四国遍路 (岩波新書 新赤版 727)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004307273

作品紹介・あらすじ

四国八十八カ所。金剛杖を手に、千数百キロをひたすら歩く。土地の人から受ける「お接待」が心にしみる。-人はなぜ四国をめざすのだろうか。いま、ひとりのお遍路として四国路をたどる著者の胸に去来する問いだ。人びとと出あい、自然の厳しさに打たれつつ歩む巡礼行を、達意の文章で綴る連作エッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • 千数百キロに及ぶ歩き遍路紀行の傑作です。
    筆者は44歳で初結願し、本書は68歳からの2回目の四国遍路となります。
    東京から6回に分けての行程が詩情豊かにつづられます。朝日新聞社という大きな群れ組織に身を置いた人生を振り返りながら、「一人旅」の意味を考える。人は他人とのかかわりなしには生きていけないが、生まれるときも死ぬときも基本はひとり。一人旅は人生の原点。誰もが人生をやみくもに走ってきたが、本当に「あるべき」人生を歩んできたのかという問い。地位や名誉、富や肩書に振り回されてはいないか?お遍路は、日常的なものを捨てることから始まる。地位や名誉をまとって歩いても誰からも尊敬されることはない。試されるのは、誰もが持っている己の肉体と意識という原始の力。それは、深呼吸に似ている。肺を空っぽにしなければ、たくさんの新鮮な空気は入ってこない。
    例えば、こんな人もいる。43回目の四国遍路をしている72歳の老婆と出会う。彼女には帰るところがない。極端な話だが、遍路自体が日常となった生き方もある。
    特に雨の中での歩きは、否応なく自分の内面と向き合うことになる。自分の狡さ、うぬぼれ、競争心などの心の垢が風雨によって洗い落とされていくのを感じる。肉体的な苦痛を感じることなしに、他人の痛みも本当にわかることはない。
    お接待する人の動機も様々。「死ぬときに、いい人生だったと思って死にたい。人に何かをしてもらうよりも、自分が人に何かをさせてもらう時の方が幸せを感じる」

    辰濃 和男氏は2017年12月6日、老衰のため死去、87歳没。合掌。

  • 【要約・感想】
    遍路道で著者が感じたこと、考えたことを披瀝している。
    日常生活を離れた遍路の中で様々な「気付き」が生まれていく有り様が克明に描かれている。
    四国遍路のガイド本というよりは、ひとりのお遍路さんの記録・回顧という内容。
    あれこれ考えながら四国を歩きたくなる。

  • 3度目の歩き遍路がコロナで中断している母の胸の内を想像しながら読みました。さすが文章が素晴らしく、心に響いてきます。机上の哲学ではない、歩きながら直に感じられた、生きた仏道が目に浮かんできます。

  • 前々から「四国遍路」を と考えているが、後先の事を考えて実行できていない。
    自身のこうした姿勢を見つめ直すためにも、考えさせられる本だった。
    まず、やってみる。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/704552

  • お遍路たいへんだろうなぁ〜と思いながらずっと憧れてる。だから、タイトルに惹かれて読んでみた。年代的にも近い方だし、とても共感できた。一緒に歩いているような気持ちになる。いつか僕も、という想いが募る本です。

  • 読み終わった今、一日も早く、四国遍路を歩いて挑戦してみたいという気分にさせてくれる。

  • いつか四国八十八箇所のお遍路はやってみたいと思っているんですけどね。水曜どうでしょうみたいに三泊四日かもしれないですが。この本は元新聞記者の著者の歩き遍路の記録。やはり歩かないとダメなものらしい。

  • 四国遍路を歩くということ。
    そのこと自体の実感の重みを感じました。
    一つ一つのお寺、詳しい歴史等については多く触れていませんが
    歩いていく筆者の姿がみえてくるような。
    様々の人生を受けとめる、力を
    私も実感したくなりました。

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