市場主義の終焉 日本経済をどうするのか (岩波新書)

  • 岩波書店 (2000年10月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784004306924

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

経済の変遷や社会システムの変化を通じて、現代日本が直面する課題を考察する本書は、読者に深い洞察を与えます。著者は、経済史を背景に保守主義とリベラリズムの対立を描きつつ、ポスト・マテリアリズムの視点から...

感想・レビュー・書評

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  • (~2004大学時代の本@202012棚卸)

  • 2000年刊行。著者は京都大学経済研究所特任教授、兼立命館大学政策科学研究科教授。◆何というか、内容にしっくりきた書である。特に、①市場経済を権力と国家によって社会工学的に設計されたものとみる(ジョン・グレイ)立場の紹介(⇒自然発生的に生まれるものではなく、放任により運営されるわけではない。勿論、制度の長所に限界を持つ)、②自由競争の放置が一握りの勝者と圧倒的多数の敗者とを生む結果、競争の自由が徐々に失われ、喪失に。③「不平等があるからこそ懸命に働く」という自由主義原理主義には、前提条件が必要。
    働くことで利益が得られると感じられる社会というもの。頑張っても収入が上がらなければ、どうして頑張ることができるだろうか。そして、頑張らなくても資本・資産で優遇されている存在がある中で、どうして頑張れようか(ただし、競争条件の均質化において重要な、教育・医療・税その他による所得再分配機能のうち、所得再分配軽視の叙述は見受けられる)。④一方、IT化に関し、金融・資本の移動の面から捉える視座。◆ただし、米経済の好調が実はバブルであったことは捉まえられていない。

    ◆備忘録。リスクテイクのための福祉。再教育支援、転職支援目的の補助金・税投入拡大が例示。他には?。起業支援?。起業失敗・事故・疾病に関する各種保険制度?。

  • 【書誌情報】
    ■ 新赤版 692
    ■ 体裁=新書判・並製・カバー・238頁
    ■ 在庫:品切
    ■ 2000年10月20日
    ■ ISBN 4-00-430692-2 C0233
     長期不況下で閉塞感に覆われた日本.旧来の制度・慣行の不効率性を正すのに「市場」の役割は重要だが,万能視はできない.格差・不平等をどう問い直すか,IT革命にどう対応するか,20世紀型産業文明からどう脱却していくのか.「市場の暴走」を統御しながら,公正かつ活力ある社会をめざすシステムづくりへの,確固たる指針を示す.


    【簡易目次】
    序章 市場主義の来し方ゆく末 001

    第1章 相対化の時代が始まった 013
    1 二〇世紀日本を襲った閉塞感 014
    2 保守とリベラルの対立軸 023
    3 相対化される近代のイデオロギー 051

    第2章 進化するリベラリズム 061
    1 マテリアリズムからポスト・マテリアリズムへ 062
    2 地球環境問題の浮上 075
    3 日本のポスト・マテリアリズム 080

    第3章 日本型システムのアメリカ化は必要なのか 097
    1 なぜいま改革なのか 098
    2 時代文脈の変化への適応 107
    3 情報技術革新と日本型システム 122

    第4章 「第三の道」への歩み 135
    1 「第三の道」とはなにか 136
    2 一九七〇年代後半の分岐点―反平等主義の台頭― 145
    3 平等・不平等の新しいパラダイム 156
    4 大学改革の「第三の道」 167
    5 ポジティブな福祉国家へ 178

    第5章 グローバリゼーションの光と影 189
    1 「均質化」の過程としてのグローバリゼーション 190
    2 地球環境問題の政治経済的インパクト 204
    3 ガバナンスの上方統合と下方拡散 212

    あとがき(佐和隆光) [227-230]
    参考文献 [231-232]

  • バブルの時期に就職をして、その後いろいろあって転職もしたけれど、基本的に就職活動に何の苦労もなかった、そんな僕には、今の学生たちがどんなに苦労しているかが実感としてわいてこない。いったいこの10年で何が起こったというのだろう。そしてこれからの世の中はどんなふうに変わっていくのだろう。そんなことを考えてみたくてこの本を手にした。ズバリこれは正解でした。経済の基礎的知識の全くない私にも、十分に読み進めることができました。身内には新しく得た知識をすぐ話したくなるほど。もっとも、ここでその内容を説明しろと言われても、そこまでこなれてはいないのですが。まあ、恥をしのんでここで私の無知ぶりを公開すると、以前「朝まで生テレビ」だったかで田原さんが「じゃあ、あなたはサッチャーをやるつもりなんですか?」なんてことを言っていた。そのとき僕は何を言ってるのかさっぱり分からなかった。それが本書を読んでようやく(ある程度)理解できた。サッチャーが何でも民営化し、市場の自由に任せていったことで、医療や教育が荒廃していった。それに国民が我慢できなくなって、ブレア体制に変わっていった。いまや、ヨーロッパの多くの国では過去のものとは違う社会民主主義の道(第三の道)を歩んでいる。環境問題についても積極的に取り組んでいる。原発は完全に廃止する方向に進んでいる。なのに今の日本はどうなっているのだろう。アメリカは日本とは対照的に好景気が続いているそうだ。(これを書いてから大分経つので、今やアメリカ経済も落ち目になっているようだけど。)その原因の一つは、情報技術(IT)革命をいち早く進めたからだろう。日本もそれに負けじと、IT、IT、と叫んでいる。それが唯一の景気回復策のように。何かもっと重要なことを忘れているように思う。そして、COP6では日本とアメリカがヨーロッパ諸国によりうったえられている厳しい二酸化炭素排出規制を反対し続けた。経済の発展のために。何か間違っているように思う。いつも言うことだけど、本当に便利なことはよいことなのだろうか。それはすべてに優先されるべきことなんだろうか。本書を読むことで、私たちがこれからどんなふうに生きていけばよいのかのヒントが少し得られたように思う。おそらく、市民中心のNPOなどが、もっともっと活躍する場が増えていくことだろう。いまその萌芽がいろんなところで見え始めている。

  • 堤未果『㈱貧困大国アメリカ』を読んで以来の面白い本。これは良かった。
    グローバル化や社会システムなどわりと大きい話が多かった。著者の広い見識だけでなく、生き様までも伝わってくる。

  • [ 内容 ]
    長期不況下で閉塞感に覆われた日本。
    旧来の制度・慣行の非効率を正すのに「市場」の役割は不可欠だが、万能視はできない。
    格差・不平等をどう問い直すか、IT革命にどう対応するか、二〇世紀型産業文明からどう脱却していくのか。
    「市場の暴走」を制御しながら、効率的で公正なシステムの構築をめざす確固たる指針を示す。

    [ 目次 ]
    序章 市場主義の来し方ゆく末
    第1章 相対化の時代が始まった
    第2章 進化するリベラリズム
    第3章 日本型システムのアメリカ化は必要なのか
    第4章 「第三の道」への歩み
    第5章 グローバリゼーションの光と影

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 4004306922 230p 2001・1・26 7刷

  • 保守主義とリベラリズムの対立軸を背景にして近代から現代にかけての経済史を概観した上で、欧米に次いでポスト・マテリアリズムという思想的転換を経験した日本がどのような道を進むべきか具体的に示してます。私自身かなりリベラル寄りの考え方をするので、「進化するリベラリズム」や「第3の道」にはとても共感できました。特に、これからの平等観や福祉のあり方には◎で同意です!

  • 早稲田に存在した「教養ゼミ」で読んだ、輝かしい私の最初の「経済系の本」。
    一冊目から「終焉」とか読んでしまったのがいけなかったのか、専門なのに経済学的でない私の思考回路。
    環境問題ですら、経済学的に語られる昨今、この本の意味はだんだん薄れている気もします。しかし、大切な「問いかけ」を含んでいるのかも。

  • 読書中。

  • 格差・不平等をどうするのか。20世紀型産業文明からどう脱却していくのか。「市場の暴走」を制御しながら効率的で公正なシステムの構築を目指す確固たる指針を示す。

  • 1月?
    前回読んだ規制改革の本で抱いた問題意識に基づき読んだ本。
    本書前半では、保守とリベララルという対立を軸とし、マテリアリズムからポストマテリアリズムへの変化という時間軸を基準として、『相対化』をキーワードにわかりやすくまとまっていた。全体を通し、筆者の主張を簡潔にまとめると、今後進めていくべきことは、市場主義改革と「第三の道」改革を合わせて行うことあるという。「第三の道」というのは、『旧式の社会民主主義と新自由主義という二つの道を超克する道』である。市場主義改革を推し進めると、副作用が発生する。それを、緩和するのは「第三の道」改革であるという。具体的には、「第三の道」の政治が目指すものの例としては、『ポジティブな福祉国家』というのが提示されている。『ポジティブな福祉国家』とは、『資金ではなくリスクを共同管理する』国家である。情報技術の革新をはじめとする変化は、以前にもまし、社会の不確実性とリスクを高める効果を招いている。しかし、社会を構成する人々の全員がリスク回避的行動をとった場合、国の経済成長は鈍化するなど、活力の低下を避けることができない。そこで、個人、企業のリスク・マネージメントをよりポジティブになるような社会を目指すシステム―報奨金制度、失敗した人に対する補償金、公的機関の充実―などの構築をすべきであるという。全体を通し、感覚的には、「第三の道」という考え方に共感をできる。しかし、改めて問うてみたい、なぜ「第三の道」という方針をとる必要があるのだろうか。欧州が市場主義改革を進め、たどり着いたのは、「第三の道」であったからであろうか。だから、日本も同じ道を通る、歴史的な必然というのだろうか。感覚的に共感したがゆえに、理論的にどうしてなのかという説明をもう少し、加えてほしいと思った。
    全体を通し、今までの流れを概観できるようになっており、面白かった。ハイエクの述べた相対的市場主義には納得してしまった。

  • 父から薦められた本
    なかなか読みやすい上に、浅く語っているがまっとうな考え方という印象を受けると思う

  •    現代の政治・経済から見た世界の概観。アメリカにおける保守派とリベラリストがどういったものだったか、それが市場経済においてどういう役割を果たしてきたかから始まり、工業化とポスト工業化、マテリアリズムとポストマテリアリズムといった経済の流れを背景に、イギリスのサッチャーなど小さな政府という政策がどのようにとられ、現在のブレア首相の中道左派の「第三の道」がどういったものかを解説している。
       非常に教科書的な一冊。出版が2000年10月、つまり9.11以前なので、現在はだいぶ状況は変わってしまっているが、2000年までの歴史はざっと学べる。

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著者プロフィール

滋賀大学前学長。京都大学名誉教授。専攻は計量経済学、エネルギー・環境経済学。
『経済学とは何だろうか』(岩波書店)、『佐和教授はじめての経済講義』(日本経済新聞社)、『レモンをお金に変える法』(翻訳、河出書房)など、著書多数。

「2020年 『12歳の少女が見つけたお金のしくみ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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