定常型社会: 新しい「豊かさ」の構想 (岩波新書 新赤版 733)
- 岩波書店 (2001年6月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004307334
感想・レビュー・書評
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2021.72
・ゼロ成長社会。
・人と環境、人と人の問題に収束する。
・自然とつながることで長い時間軸を取り戻す。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
定常型社会
①「マテリアルな消費が一定となる社会」…情報化・環境効率性
②「量的拡大を基本的な価値ないし目標としない社会」…時間の消費
③「〈変化しないもの〉に価値を置くことができる社会」…根源的な時間の発見
「豊さ」とは何か。自分の価値観とすごく合致する。
しかし、パイの拡大を続けなければ市場経済は成立しないという、資本主義論者を論破できない… -
『コミュニティを問い直す』で著者に興味を持ってこれも読もうと思い立った。
環境負荷を考えると、マテリアルな消費が持続可能な範囲で行われる必要があり、人口に着目すると、人口が一定になる必要がある。これはどちらも『定常化社会』というコンセプトに結びつく。
というのが本書のメインテーマ。『持続可能な未来へ』が工業化社会をバブルと言っていたけど、人口爆発も間違いなくバブルで、永遠につづくのは不可能だから、たしかにこのコンセプトは大事になってくると思う。
いくつか本書の中で出てきて印象に残ったのをメモ書き程度に↓
「ケインズ政策」
日本では公共工事のイメージが強いが、ヨーロッパに於いては福祉国家と強く結びついていた。そして両方共成長に価値を見出していた。日本ではパイを増やすということにのみ力点を置いていたのに対し、ある程度成長してしまっていたヨーロッパでは、再配分を行うことにより、低収入層に収入を分配し、そのことを通じて全体の消費を活性化することで成長を目指した。
『定常型社会』の定義
1.物質・エネルギーの消費が再生可能な範囲内
2.量的拡大を基本的価値としない
3.変化しないものにも価値をおく
バブル型社会から定常型社会へ移行する必要性
1.環境・資源による制約
2.基本的需要の有限性 -
成長社会から脱皮して、定常型社会への変革を説いた本。
現状の日本はほぼ成長率がほぼゼロで、定常社会になっているので、本書のような内容が実現すれば、多くの問題が解決する。
しかし、現状の利権構造を考えれば無理だろう。