法華経入門 (岩波新書 新赤版748)

  • 岩波書店 (2001年9月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784004307488

みんなの感想まとめ

仏教の深い世界観を探求し、特に『法華経』の魅力を伝える入門書で、著者はその内容を分かりやすく解説しています。仏教全体の流れや大乗仏教の形成過程を踏まえ、一般の読者にも理解しやすい形で「誰もが仏になれる...

感想・レビュー・書評

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  • 法華経入門
    著:菅野 博史
    岩波新書 新赤版748

    良書:よくまとまっていると感じました。けっこう時間かかりました。

    法華経は、大乗仏教初期に成立した、経典である

    ■インド仏教史

     BC6世紀~BC5世紀 釈尊の悟りから仏教は始まる
     ゴータマ・シッダールダというが、悟りを開いたので、ブッタと呼ばれる

     死後、釈尊の教えを整理、編集するための運動:第一結集
     根本分裂:伝統重視の上座部と、時代適応の大衆部に分裂した
     これ以後は、部派仏教といい、これ以前は、原始仏教とよばれる
     ※100年後、それぞれで、第二結集は行われる(結集は、現代までに6回行われている)

    BC1世紀、それまで口伝で伝承されてきた仏教の教えは、文字に筆写され、仏典となる
    経蔵、律蔵、論蔵が、部派仏教で作られた

     大乗経典は3期に分れる
      初期 BC1世紀~AD3世紀 初期大乗経典 般若経、法華経、維摩経、無量寿経、阿弥陀経、十地経
      中期 AD4世紀~ 唯識系 解深密経 如来蔵系 勝鬘経 涅槃経
      後期 AD7世紀 密教系 大日経、金剛頂経

     AD13世紀、イスラーム教徒によってヴィクラマシラーが破壊され、インドにおける仏教は滅亡した

    ■仏教の基本的な内容

    ・如是我聞~ すべての経典は、この定型文ではじまる 仏から是のごとく自分は聞いた……
    ・比丘、比丘尼、出家者、優婆塞、優婆夷、在家者
    ・天龍八部衆 天衆、龍衆、夜叉衆、乾闥婆衆、阿修羅衆、迦楼羅衆、緊那羅衆、摩睺羅伽衆
    ・輪廻転生
    ・弥勒信仰
    ・三界 欲界、色界、無色界
    ・四諦 苦諦、集諦、滅諦、道諦
    ・八苦 生、老、病、死、愛別離苦、怨憎会苦、求不得苦、五蘊取蘊
    ・六波羅蜜 布施、持戒 、忍辱・精進、禅定、智慧 等

    ■法華経の特徴

    三乗方便一仏乗

     声聞:出家した弟子、二度とこの世に輪廻しない阿羅漢をめざす
     縁覚:独覚とも。独自で修行をする修行者
     菩薩:悟り、救済をもとめる一般の人々

     衆生は、六道(地獄、餓鬼、畜生、阿修羅、人、天)を繰り返し、輪廻する

     法華経以前は、声聞、縁覚、菩薩にはそれぞれの救済である、声聞乗、縁覚乗、菩薩乗を説いていたが
     法華経では、すべての衆生が平等に成仏できるととくため、以前の3つの教えを方便といい、法華経の教えを正しいとした

    変成男子

     法華経は、男女問わずに成仏できると説いたのに、仏の備える32の肉体的特徴32相に、男根の記載があるため、女性が成仏するときは、男性に変身するという、方便。

    久遠の釈尊

     生前のブッダを、生身、色身、亡くなったものを、応身といい、永遠のブッダを法身という。
     応身から、法身になるまでを報身という 入滅後も、永遠の生命を持つ釈尊が衆生を救済する

    誓願

     観音菩薩が、衆生救済のために、33身に変身するという思想
     十一面観音、千手観音、馬頭観音、不空羂索観音、如意輪観音等
     加えて、33か所の霊場を巡礼する信仰が生まれ、四国から全国へ広がっていく


    ■日本の各宗派の経典(〇:法華経関連)
     〇天台宗 法華経、阿弥陀経、大日経、梵網経
      真言宗 大日経、金剛頂経、理趣経
      浄土宗・浄土真宗 浄土三部経(無量寿経、観無量寿経、阿弥陀経)
     〇臨済宗 金剛般若経、般若心経、観音経(法華経観世音菩薩普門品相当)
     〇曹洞宗 法華経如来寿量品、観音経(法華経観世音菩薩普門品相当)、般若心経、大悲心陀羅尼経
     〇日蓮宗 法華経
     〇創価学会、立正佼成会、霊友会も、法華経を重んじる

    ■法華経の成立と日本への伝来

     中国
      
      題目:念仏をとなえれば修行となる。唱題まではいかなかった

     日本

      三経義疏 法華経、維摩経、勝鬘経が伝来し、聖徳太子が注釈を加えた
      鑑真(688-673) は中国天台宗の文献を日本に紹介
      最澄(767-822)は中国で天台宗を学んで、帰国後、法華経が一番すぐれた経典であるとする
      平安後期、法華経が貴族にも普及、清少納言、紫式部などにも影響が
      日蓮(1222-1282)、法華経の行者として、唱題思想:南妙法蓮華経ととなえれば成仏できる、と主張


    ■法華経を構成する28冊のサブテキスト

    鳩摩羅什漢訳27品+追加:提婆達多品 を採用しています
    ここでは、各品の概要と関連が語られています

    第01:序品
    第02:方便品
    第03:譬喩品
    第04:信解品
    第05:薬草喩品
    第06:授記品
    第07:化城喩品
    第08:五百弟子受記品
    第09:授学無学人記品
    第10:法師品
    第11:見宝塔品
    第12:提婆達多品
    第13:勧持品
    第14:安楽行品
    第15:従地湧出品
    第16:如来寿量品
    第17:分別功徳品
    第18:随喜功徳品
    第19:法師功徳品
    第20:常不軽菩薩品
    第21:如来神力品
    第22:嘱累品
    第23:薬王菩薩本事品
    第24:妙音菩薩品
    第25:観世音菩薩普門品
    第26:陀羅尼品
    第27:妙荘厳王本事品
    第28:普賢菩薩勧発品

    ■ 法華七喩 七つの例え話がでています

    1. 三車火宅 第03:譬喩品
    2. 長者窮子 第04:信解品
    3. 三草二木 第05:薬草喩品
    4. 化城宝処 第07:化城喩品
    5. 衣裏繋珠 第08:五百弟子受記品
    6. 髻中明珠 第14:安楽行品
    7. 良医病子 第16:如来寿量品 
     他にも例え話はあり

    目次

    はしがき
    第1部 『法華経』とは何か
     第1章『法華経』は初期大乗経典である
     第2章『法華経』の構想の基盤と全体の構成
     第3章『法華経』のテキスト
     第4章 日本における『法華経』
    第2部 『法華経』の中心思想
     第1章 一仏乗の思想―だれでも仏になれる
     第2章 久遠の釈尊の思想―永遠の生命
     第3章 誓願の宗教―地涌の菩薩の思想
     第4章 『法華経』の七つの譬喩
    あとがき


    ISBN:9784004307488
    出版社:岩波書店
    判型:新書
    ページ数:240ページ
    定価:820円(本体)
    2001年09月20日第1刷発行
    2011年06月24日第11刷発行

  • 岩波新書の「法華経入門」。入門とタイトルされているが、法華経信仰への入門を薦めるためのもの、つまり信仰のための入門書ではない。仏教全体の中での「法華経」の位置づけとか、「法華経」の歴史とか、つまり「法華経」を学術的に研究した文学部教授による入門講義といえるだろう。

    本書は大きく二部構成で、第一部では「法華経」とは何かを、そして第二部では「法華経」の中心思想について説明されている。自身としては、前半部の法華経の歴史的な変遷について書かれていた部分をいろいろとイメージしながら特に興味深く読んだ。

    「法華経」を含む仏教といえば、言わずもがな釈尊の説いた教えであり、その釈尊が生きた時期は、紀元前6世紀~紀元前5世紀と言われている。今から2500年以上も前のこと。

    そんな過去に存在した一人の人物の教えが、2500年を隔てた現在まで残っているだけでも凄いと思うが、こうして今でも研究の対象となり続け、また信仰の対象となり続けていることだけでも驚嘆するし、興味深い事実だ。

    釈尊が当時語ったことは、人びとの口伝により語り継がれていた。語り継がれるということは、それだけインパクトのある人物だったのだろうし、その語る言葉に魅力があったのだろうと想像する。教えが深かった、聞いて救われる、希望が湧いてくる、そう人に語らせずにはおれない魅力があったに違いない。

    その釈尊が語った内容が、整理・編集される時期に二期あったとされ、その第一期めは釈尊の死後、摩訶迦葉が中心に500人の比丘が行った「第一集結」のとき。

    また、原始教団(つまり釈尊直系の弟子たち?)から上座部と言われるグループと大衆部と言われるグループへ分裂する契機に整理・編集が進んだと言われ、それを「第二集結」と呼ぶ。

    「第二集結」以後は、20ぐらいの部派に分裂し、それぞれの部派が、整理・編集を行っていったということだが、要するにそれはもともとの釈尊の教えに編集が加えられていくということだ。このことも十分イメージできる。現代と全く変わらない。

    一つの教えがどんどん派生していく。この20の部派のリーダーはどのような考えの持ち主だったのだろうか?師の教えを正しく継承させようと考える者、名誉欲や権威に取りつかれていく者、能力不足により教えを退化させていってしまう者、自分に都合よく解釈を加える者、・・・そう考えると部派仏教はむしろ釈尊の説く仏法とは異なるものだという発想さえ出てくる。

    この「第二結集」以前の教えを原始仏教といい、以後の教えを部派仏教というが、これは釈尊純正と、そうでないものとを区分しようという発想だろう。

    一方、紀元前1世紀頃には、これまで口伝から文字編集へと変わったとあり、ここからは一気に体系化が加速しただろうと想像する。

    それと同時期に、大乗・小乗(大乗は多くの人を救え、小乗は少しの人しか救えないという考え)という概念が生まれ、大乗による小乗批判が生まれたりした。これもそういう体系化が加速され、教えの優劣が明確化されたことが要因となっているんじゃないろうか?

    法華経は大乗経典に分類されるが、大乗仏教と部派仏教(小乗仏教が中心)では、大乗仏教の担い手が在家信者であり、部派仏教の担い手が出家の比丘だったという事実もとても興味深く読んだ。

    このころは、宗教としての仏教ではなく、学問の対象としての学問仏教が生まれてきたという事実があり、そういう学派で部派が分かれがたということもあるだろうし、そういう権威等にこだわる出家の比丘に、部派仏教が支持されたというのも分かる気がする。

    一方、やはり自分の生活直結の在家にとってもは、いかに人を救い、自身をも救えるかという視点が大事なことから、大乗の担い手は在家信者であったというのも納得がいく。

    宗教や哲学の生命は、もともとの教えが正しいということともに、その教えが正しく継承されているということがいかに大事かということだ。触れる者は見極めなければならない。

    後半部では、翻訳の話、注釈書の話も登場するが、それはまさに正しい継承に直結する話だ。その他、法華経の特徴的な思想、法華経に説かれるファンタジックで荘厳な虚空会の場面の展開、法華経の七つの比喩の紹介など、法華経は「深い」と改めて実感した。

  • むずかしかった。。。

  • タイトル通り『法華経』の学び、理解を深めるための一著。著者による解説や講義というよりも導入部?や周辺(仏教全体の流れとか)の説明もあり、下手な現代語訳や解説書よりも法華経の魅力が伝わってくる、気がする。久しぶりに読んだけど、忘れてることが多く、勉強不足だと痛感。もっと『法華経』の理解を深めていきたい。

  • 『法華経』の内容を解説している入門書です。

    イメージ豊かな譬喩を用いて信仰の内容をえがき出し、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」の着想のもとになったことで知られる一方、平田篤胤が薬効の能書きばかりで肝心の丸薬が入っていないと批判したように、その理論的な意義がいったいどのような点にあるのか理解しにくい『法華経』について、著者は「仏教の哲学的理論書ではなく、一種の「宗教文学作品」というべきもの」であると述べています。

    そのうえで、大乗仏教の形成や、『法華経』の成立とその受容の歴史を簡単にたどり、一仏乗の教えをはじめとする、『法華経』の思想の核心をなすと考えられる思想についての解説がなされています。また、『法華経』の特色をなす三車家宅の譬喩などについては、あらためて解説の章を設け、その豊かなイメージに読者が触れることができるようになっています。

  • 別にその門に入ろうってわけじゃないんだけど、仏教の世界観って面白いから折りに触れて関連書を読んでみたりしている。

    今回は、「諸経の王」とも言われる法華経について概観した本である。

    修行を積んだものばかりでなく、誰もが仏になれる・・・つまり「大乗」の教えを初めて体系的に説いたものであるらしい。

    広大無辺な仏教の世界観や、お釈迦さんがいかに神格化(仏格化、か)されて行ったか、「塵点劫」「恒河沙」といった途方もない単位がどうして生まれたか。それらが、このお経に特徴的な物語的な展開、スペクタキュラーな舞台設定、横溢する想像力のもとで描かれているらしい。

    こうした一般民衆にとってもわかりやすい話運びで、大乗、救済の永続性、(みな必ずいずれは仏になる)衆生への尊崇の念などが語られているらしい。

    長い時間、いろいろな人の手を経て「仏教の世界観」が創られて来たと思うんだけど、その源流がこのお経にあるらしい。

    これらを教えてくれる、平明な解説本である。面白かった。

  • うちは真宗だけど、法華経の持つマジカルさは魅力的。解ったような解らないようなひたすら広大な(それこそ久遠の)世界観。

  • 入門とは易しいという意味ではない。初学者にとっては専門用語も多く、理解しにくい部分もあるかと思うが、法華経の内容、特質、歴史、文化をよくぞ新書の形で纏められたと思う。

    ・古代の社会において人間の平等を説くことは衝撃的で危険な思想であった。
    ・法華経の独自性は、散漫とも言える全宇宙に散在する無数の仏を統合する強力、強烈な仏を新たに確立することであった。
    ・初期大乗経典は、悟り型でもなく、救い型でもなく、誓願の宗教であったことを端的に物語っている。

  • 私の知識量に対してぴったり合った解説でした。とてもわかりやすい。

  • 73点。古来「諸経の王」とたたえられてきた初期大乗経典の一つ『法華経』
    『法華経』は仏教の哲学的理論書というよりも寧ろ、一種の「宗教文学作品」というべきもので七つのたとえ話などが説かれていて、平易な内容の中に深い思想を読み取らせるものになっている。
    また釈尊が眉間からビームを発してみたりと宇宙的スケール(SF?)で展開する壮大かつドラマチックな経典でもあるのだ。
    死者を思う気持ちには些かの疑問もないが、題目を唱えるその中に加わる気持ちはなかったので手にとったが、こんなにも深く素晴らしい宗教思想に触れやがれ。くらいの筆者の思いが伝わりすぎる。入門書なんだからもっとリラックスして書いてくれないと。
    ウグイスが経読み鳥という名をもつのも「ホーホケキョウ(法華経)」と鳴くからなんだというのはちょっとした発見。

  • [ 内容 ]
    霊鷲山に座して真理を説く釈尊、空中に浮かぶ宝塔、大地を割って現われる無数の菩薩たち。
    『法華経』の世界はあくまでも視覚的イメージに富む。
    インドに生まれ、漢訳を経て我々の手に伝えられたこの経典が、多くの人々を惹きつけてきたのはなぜか。
    「誰もが仏になれる」という究極のメッセージを中心に、その歴史、構造、思想を解き明かす。

    [ 目次 ]
    第1部 『法華経』とは何か(『法華経』は初期大乗経典である 『法華経』の構想の基盤と全体の構成 『法華経』のテキスト 日本における『法華経』)
    第2部 『法華経』の中心思想(一仏乗の思想―だれでも仏になれる 久遠の釈尊の思想―永遠の生命 誓願の宗教―地涌の菩薩の思想 『法華経』の七つの譬喩)

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著者プロフィール

1965年、東京都出身。帝京大学文学部講師。専攻は理論社会学、社会システム論。共著に『社会構造の探求』(新泉社)、『現代社会理論と情報』(福村出版)、共訳書にアンソニー・ギデンズ『社会理論と現代社会学』(青木書店)など。

「2008年 『個人化社会』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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