自白の心理学 (岩波新書)

著者 : 浜田寿美男
  • 岩波書店 (2001年3月19日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004307211

作品紹介

身に覚えのない犯罪を自白する。そんなことはありうるのだろうか?しかもいったんなされた自白は、司法の場で限りない重みを持つ。心理学の立場から冤罪事件に関わってきた著者が、甲山事件、仁保事件など、自白が大きな争点になった事件の取調べ過程を細かに分析し、「自分に不利なうそ」をつくに至る心のメカニズムを検証する。

自白の心理学 (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 「無実にもかかわらず、あえて自分に不利なうその自白をすることは考え難い。」
    一般国民はもとより、捜査機関(警察・検察)や裁判所にすらこのような「誤解」は蔓延している。


    本書は、実際の冤罪事件を題材として、人がうその自白に陥る心理的メカニズムを解き明かす。
    取調べという特殊な場の圧力によって、どんな人であっても、その自白をしてしまう危険がある。


    本書の出版以降、日本においても、被疑者国選弁護、裁判員裁判、録音録画の導入等、刑事司法制度改革が進められてきた。
    しかし、現時点(2017.3)においても、未だ取調べの全過程にわたる録音録画制度の導入までには至っていない。

    捜査関係者、法曹関係者にとどまらず、広く読まれるべき一冊。

  • 無実であっても、取り調べで得られたうその自白が証拠とされる。なぜ嘘の自白をしてしまうのか?本書は、4件の冤罪事件(内1件は再審中)の分析から、うその自白に至る過程、犯人を演じる過程を考察する。
    周りの圧力か…。ニュートラルな状況で取調べがなされるかと思ったが、どうやらそうではないらしい。犯人と決めてかかられる。無実の可能性を鑑みられることなく、進められてしまったら…。それぞれの事件の被疑者の心中を察すると、悲痛なこと極まりない。
    本著を読み、ショッキングだった。それだけ、冤罪事件に無関心、無知であったのだな。

    ・日本の有罪確定率99.9%→冤罪であっても無罪を勝ち取ることが難しいということ
    ・無実の人がうその自白に落ち、うその犯行ストーリーを語るというのは、心理的にきわめて異常な事態ではなく、犯人として決めつけられた時に誰もが陥りうる、自然な心理過程→被疑者を囲む状況の側の異常
    ・嘘は嘘である限り、本来は暴かれなければならない。しかしその嘘が本当だと思われた時には、むしろそれを促され、支えられることもある。
    ・被疑者は無実かもしれないという可能性を少しでも考えていれば、自白の嘘を暴くことはできる。ところが我が国の刑事取調べにおいて推定無罪は名ばかりで、取調官は被疑者を犯人として断固たる態度で調べるというのが常態になっている。
    ・こいつが犯人に違いないとの断固たる確信のもとに取調べが進行するとき、そこには被疑者を強く有罪方向へと引き寄せる磁場が渦巻いている。その磁場のもとにひたすら長く留めるだけで、まず大抵の人は自白に陥る。心理学的に自然な人間の姿。
    ・無実の人がうそで自白するとき、常軌を逸した状況の中で、被疑者はごく正常な心理として「犯人になる」ことを選ぶ
    ・自白して「犯人になる」と、今度はよりよく「犯人を演じる」ことを求められ、またそれに応じる以外にない
    ・状況の異常性なさらされて、どうにかそこで精神の正常を保つために自白する

  • 実に怖い本。
    ワロンの著作の翻訳者でもあった本書の著者の名前をアマゾンで検索していて、たまたま見つけたのだが、さっき読んでるとき玄関のピンポンが鳴ってびびった。新聞の集金のおばちゃんだったんだが。それくらいいつ自分の身にこういうことが降りかからないとも言えないのである。実に恐ろしい。とにかく読んだ方が良い。怖いけど。

  • 知り合いの元検察官は取調べ室で被疑者に懺悔をさせてやることができたことを誇りに思っているようだった。
    しかしそもそも彼らに懺悔をさせるべきなのか?懺悔はさせる場所は取調べ室でいいのか?取調べ室で話したことは自分にとって不利に扱われるかもしれないことを承知の上で彼らは話していたのだろうか?
    そう思っていた頃に読んだ本。すべての取調べや捜査官たちが悪いわけではないと信じつつ、不適切な取調べがなくなることを祈る。

  • 2001年刊行。著者は花園大学社会福祉学部教授。

     自白のみで有罪とされないというのは刑事証拠法の大原則であるが、その理念的・実際的背景を感得するのに格好の書。
     取り調べ、事情聴取の事後検証が可能になる意味で取り調べの可視化がなぜ必要なのかも。

  • この本は、被疑者がなぜ取り締まりの際に「嘘の自白」をして、犯人だと言ってしまうのかをまとめた本です。

    ざっくりと本の内容を説明すると・・・
    取り締まり官は、被疑者を犯人だと決めつけています。
    そのため、被疑者に罪を認めさせようと心理的に追い詰めたり、自白内容の誘導をしたりなど、被疑者に圧力をかけて取り調べを行います。
    すると、被疑者はその環境・苦痛から逃れるために自白に追い込まれてしまう、というものです。

    日本の冤罪を減らすためにも、取り調べ制度の見直しを検討するべきだなと思いました。

  • 冤罪怖い。犯人になりきって自白しようとしてまうまで追い詰められるの怖い。

  • 裁判官,裁判員,検察官,警察官になろうとする人に読んでほしい本。
    司法修習生は,「集合修習までに読んでないと恥ずかしい」らしい。

    なお,理論的な話は,「自白の研究」を読んでくれ,とのこと。


    うその固体モデルとうその関係モデル。
    「証拠が確信を生むのではなく,確信が証拠を生むのである。」

    序 自白と冤罪
    第1章 なぜ不利なうそをつくのか(宇和島事件)
    第2章 うそに落ちていく心裡(甲山事件)
    第3章 犯行ストーリーを展開していく心理(仁保事件)
    第4章 自白調書を読み解く(袴田事件)
    おわりに

  •  足利事件の冤罪が報道された時、自分は「菅家さんが簡単に自白さえしなければ真犯人を逮捕することができていたのではないか」と言う感想しか持っていなかった。
     しかしその後の検察の失態や警察の自白偏重主義などを知るにつれ自分の今までの考え方に疑問を感じ始め、この本をを読んだことで自分の思慮の浅はかさに気づくことができた。

  • 自白=自らの罪を認めた、という固定観念がいかに危険であり、冤罪の温床となっているかがよく分かる新書。

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