本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784004306788
AIがまとめたこの本の要点
この本を表す言葉
みんなの感想まとめ
戦後文学の背景と作家の内面を探求する本書は、著者が自身の作家生活を振り返りながら、戦争や家族の歴史、文筆家との交流を通じて得た経験を描いています。特に、安岡章太郎の私小説に見られる繊細な描写は、日常の...
感想・レビュー・書評
-
安岡章太郎といえば多くの私小説・短編を描き、「悪い仲間」「陰気な愉しみ」で芥川賞を受賞した小説家だ。残念ながら私はこれまであまり同氏の作品を読んだ記憶が無いのだが、一時期は国語の教科書にも掲載されていたそうだ。学校の国語の授業に興味があまり無かった自分には作者の名前などほとんど記憶に無いので、当然どの作品を読んだか読んで無いかよくわからない。
小説家が小説を描く時、多分にその人の経験や精神状態などが内容に影響すると思う。安岡は若かりし頃に太平洋戦争に動員され、病気を患った事で戦地に赴く事はなかったそうだが、その病床で作品を描き始める。その後、敗戦の昭和の時代に様々な文筆家との交流を経ながら次々と作品を出していく。その殆どは私小説であり、日常の何でも無い風景、人を対象に描いていくから、それこそ小説などの読み物にスリルや非日常を求める読者には決して楽しいと思えるものでは無い。だが、いくつか読んでみると、非常に細かく繊細に描かれる対象物の気持ちや心の中が露わにされる様な、まるで文章から声が発せられ様な感覚に陥る。そして小説の中の話なのか、自分の今の体験なのか、区別がつかないような感覚を覚える。勿論私は戦後間もない混乱の時代をよりもずっと後に生まれているから、そこに居るはずはないのであるが、あたかも実体験したように、飲屋街の薄暗い灯り、箪笥の上の埃、ほつれた畳の居心地の悪さなどが肌に伝わってくるようだ。恐らくはそれが私小説の良い所なのかもしれないが、安岡章太郎の文章には、いつそのシーンに自分が飛び込んだか判らない、いつの間にか入り込める魅力がある。
小説を読む場合に作家の背景を知る事で、作品に親近感を覚え、入り込みやすくなる。本書はそうした意味で安岡章太郎が歩んだ道のりを一緒に辿る事ができ、それまで読んだ作品の振り返りとして、更には本書を読んだのちに改めて触れる事で、新たな発見と気づきが得られるものとなっている。未だ未だ私が読んだ事のある作品はほんのごく一部だろうから、色々探してみたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2000年、著者80歳のときに書かれた回想記。アジア太平洋戦争が始まった日に創刊が決まった同人雑誌の件で情報局から呼び出しを受けたエピソードから書き起こし、敗戦後の「ガラスの靴」発表までのいきさつ、「戦中派」としてのアイデンティティ、母・父の死と安岡家の歴史に対する関心、吉行淳之介との交友についてなど、老境に達した著者が自らの作家生活を回顧した内容。「第三の新人」という(よく考えれば雑駁な)くくりの内実を少しでも理解したくて読み直したが、安岡の自己認識が「戦争」と深く結びついていたことが確かめられたことは収穫だった。服部達の戦中派世代論を引きながら、「客観的には“戦後”が終わったその頃、自分のなかでどうやって“戦後”を終わらせていいか、その処理に手をつかねていたことは、たしかだ」という一節もあった。
また、1959-60年のアメリカ留学が安保闘争・岸内閣退陣のタイミングと重なったことで、1年間の不在のうちに日本社会の空気が一挙に変わってしまったように感じた、という浦島太郎のような感覚は、学生時代に安岡が私淑していた永井荷風にとっての日露戦争前後の東京に対する捉え方に通じているのかもしれない。 -
慶応ボーイが食い逃げした時代があった。
-
奥付には全集の後書きに加筆したものとある.紙幅も少なく,格別に興味を惹く記述なし.
著者プロフィール
安岡章太郎の作品
本棚登録 :
感想 :
