東西/南北考―いくつもの日本へ (岩波新書)

著者 : 赤坂憲雄
  • 岩波書店 (2000年11月20日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004307006

作品紹介・あらすじ

東西から南北へ視点を転換することで多様な日本の姿が浮かび上がる。「ひとつの日本」という歴史認識のほころびを起点に、縄文以来、北海道・東北から奄美・沖縄へと繋がる南北を軸とした「いくつもの日本」の歴史・文化的な重層性をたどる。新たな列島の民族史を切り拓く、気鋭の民俗学者による意欲的な日本文化論。

東西/南北考―いくつもの日本へ (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 柳田国男の一国民俗学以来の「ひとつの日本」を解体する試みです。

    年来の著者の主張である「東北学」の議論も織り込みつつ、さらに先史時代の日本列島における文化的多様性にまで考察の射程を伸ばしていって、対立を孕みながらも「ひとつの日本」に収斂していく「東西」の対立軸と、そこから漏れ落ちる「いくつもの日本」という発想を私たちに教えてくれる「南北」の対立軸を設定することで、日本文化を広い観点から考察する視座を提出しています。

    細部についてもっと詳しいことが知りたいという思いは当然あります(第1章の箕作りは、実証的で具体的な議論になっています)が、著者の提出するスケールの大きな構想はおもしろいと思いました。

  • 「ひとつの日本」は幻影にすぎない。そうだよね!特に西日本とはカルチャーが違いすぎる、という実感が私にはあった。まあ、私自身は出身地北海道だから、そもそも日本的な要素が少ないんだけど。

    「穢れの民族史」の章が特に私には興味深かった。夫の実家の方に行くと、住居の敷地内にお墓があったりする。初めて見た時はびっくりした。それまでの私にとってはお墓はむしろ忌避されるものなので、こんな風景ありえない。これは「屋敷墓」というものなんでしょうね。

    それから、出自による差別の地域性。私自身、東京に来るまではその存在すら知らず、差別と言ったら男女差別くらいしか思いつかなかった。「部落」=「集落」の意だし。

    違う土地には知らない日本がある。もともと複数の民族からなる国だから。「秘密のケンミンショー」みたいな番組って大事だな、と思った。相互理解のために。

  • 赤坂憲雄が東北学に着手し始める前?頃?の著書。いくつかの民俗学的事例をあげて、日本の東西比較以上に、南北比較への興味深さを訴える本。2000年の初版だが、今読むと模索している感は否めない。赤坂東北学の経過をみるにはうってつけ。
    第二章では、柳田の「一国民俗学」をあげて、「ひとつの日本」を目指した結果を斬る。多元的な文化の否定から、成り立つ「ひとつの日本」が、柳田の作った文化周圏論であり、311以後の「ひとつになろう、日本」が飛び交ったこの年の締めくくりに読むのに、違う面白さを感じたことも事実。だから、読みどころは第二章。ほかは、事例列挙。

  • 東西で統一された日本人、という柳田国男の日本人観は、国がまとまる必要があったという歴史的な意義もあって誤っていた。
    実際は縄文時代から地域ごとに異なった習慣を持つ人が暮らしていて、いくつもの境界があり、大和朝廷成立以降はその時々の国家が、統一された「日本人」を演出していた。
    特に北と南は異質の人々が暮らしていて、いまだにその名残がある。
    という趣旨で、色んな民俗学者・一部歴史学者の説を紹介していく。

    最初の方は面白そうでワクワクしながら読んだけど、
    途中からあれあれ、
    最後はもうあきらめムード。

    と、感じるくらい、オリジナルの話がなく引用だらけだった。
    元々柳田国男の説が色んなところに明らかに無理があって、
    それを真面目に反論していく。
    趣旨はとても興味深いんだが、せめて東北の話はマタギ以外の話もほしかった。

    ちなみに装丁がぴったりだった。
    読みやすい。

  • 2000年刊行。
    著者は東北芸術工科大学教授・同東北文化研究センター所長。

     民俗学が時代・地域との関連性をどのように解読しようとしているか。北海道を切り捨てつつ、沖縄を本土に無理やり包含しようと試みた柳田國男の一国民俗学。

     この呪縛を克服する試みは、実は考古学や文献史学の側から展開されている。
     それは、例えば大野晋の方言論、旧石器時代の石器論(岡村道雄)や縄文土器論(小林達雄)から生まれ出ており、例えば「穢れ」解釈の地域性、人死のタブー視が地域・時代により差がある事実。東北北部と道南のアイヌ語源の地名論。このような議論に反映されているように見える。

     この点、東北北部や北海道の蝦夷論はそれほど新奇ではないが、土器に関する日本5分論(北海道と東北北部・東日本・畿内中国四国といった西日本・九州・南西諸島)を、列島に関する文化的基底・民俗学的基底と見ていく点は、なるほどの感がある。

     とはいえ、主流の民俗学的には列島を分化してみる視座に乏しいこと、これが柳田の呪縛である点。これを民俗学的に解消しようとした試みの一が、宮本常一の全国踏破民俗学ともある。これもまた納得の指摘である。

  • [ 内容 ]
    東西から南北へ視点を転換することで多様な日本の姿が浮かび上がる。
    「ひとつの日本」という歴史認識のほころびを起点に、縄文以来、北海道・東北から奄美・沖縄へと繋がる南北を軸とした「いくつもの日本」の歴史・文化的な重層性をたどる。
    新たな列島の民族史を切り拓く、気鋭の民俗学者による意欲的な日本文化論。

    [ 目次 ]
    第1章 箕作りのムラから
    第2章 一国民俗学を越えて
    第3章 東と西を掘る
    第4章 地域のはじまり
    第5章 穢れの民族史
    第6章 東北学、南北の地平へ

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 刺激的でした。多様で斑な古代から続くいくつもの日本。

  • 【配架場所】 図書館1F 381.1/A3

  • 2009年 74冊目  5月23日    

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