それを応用して実現する方法」を指すとのことである。この科学的な知識を人類が応用した代表例と言えば、医療技術や産業技術、エネルギー技術に情報技術などが挙げられるが、それらは人類がより幸せに暮らすための生活の向上や食糧不足、環境問題など地球規模の課題の解決に大いに貢献してきた事は言うまでもない。今我々の周りにある、目に見えるものの大半はそうした科学技術の進歩がもたらした結果と言っても良い。今この瞬間も研究者や会社の技術部門、医療に関わる人々などの手によって、確実に進歩前進を続けている。関西では正に大阪万博が開催されており、人の手によって生み出された人工心臓が、更に発展したのち、どれほど多くの病気に悩む人々を救う事ができるか、誰もが期待を寄せる科学技術、医療技術の一つとして注目を浴びているだろう。
    本書はそうした科学の発展がもたらすものが、必ずしも初めから順風満帆に人々に受け入れられてこなかった事実、科学事件について紹介すると共に、その事件に至る背景や社会的な事情などを考察する事で、更にこの先の発展に寄与していこうとする内容だ。初版が2000年と言うこともあり、本レビューを記載する段階では25年も経過しているから、記載内容のうち幾つかは既に一般的に利用されるところまで来た技術なども含まれる。同時にそれは技術進歩の速さを物語っている。また、現在では縮小傾向にある原子力技術なども、当時東日本大震災経験前の段階ながら、大きな臨界事故が起これば縮小傾向に進むだろうという予測は見事に的中している。
    本書の題材としては臓器移植、薬害エイズ、水俣病、体外受精、原子力、大地震、クローン技術などに関する科学事件が挙げられており、その一つ一つ小学校時代の社会で学んできたような記憶に残っているものばかりだ。よって非常に読みやすく理解しやすい反面、勉強していた当時にはとてもわからなかった社会的背景なども改めて知ることで、人間社会の不条理さ、会社のコンプライアンス意識の重要性、それらが現代の企業の在り方に活かされてきた点なども合わせて理解する事ができる。
    本書は私のような非理系人間であっても全く問題なく、難解な科学用語などは殆ど登場しないため、安心して読む事ができる。それだけでなく科学事件をめぐる立場として、より文系に近い職種である報道の立ち位置がしっかりと科学に対して強く深く言及して行く必要性を問いかける。これから先の科学技術の発展が人類にとって有意義かつ一部の人々にとっては不利益をもたらすようなものであってはならない。いつの時代も強い推進力と情熱で進み続けるもの、そして進むものを適切なレーンの範囲に導き、ブレーキをかける存在が不可欠であることを教えてくれる。最近の事情で言えばAIなどがそれにあたるが、本書のような書籍を読むことで、アクセルとブレーキ、ハンドル操作を誤らない知識をもち、人間性を養っておく事が重要だと感じた。

  • ジャーナリストの本にしては小難しい議論が少なく、明快でわかりやすい。著者がわたしと同じ地球物理の出身ということもあるのかも。

  • 臓器移植、薬害エイズ、クローン羊などに科学事件について、学会、行政、報道がどうのように対応したかについて元新聞記者の立場から語られている。
    (選定年度:2016~)

  • 筆者は新聞社の科学部にいたとのことで、事件に対するメディアの扱いにかなり重点を置いて書かれている。一般市民はこうした事件をほとんどメディアから知るわけで、メディアの見方イコール市民の考え方になる傾向があるだろう。記者がどう考えてどんな記事にしたかを客観的に見られて面白い書き方だと思う。
    最初の「脳死・臓器移植」の章が衝撃的だった。

  • 戦後日本で起きた数々の科学的事件(原子力、大地震(予知)など含む)について簡潔にまとめたうえで、そこにおける報道の問題点を指摘する。
    トピックごとに一章が作られており、読みやすい。
    また、当時の科学ジャーナリズムを引っ張ってきた著者が何を考えてきたのか知ることはその内容に賛否こそあれ、意義深いものといえるだろう。
    かなり多くのトピックを扱っているので一章一章が薄いのが残念である。

    この震災を受けて、原子力/エネルギーの問題について議論が起きている。
    こうした問題は科学的な問題でありながら、その政策的決定やそれを今後どう扱っていくべきか、ということを考える上で非専門家(市民)の考えが非常に重要なものと言える。(ほかに同じようなトピックに生殖医療などがあるだろう)
    だからこそ、科学コミュニケーション(これは啓蒙ではない。対話である)ということが言われる。
    そこにおいて、旧来型のマスメディアはどのような役割を果たして行くべきなのか。著者は、「線を引く側」にまわるべきだ、という。
    つまり、それは最大公約数的な「中立性」から抜け出し、なんらかの判断をくだすことを意味する。
    私はそれには基本的に賛成だ。

    しかし、「それはすごく難しい」ことである。
    「〇〇シーベルト、〇〇ベクレル、などと、読者に読ませるためでも、何らかの批判性があるわけでもない、政府や東電の言ったことをそのまま載せるような記事が多いように感じる」としても
    「それをもって垂れ流しというのは違う。公式な発表は発表として載せた方が良い。それを批判する記事を書くのであれば、(そうすべきだが)3倍以上の労力がかかる」という点は指摘される。
    その文脈で言えば、「線を引く」前に彼らは、その土俵となる事実関係を白日のもとに晒す必要がある。

    これまでの歴史は過激な言葉を使うのであれば「犬死」の歴史だったと私は考えている。(参照:http://d.hatena.ne.jp/filled-with-deities/20091228/1262012247)
    一つ一つの科学事件について詳細な検証を加えるとともに、我々が何を明らかにしてこなかったのか、何を見捨ててきたのか、何を学ばなかったのか、また、同時に検証しなければならないのだろう。

  • [ 内容 ]
    半世紀間つぎつぎと導入された科学技術は、社会と大きな軋轢を生んだ。
    脳死・臓器移植、原子力事故、薬害エイズ、クローン羊誕生などの事件に社会はどう対応したのか。
    緻密な検証にもとづき、科学技術にどう向きあえばいいかを考察。

    [ 目次 ]


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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 4004306639  194p 2000・3・17 1刷
    〇科学は人間にすばらしい恩恵をもたらす。いくらすばらしい技術でも扱うのが人間なのだ。いろいろな問題点やジャンルを知るための入門書になると思う。

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著者プロフィール

元朝日新聞科学部長

「2012年 『4つの「原発事故調」を比較・検証する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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