植物のこころ (岩波新書)

著者 : 塚谷裕一
  • 岩波書店 (2001年5月18日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004307310

作品紹介

「人間は考える葦である」といわれる。それでは「葦」に代表される植物とは、どのような生き物なのだろうか。彼らは考えることをしないし、感情も持たない。けれどもその感覚は鋭く、生活のプログラムは精妙に組まれており、クローンで増える能力さえある。これら植物たちの知られざる生の営みをつぶさに紹介し、生命の本質を説く。

植物のこころ (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 植物のこころ 塚谷裕一(著)

    おもしろい。植物は、不思議な国、ワンダーランドである。

    三島由紀夫の言葉で始まる。
    『しかし植物の魂といふものは 、ひょっとすると極めて残忍なものかもしれない。
    樹木が静かな様子をしているのはそのせいかもしれない。』

    植物は死ぬと言わずに枯れるという。
    動物の生とは違ったものとしてとらえられている。
    感情のやり取りができる、感情移入ができることと
    植物が生きているのとは違う。

    生命とは、自己複製とたいしゃののうりょくをもち、
    細胞構造を有するものを生物とする。
    生物は、すべて、同じメカニズムの中にある。
    パスカルは、人間は考える葦だと言った。じつは、植物の生命と動物や人に生命とは、そんなに違わない。

    クーロンが、危険だと言われているが、植物の世界では 、無性繁殖のものは多い。
    植物にとって個とは、クーロンでなんで悪い。
    ここで、塚谷は、いう。
    『これまで日本では、科学の進歩に対して疑問を感じることが、文化人の必須条件とされているかのような風潮が続いてきた。その行き過ぎを解決できるのは、やはり科学である。』
    この文章の切れ味は良い。

    ラメットとジェネット。
    自然選択の標的は、一個体一個体 である。
    そうであるとしたら、有性繁殖 よりも、無性繁殖の方が効率はいいはずだ。
    突然変異は、無方向 に起き、意図的にはできない。

    ヒルガタワムシ 3500万年から4000万年前から無性繁殖。

    植物は融通無碍である。
    植物は動物とにアナロジーでいえば、大人になることにない生物である。
    動物は、性的に成熟した後は、もう老いるだけである。
    花についていえば、融通がきかない。あらかじめ決まった形となる。
    エボデボ。Evolution Deveropment

    花の形の進化は、案外少数の遺伝子に変化で引き起こされてきたのかもしれない。
    自主的に花を形成する経路と外の環境に応じて花を形成する経路。
    春化依存経路と光周期依存経路。

    植物には感覚がある。
    重力、コルメラ細胞、アミロプラスト。
    光受容体、フィトクロム、クリプトクロム。
    音、カルモジュリン。

    環境ストレス。
    植物の生き方の基本的な仕組みがわからなければ、農業への応用もむつかしい。

    つる植物、着生、寄生、腐生。食虫植物。
    だます植物は、双方の誤解にもとずいた、結果。
    アリ植物とダニ植物は、おもしろい。
    昆虫との共進化。
    イヌビワとイヌビワコバチの関係。

    無駄な努力をしないのが自然選択のもとでの原則である。
    花の色に変化は、虫に対する合図。
    収斂進化と適応進化。

    やぁ。実に、進化論を十分に理解した上での植物論だ。
    やりますね。

  • 植物には心があると言った似非科学的な内容を期待して読みましたが、色々な進化の形を教えてくれます。面白い!

  • 最近植物について勉強し始めたが、今まで知らなかった植物の特徴を知ることができた。もっと植物のことを知りたいと思った。

  • 植物の生きかたって面白いと思った。

  • これは名著でした。読んで良かった。

    著者は植物学の権威、東大教授の塚谷祐一さん。放送大学の塚谷さんの講義がおもしろかったので興味を持ち読んでみました。さすが権威の方、深く理解している方は非常にわかりやすく、かつおもしろく語ることができるという良い例だと思います。こういう方の講義を学生の頃に聞いたらもっと植物に興味を持っただろうな、と思います。

    塚谷さん、小さい頃から植物に興味を持っていたとのことです。男の子にしては珍しいなと思いましたが、最初は昆虫少年で、そこから派生して植物に興味を持つようになったとのことです。

  • [ 内容 ]
    「人間は考える葦である」といわれる。
    それでは「葦」に代表される植物とは、どのような生き物なのだろうか。
    彼らは考えることをしないし、感情も持たない。
    けれどもその感覚は鋭く、生活のプログラムは精妙に組まれており、クローンで増える能力さえある。
    これら植物たちの知られざる生の営みをつぶさに紹介し、生命の本質を説く。

    [ 目次 ]
    1 存在(個のありかた;性の意味;融通無碍な体―全能性 ほか)
    2 戦略(天へ向かって―「つる植物」の生き方;利用できるものは利用する―着生・寄生・腐生;入居者募集―アリ植物とダニ植物 ほか)
    3 適応(ヒマラヤの高みで;水の中で生きる)

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 配置場所:摂枚新書
    請求記号:471||T
    資料ID:95010106

  • 100→735

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