定常型社会: 新しい「豊かさ」の構想 (岩波新書 新赤版 733)

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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004307334

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  • 2021.72
    ・ゼロ成長社会。
    ・人と環境、人と人の問題に収束する。
    ・自然とつながることで長い時間軸を取り戻す。

  • 定常型社会
    ①「マテリアルな消費が一定となる社会」…情報化・環境効率性
    ②「量的拡大を基本的な価値ないし目標としない社会」…時間の消費
    ③「〈変化しないもの〉に価値を置くことができる社会」…根源的な時間の発見

    「豊さ」とは何か。自分の価値観とすごく合致する。
    しかし、パイの拡大を続けなければ市場経済は成立しないという、資本主義論者を論破できない…

  • 以前から広井良典氏の著作には関心があり、初めて読んだのがこの一冊。

    「持続可能な福祉社会=定常型社会」という概念を軸に据えながら、社会保障、環境、コミュニティなどについても述べてある。

    話がかなりいろんな方向に波及しており、論の根拠があまり示されていないような箇所もあったが、非常にわかりやすく、構想自体もとても魅力的なものであった。

    「学びの流動化」「時間の消費」といった、これから学んでいくうえでも重要な概念を得ることができた。哲学的な内容にもっと踏み込んだ彼の著作もぜひ読んでみたい。

  • [ 内容 ]
    経済不況に加え、将来不安から閉塞感をぬぐえない日本社会。
    理念と政策全般にわたる全体的構想の手掛かりは何か。
    進行する少子高齢化のなかで、社会保障改革はどうあるべきか。
    資源・環境制約を見据えて、持続可能な福祉社会のあり方を論じながら、「成長」にかわる価値の追求から展望される可能性を提示する、問題提起の書。

    [ 目次 ]
    第1章 現代の社会をどうとらえるか―環境・福祉・経済(基本的枠組み 二つの対立軸―富の成長と分配)
    第2章 個人の生活保障はどうあるべきか―ライフサイクルと社会保障(「インフォーマルな社会保障」とその解体 これからの社会保障)
    第3章 福祉の充実は環境と両立するか―個人の自由と環境政策(機会の平等と潜在的自由 社会保障と環境政策の統合)
    第4章 新たな「豊かさ」のかたちを求めて―持続可能な福祉国家/福祉社会(「成長」という価値―経済システムの進化 定常型社会―時間観の転換 新しいコミュニティ―定常型社会における個人と公共性)

    [ POP ]


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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 『コミュニティを問い直す』で著者に興味を持ってこれも読もうと思い立った。

    環境負荷を考えると、マテリアルな消費が持続可能な範囲で行われる必要があり、人口に着目すると、人口が一定になる必要がある。これはどちらも『定常化社会』というコンセプトに結びつく。

    というのが本書のメインテーマ。『持続可能な未来へ』が工業化社会をバブルと言っていたけど、人口爆発も間違いなくバブルで、永遠につづくのは不可能だから、たしかにこのコンセプトは大事になってくると思う。

    いくつか本書の中で出てきて印象に残ったのをメモ書き程度に↓

    「ケインズ政策」
    日本では公共工事のイメージが強いが、ヨーロッパに於いては福祉国家と強く結びついていた。そして両方共成長に価値を見出していた。日本ではパイを増やすということにのみ力点を置いていたのに対し、ある程度成長してしまっていたヨーロッパでは、再配分を行うことにより、低収入層に収入を分配し、そのことを通じて全体の消費を活性化することで成長を目指した。

    『定常型社会』の定義
    1.物質・エネルギーの消費が再生可能な範囲内
    2.量的拡大を基本的価値としない
    3.変化しないものにも価値をおく

    バブル型社会から定常型社会へ移行する必要性
    1.環境・資源による制約
    2.基本的需要の有限性

  •  成長社会から脱皮して、定常型社会への変革を説いた本。
     現状の日本はほぼ成長率がほぼゼロで、定常社会になっているので、本書のような内容が実現すれば、多くの問題が解決する。
     しかし、現状の利権構造を考えれば無理だろう。

著者プロフィール

広井 良典(ひろい・よしのり):1961年生まれ。京都大学人と社会の未来研究院教授。専攻は公共政策、科学哲学。環境・福祉・経済が調和した「定常型社会=持続可能な福祉社会」を一貫して提唱。社会保障、医療、環境、都市・地域等に関する政策研究から、ケア、死生観、時間、コミュニティ等の主題をめぐる哲学的考察まで、幅広い活動を行っている。著書『コミュニティを問いなおす』(ちくま新書、2009年)で大佛次郎論壇賞受賞。『日本の社会保障』(岩波新書、1999年)でエコノミスト賞、『人口減少社会のデザイン』(東洋経済新報社、2019年)で不動産協会賞受賞。他に『ケアを問いなおす』(ちくま新書)、『ポスト資本主義』(岩波新書)、『科学と資本主義の未来』(東洋経済新報社)など著書多数。


「2024年 『商店街の復権』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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