憲法への招待 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
3.50
  • (15)
  • (23)
  • (48)
  • (5)
  • (1)
本棚登録 : 250
レビュー : 31
  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004307587

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  •  やばい。ずいぶん前(発売されてすぐくらいかな)に読んで、それ以来の再読だけど、こんなにいい本だったんだ、と感じた。早めに読んでおけばもっと楽に授業ができたなあ。

     本書は憲法についての入門書といってよくて、人権カタログだとか制限規範性だとか、「憲法とは何か」についての基本的なところを理解するのに役に立つ。

     しかもかなり平易かつ丁寧に書かれているので、ちょっと学力のある中学生なら十分に理解できる内容。だから、中学公民の政治分野の教科書として使ってもいいくらい。24の問いに沿って進める、というスタイルなので、1つ1コマとしても24コマで終わるから、3単位の公民なら8週つまり約2か月で終わる。もちろんそんなにスムーズにはいかないにしても、1学期分あれば十分だ。授業のペースメーカーとしても、生徒が学習するうえでの読み物としても、検定教科書よりかなり優れている。自分は授業に導入することを本気で検討中です。

     ただあとがきに「憲法学の世界での議論を踏まえたうえで、私なりの問題意識を持って書いた」とあることからもわかるとおり、議論に無理があるというか公平性に欠けるなあ、という点があるのは確か。たとえば問24の条例が法律に優先するなんて、あまりにも無理な解釈でしょ。

     それと本書を読む利点としてあげられるのは、憲法学の手法のさまざまな問題点が見えてくること。

     自分が特に問題だと感じるのは、本書の中にデータが一切出てこないという点。たとえば問12の表現の自由とわいせつな表現の問題は、実際にポルノ小説で性犯罪が増えたのかデータを検証してみればいいことでしょう(そして実際には、より過激な表現が許されるようになっている現代のほうが犯罪は減っているようだ)。でもデータも利用せずに推測だけで議論を進めてしまっている。

     ほかにも読む人の考え方や価値観によって、さまざまな問題点を指摘できると思う。確かにそういう面があるにしても、本書は憲法とはどういうものかということを必要なことは漏らさず、しかもわかりやすく書いている、珍しい本だ。

     本書は、社会人にとっては日本国憲法の議論の出発点になるし、中高生には学習の手助けになるだろう。そんな貴重な一冊で、多くの人に読まれてほしいと感じた。

  • 各テーマごとに憲法上何を準拠して正当化されているのかを解説している。

    単調な流れで読み辛さを感じた。

  • タイトルからわかる通り憲法入門者向けの易しい本だけど、入門書にしては著者のカラーが出すぎてる感じがする。岩波というところで、どういうカラーかということはお察しということで。
    個人的には、入門者にはもっとカラーの薄いものを読んでからの2冊目以降の憲法本としての読み方をお勧めします。その方が著者の立ち位置も含めてより楽しく理解して読めると思うので。
    情報公開に関するところとか内容が古いので、これから読む人は新版をどうぞ。

  • 憲法について詳しくない一般の読者に向けて書かれた本です。「憲法は私たちが守らなくてはならないものか」「首相の靖国神社参拝はなぜいけないか」「問題のある教科書をなくすには、検定が必要か」「国民代表が決めた法律を、裁判所が違憲・無効とできるのはなぜか」など、24の問いが設けられ、それについて答えるという形で、憲法の基本的な問題が解説されています。

    「岩波書店から刊行された憲法の入門書」といった内容の本で、現在の憲法をめぐる問題を考えるために、直接役に立つ本ではなかったように思います。

  • 第五版を読んだ。第六版とはかなり内容が違っているので注意が必要。
    よい入門書であった。感想は追記

  •  タイトル通り、憲法入門書。24のQ&A方式で憲法を説明していく。

     読んでいて感じたのは、入門書にしてはかなり立ち入った記述をしているな、というところですね。思ったより筆者の色が強く出ているように感じました。

  • 近代立憲主義の基本、憲法学の基礎的な部分を学びたいと思って手に取りました。本書を読んで、その目的は概ね達成出来たとおもいます。ふだん政治哲学をちょろちょろっと齧っている人間からすると、政治哲学が問題としていることが憲法学、法律学では解決済みとされているものもあるんだなあ、と目から鱗。それは実社会への落とし所を必ず決めなければいけない法律というものを扱う学問だから当然ですが、あっわたしがやっているのはやっぱり哲学なんだ、って思った。でも憲法はもうちょっときちんと学んでみたいかな。またいずれ関連書籍を読むつもり。

  • 憲法を学ぶ入門書として、適していると思う。憲法の解釈は人によって違うことがわかり、自分自身で憲法について考えるきっかけになると思う。

  • 憲法について具体的に考えるための24の質問と答え。

    読む前よりは憲法に詳しくなるが、正解があるわけではない。
    自分たちで選ぶしか無いということを自覚するかどうかが大事かも。

  • 日本国憲法の条文の順番に合わせて24の具体的な問題や疑問(「聖徳太子の十七条憲法は『憲法』か」(p.2)といった具合に)をテーマとし、それを一節としてそれぞれについて解釈や歴史的背景などを説明しています。

    憲法は何のためにあり、条文は何を意識しているのか、何を制限し、何を与えているのか、そういった憲法の実世界での運用のされ方・理解すべき方法が具体的な例を交えた平易な文体で書かれていました。

    読んでいて一番気になったのが、各節で挙げられたテーマ・疑問に対する回答が十分でないこと、そしてその解説内容での論理的推論が曖昧かあるいは憶測(に見えるもの)で進められていたことです。内容がぼやけていたり、前の段落で説明した内容が次の段落にどうつながるのかイマイチ掴み難く、事実説明の羅列といった感じの箇所も多々ありました。

    例えば1章2節は「人権の規定に比べて、義務の規定が少ないのはなぜか」(p.10)というテーマなのですが、これに対しては「憲法は政府の活動を制限するため政府に義務を課す規範である」といった憲法の成立由来から「こういった憲法の性質から個々人に直接課される法的義務を憲法は規定しない」という論理的帰結を導いて「憲法に義務の規定が少ない」理由としているようですが、この議論はなんとなく片手落ちのような気がします。
    なぜならば
    1)「政府の活動を制限するため政府に義務を課す規範である」ことを目的として憲法が作られたからといって、それは「個々人に直接課される法的義務を憲法は規定しない」ことの理由にはならないし、別に規定してあってもよさそうな気がします(本当は相当の理由があるのかもしれませんが少なくとも本書に書いてある限りではわかりませんでした)
    2)「政府の活動を制限するために政府に課す義務」の多寡については何も述べられていない
    からです。1)については前提から帰結への論理的補強が欲しかったですし、2)はテーマに対する回答不足でしょう。

    著者もあとがきで「本当はもっと複雑なことがらを、無理に単純化したり、緻密な理論を必要とするところを省略した箇所もあります。」(p.217)と述べるように仕方ないのかもしれませんが、こういった具合の曖昧な議論がかなり見られたため読んでいてかなり辛かったです。
    こういった批判については、
    渋谷秀樹『憲法への招待』(上)~通俗憲法書批判1 http://critical-thinking.cocolog-nifty.com/blog/2008/09/post-07df.html
    渋谷秀樹『憲法への招待』(下)~通俗憲法書批判1 http://critical-thinking.cocolog-nifty.com/blog/2008/09/post-ea1c.html
    こちらのサイトなども参考になると思います。

    しかし憲法に関する基本的な解釈概念や憲法が内包する思想にはどんなものがあるのかを知ることはできたので良かったかなと思います。

全31件中 1 - 10件を表示

渋谷秀樹の作品

憲法への招待 (岩波新書)を本棚に登録しているひと

ツイートする