社会的共通資本 (岩波新書)

著者 : 宇沢弘文
  • 岩波書店 (2000年11月20日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004306962

社会的共通資本 (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 9月27日、宇沢弘文先生が亡くなったニュースを読まなければ、この本は積んだままだったであろう。
    経世済民が経済学の根本思想であるということを考えされられる論考であった。
    社会的共通資本という言葉の意味を理解することは、一定限度の前提知識を有するために、この本を読むにも多少の骨折りはいるだろう。
    しかし、自由主義経済が、世界中で行き止まりを長らく叫ばれているなかでは、宇沢氏の指摘はとても有意義であり、多くの人が知りうるべきものと考えられる。
    宇沢さんが、農家の青年と知り合ったことで、人間的に様々な刺激を受けたと書かれた文章を目にして小躍りしてしまった。

    大学教育を受けていない人にも、必ずエネルギーを与えてくれる一冊であるはずだ。

  • 社会的共通資本という概念枠組み(フレームワーク)は良いのだが、思想内容には共感できないところが多かった。
    筆者が農民を好きなのは伝わってきた(笑)
    あと、「大学の先生は、いいご身分ですねえ」と言いたくなった。さんざん「大学の自由」と言いつつ、「大学の社会的コスト」については一言も言及しない。都合の悪い話はしないんだねえ。不誠実だ。

  • 豊かな社会とは

    すべての人々が先天的、後天的資質と能力を存分にいかし、それぞれの持っている夢やアスピレーションが最大限実現できるような仕事に携わり、その私的、社会的貢献に相応しい所得を得て、幸福で安定的な家庭を営み、できるだけ多様な社会的接触をもち、文化水準の高い一生をおくることができるような社会。

  • ゆたかな経済生活を営み、すぐれた文化を展開し、人間的に魅力ある社会を安定的に維持する。このことを可能にする社会装置が「社会的共通資本」である。

    この本でも触れられている「社会的共通費用」の概念はむしろもっと重要ではないかと思う。自動車の普及による公害、環境破壊、歩行者や子供たちがこれまでのように街路を安全に使えなくなってしまうこと等、本来所有者が払うべきコストを社会全体としてどれだけ被っているかを尺度化しようというもの。

    これを読んでふと思い出したのが、CO2見える化による環境対策という名目で経産省が主導したカーボンフットプリント。実際は、売り手にとってコストが大きく、失敗に終わった模様。何となく棚上げになってしまった感があるけど、スウェーデンの炭素税導入のような国をあげた民主的なアプローチやAEONのレジ袋有料化などをもとに、負担する立場になって、社会的費用の回収を実行に移していくフェーズにあるのではないか。

    また、都市、農村、医療、教育、金融制度などは「社会的共通資本」として見たときにどうあるべきなのかという点もそうだけど、電気やガス、水道等のようにこれからますます社会的インフラとして当たり前になりつつあるITはそもそもどういう役割を果たすべきなのか、代償として負担すべきコストはないのか・・等、本書をきっかけに改めて考えてみる必要がありそうだ。

  • 国家の経済活動の基盤となる「社会的共通資本」の観点から、農業、都市、教育、医療、金融、地球環境について語る新書。
    特に前半は自然を崇め、そこで生きる人々を讃える古い価値観が強調されており、学者の文章としては気持ち悪さを感じたが、教育の章と金融の前半は読む価値がある。

    一昔前の学者の文章を読むと、若い学者の書くものとは異なる分野の教養に支えられていることが多く、その意味では新たな発見も多い。
    結局、制度学派経済学の主張の要旨はよく分からなかったが、その主張の基礎にある多様な知見には目を向ける価値があるように感じた。

  • 自分のいる社会にとって一体何が課題となっているのだろうか、を考えようと思って読んだ本。
    新古典派とケインズ経済学の対立を超えた道として、社会的共通資本という概念を打ち出していて、経済学の考え方を基盤としたこの問題意識を理解しないと、本書の主張を理解するのが難しいと思う。
    農業、教育、医療が社会にとって重要な「資本」であり、農業の経営単位の拡大が重要であることや、都市のあり方についての観点など、これらの「資本」についての指針は示唆に富んでいるが、それがなぜ重要か、これらの示唆がどのような問題意識や理念に裏打ちされているについては、主張の基盤となる経済学の考え方を理解する必要あるため、引き続き考えていきたい。

  • ウエブレンの提唱した制度学派の考え方を基礎に、人間が人間らしく経済活動をするために必要な社会的共通資本について論じた著作。

    マネタリズムの新古典派経済学派の対極にある考え方である。

    経世済民、本来の経済活動はこうあるべきだと高邁な議論が展開されている。

    社会的共通資本をガバナンスする資質を如何に育てられるかその社会のあり方が問われる。

  • 5月勉強会の課題図書

    社会的共通資本とは、ゆたかな経済生活を営み、持続的安定的な社会を維持するために必要な資本。これを自然環境、社会的インフラストラクチャー、制度資本といった3つのカテゴリーから考えることが出来る。

    自分の言葉で置き換えるなら、「誰」のものというわけでなく、みんなで共有するような資本の総称。

    議論がいきなり、感情的なものとなり、経済学的な知見から分析し意見されているのに、途中で破綻する話が多い。
    良かった点は、新古典派→ケインズ→反ケインズという経済学の流れをざっくりと触れることが出来た点。

    勉強会で話題となった部分。つまるところ、筆者の中で、「社会的共通資本」、「豊かさ」の定義付けがあいまいであるということ。そのため、議論していても途中でわけのわからない話に突入している。
    まあ、こういう機会でもなければ読まなそうな本であったからよいか。

  • 宇沢弘文氏が以前から提唱する「社会的共通資本」の考え方について、簡略にまとめられている。
    社会的共通資本の領域については、無原則に市場原理・競争原理を導入するべきではないという視点は参考になる。

  • 拝借


    えーーーーと
    岩波新書だからかもしれないけど、何が言いたいのか分かりませんでした。。
    ちょうどゼミで社会的資本?SC?やってるときに借りたんだけど、
    読むの遅くなった上にこんな感想で申し訳ない。

    前人と話していて、
    当たり前のことを当たり前のように分析しなおす本とかはつまんない
    という話があって、
    そんなことをちょっとだけ思い出した。
    幸せな状態とは「 ・・・  」と定義していて、それにのっとって議論が進んでいくのだが・・・・
    うーん。

    多分導入本?

    追記:違うところで新聞への寄稿を読みました。そっちはとても感銘を受けた。やっぱ導入本すぎておもしろくなかったんだな

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