変わる商店街 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 71
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004307198

作品紹介・あらすじ

衰退、空洞化が言われて久しい全国の商店街。今、そんな各地の商店街に明るい兆しが見え始めている。地域と一体化したイベントや「まちづくり会社」設立、SOHOとの連携、インターネットの活用など、新たな発想による再生に向けた多様な取り組みを丹念な取材でたどり、商店街復活の方向性を探る。

感想・レビュー・書評

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  • 「まちづくり」、「町おこし」について書かれた本は初めて読みます。どちらかと言えば「都市論」の方に私の関心が偏っていたので、もう15年も前の本なのですが、読んでいて新鮮な感じがしました。

    「旧大店法の廃止が商店街の衰退と市街中心部の空洞化の原因とは限らない」
    「個店それぞれが殿様商売の姿勢や努力不足を反省せず、政府や自治体の補助金・保護政策に胡座をかいていたせいで、商店街の衰退を自ら招き、市民中心のまちづくりの意識を持たずにここまで来てしまった」
    この視点は私には新しかった。確かに、筆者が言うほど大型店の影響は無視できないでしょう。けれども、それ以上にまちづくりに関して誰も参加意識を持っていなかったのですね。それでいて地域の衰退を憂えるばかりなのは滑稽。ほんの15年前まではその滑稽さすら誰も問題視も自覚も持っていなかったのでしょうか。

    「市民中心のまちづくり」という考え方は今日において、この本が書かれた頃よりかなり人口に膾炙した感はあります。この本は、住民主体のまちづくりの草創期の模索の歩みとして読めば面白い。15年も前の本であるからして、紹介されている事例はモデルケースとしてそのまま使えなかったり、もはや今日の事情に合わなかったりするものが多いでしょう。ただし、「この地域を変えたい」「商店街を変えたい」というやる気ある人たちによってアクションが起こされ、街も人も徐々に変わっていくのは、今日においても言えることです。

    よく都市環境の画一化、つまり「どこに行っても代わり映えのしない街並み」「郊外の大型店やショッピングモールによる中心部の空洞化」の原因を「旧大店法の廃止とそれに伴う規制緩和」に求める論者は多いのですが。ただ、これを読むと、旧大店法廃止前から、大型店舗は当然の戦略として郊外に進出していたことが分かります。
    また、スーパーや百貨店、コンビニ、フランチャイズが画一化を促したとも言われます。しかし、かつて商店街や個店は地域において独占性を持っていてその既得権益で運営していたために、消費者はそこに嫌悪感も抱いていて、競争力を養っていないまま、スーパーや百貨店やコンビニ相手に競争しなければならなくなった時に地盤沈下を起こして衰退したとも言えましょう。

    「まち」は住民主体で「つくる」もの。そこに気づくことからまちづくりは始まる。そうした、「まちづくり」の考えの草創期の模索を伝えるこの本は今後とも読まれる価値があるかもしれませんね。

  •  本書は「町おこし」の本であるが、単なるイベントを取材するだけの単調な本ではなく、商店街の興亡の歴史をも鳥瞰しつつ、高度成長期から現在までの状況の変化とその持つ意味までを考察している点が、著者らしいスタンスの本と思えた。
     「シャッター通り」という言葉は、すでに誰もが知っているまでに身近になっていると思う。繁華街の小さな商店街が寂れた現状は、すでにどこにでもあると思うが、それが生まれた歴史的経過とそれをどのように考えるべきかが、本書で考察されており、興味深く読めた。
     「商店の盛衰と政策展開」「アメリカにおける大型店と商店街の興亡」等々を読むと、問題が単純な事ではではなく、構造的なものであるとはわかるが、本書でその解決策として取り上げられている「地域とともに生きる商店街」を読んでも、成功例はごく一部の事例ではないのかとも思える。
     著者は「規制緩和論者ではない」とは語っているが、著者の著作は、どれも豊富な取材に基づく実例から導かれる考察が多いとは言えるものの、やはりどの成功例も一般化は難しいもののようにも思える。
     要するに、成功例は数少ない有能な人間による特殊な例なのではないだろうかとの疑問もつきまとうのである。
     しかし、本書で多くの奮闘する人々の姿を知ることは、興味深い。この世界をもっと知ってみたいと思わせる本であると思う。

  • 購入済み

  • [ 内容 ]
    衰退、空洞化が言われて久しい全国の商店街。
    今、そんな各地の商店街に明るい兆しが見え始めている。
    地域と一体化したイベントや「まちづくり会社」設立、SOHOとの連携、インターネットの活用など、新たな発想による再生に向けた多様な取り組みを丹念な取材でたどり、商店街復活の方向性を探る。

    [ 目次 ]
    第1章 復活に向かうまちと賑わい
    第2章 転身がつくる新しいまち
    第3章 商店の盛衰と政策展開
    第4章 店舗数が減少することの意味
    第5章 バーチャル商店と商店街
    第6章 アメリカにおける大型店と商店街の攻防
    第7章 地域とともに生きる商店街
    第8章 地域が賑わうということ

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 地方の商店街は、壊滅状態なのかもと思っていたけれど、この本を読んで必ずしも壊滅状態じゃないことがわかった。
     地方に産業がまだあるのかと思ったりもするけれど、人はまだ住んでいるし、生活基盤もまだあるようだ。ただ、その消費志向は変わっていて、駅前商店街→ロードサイド店と流れているよう。
    消費者のニーズを無視して商店街を保護しようとしても、商店街は廃ってしまう。
     現在、うまく行っている商店街の事例は、その殆どが地元店主のボランティアによる活動が多い。行政がもっている駅前復興レシピの中でも「駅前再開発」は乱発されてきたけれど、ソフトによる支援制度はうまく行っているとは言えない。「壊して作る」こんなふうにシンプルにはできないから、制度を把握するだけでも大変だ。
     本書の内容に限って言えば、商店街について言えば、行政やコンサルといった部外者の助けは不必要なようだが、そこにはまだ可能性があるように感じる。

  • 2冊

  • 商店街の活性化について書かれている本。

    商店街の衰退はよく大型店の進出によるものだといわれているが、筆者は原因はそれだけではないと主張する。

    大型店の市街地への進出を制限する法律の存在。
    補助金頼りの中途半端なまちづくり。

    筆者によると、魅力的な商店街は補助金や法律による保護に頼るのではなく、いかに商店街を魅力的にしていくかという想いなのだという。

    う〜ん。言っていることは正しいと思うのだけど、商店街衰退した理由が大型店によるものではないということを強調しすぎていてか、ちょっと理屈っぽくなりすぎだなぁ。
    魅力的な商店街づくりをしているという事例がいくつか登場するが、そちらをもっと詳しく述べてほしかった。
    どう商店街を魅力的にしていくか…ということが今の商店街が悩んでいる課題なんじゃないだろうか。

  • なかなか身近な事例ばかりでおもしろかった

  • 分類=商店街・まちづくり。01年3月。

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著者プロフィール

兵庫県立大学大学院客員教授。博士(経営学)。専門は「ものづくり論」「中小企業論」「地域経済論」。1944年生まれ。高校卒業後、郵便局勤務から全逓本部を経て、45歳で立教大学法学部入学。1993年同校卒業。1100社(そのうち100社は海外)の聞き取り調査をおこなっており、ミクロな領域を専門とする。主な著書に『グローバル化と中小企業』(筑摩選書)、『世界を動かす地域産業の底力――備後・府中100年の挑戦』(筑摩書房)、『就活のまえに』(ちくまプリマー新書)、『中小企業は進化する』(岩波書店)、『中小企業新時代』(岩波新書)など。

「2018年 『転職のまえに』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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