人道的介入―正義の武力行使はあるか (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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レビュー : 38
  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004307525

作品紹介・あらすじ

極度の迫害を受け、生命が危険にさらされている人々に対して、国際社会には何ができるか。彼らを救うのに武力以外の手段がないとすれば、どうしたらよいのか。人道的介入の名目でNATOが行ったユーゴ空爆をはじめ、ソマリア、ルワンダなど、数々の地域紛争を検証し、21世紀における平和のあり方、人道的であることの意味を考える。

感想・レビュー・書評

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  • 平和というのは一体どのような状態を指すのか?一つの国の中でそこの国民が明らかに「まともではない」生活を強いられている場合他国は武力を使ってでもこれを阻止する権利あるいは義務を持つのか。

    武力を止めるための武力行使ということの難しさ。国連体制の問題点など。

  • 人道的介入とは、ざっくりとまとめれば「極度の人権侵害が起きている国に、その救済を目的に他国が軍事介入すること」である。聞こえはいいが、歴史上幾度となく濫用され、人権侵害の拡大を招いて来た。しかし、全否定するのはナンセンスである。その上でどう折り合いをつけるかを、極めて国際法学者らしく場合分けして検討している。結論としては、「(軍事)介入が必要になる前の(非軍事)介入」とある種当然なのであるが、この本はどちらかというと、著者の思考の筋道を噛み締めつつ、安易な介入論を自制するところに意味があるように思われる。

    以下引用

    たしかに、極度に非道なことが世界に存在する限り、正義の武力行使というのも存在し得る。同時に大切なことは「人道的=正義であるなら何をしてもよい」論を安易に導かないことである。
    「戦争は戦争」であるなら、そして、それへの訴求を慎むべしとする国際法の潮流に合理性があるならできるだけ代替策を模索し続けるほかない。ディレンマは明らかなのだ。明らかなディレンマのなか、迫害される人々にとって最も良い方法は何かと考える苦しい作業を「人道的介入」問題は私たちに強いる。

  • 序文9p
    フランスの哲学者ポール・リクールは、「人の苦しみはそれを見た者に義務を負わせる」ということばでこの倫理性を表明した。

    絶対倫理という言葉の意味は?

    アメリカのグレナダ侵攻、初めて知った。

    第1章46p
    ビアフラを契機とした、国境なき医師団の結成。

    第2章63p
    NHKスペシャル「なぜ隣人を殺したか」

    曖昧な結論にすることなく、自らの意見を断定的に述べる点は好感が持てた。
    しかし、やはり知識不足で理解するのに時間がかかった。

  • 記念すべき人生初新書。批判的に読めるようになりたいと思った1冊。

  • 新刊の棚にあるから借りたのに、10年以上前の本じゃないか。
    ま、いいですけど。騙されました。
    それはそうと、本書は人道的に酷い行いのなされている国家に対する武力的介入について、その是非などを論じています。ソマリアやウガンダ、カンボジア、ユーゴのことなどが書かれています。出版時期からすると、特にユーゴ空爆辺りを問題意識として書かれているようです。
    結論としては、「介入すべし、上流で」ということのようで、すぐに武力介入と考えるのではなくて、まず関係する大国間で政治的に考えろよ、としています。ただ、昨今の政治情勢をみていると、その大国ってのが一番やばいんじゃないの、と思わざるをえませんが。

  • 「人の苦しみはそれを見た者に義務を負わせる」
    迫害の犠牲者が存在するとき、それを見た他人たちは犠牲者を救済する義務を負う(リクール・1997)。

  • 人道的介入について主に国際法の観点から書かれた本。学部のゼミのディベートで介入の問題を扱うため、二度目となるが、読んだ。今、手元に当該本がないので詳細は割愛する。

    人道的介入の問題点について非常によく整理されており、この問題について学ぶとき、最初に手を取る本としてお勧めである。国際法学者の著作であるため、国際法の観点からの記述が多いが、政治的な観点が全くない訳ではない。特にNGOの役割について詳細に記述しており、この点には斬新さが感じられた。

  • 『大学の国際政治、国際法の講義で参考図書に挙がってた本。
    両方で推される本はなかなかレアなのでとりあえず買って読んでみた。
    「人道的介入」が単なるきれいごとじゃないことが実感できる。
    そしてどうしようもない国家に対してどう臨むべきか、「悩む」きっかけを与えてくれる。 』

  • [ 内容 ]
    極度の迫害を受け、生命が危険にさらされている人々に対して、国際社会には何ができるか。
    彼らを救うのに武力以外の手段がないとすれば、どうしたらよいのか。
    人道的介入の名目でNATOが行ったユーゴ空爆をはじめ、ソマリア、ルワンダなど、数々の地域紛争を検証し、21世紀における平和のあり方、人道的であることの意味を考える。

    [ 目次 ]
    序 世紀の難問―複雑化した平和のなかで
    第1章 人道的介入とは何か
    第2章 試練の国連体制
    第3章 「人道的戦争」―コソヴォのはかない春
    第4章 正戦論をおしとどめて―人道的救援と軍事
    第5章 市民的介入の論理
    終章 終わりなき課題

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 現在リビアまたコートジボワールで軍事介入が展開されているが、その理解の一助になると思い読んだ。
    この本の副題は「正義の武力行使はあるか」である。僕が読んだ限り、筆者の回答は「あるが、その行使は非常に限定されるべきだ」というものだ。
    他者が残虐な行為を受けているにも関わらず、それを黙って見過ごすことは出来ない。人道的介入とはそういう倫理性から要請される。しかし、その手段としての軍事介入が「ほんとうに」善きことなのか。
    人道的介入とは、個別的で具体的で現在的な状況に対して行われるものだ。抽象的なベキ論ではない。私たちがいかに誠実で倫理的であれるか。この本にそう突きつけられた気がする。

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