漢詩―美の在りか (岩波新書)

著者 :
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レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004307686

作品紹介・あらすじ

漢詩三千年の悠久の歴史は、中国をはじめ、漢字文化圏の人々の歓び悲しみをうたいつつ、数多くの名作を生みだして今日にいたっている。日本においても、古来、短歌・俳句とともに日本人の詩情を豊かに育み、独自の世界を形成してきた。広くて深い漢詩の魅力と生命力の実態-美の在りか-を、詩歌鑑賞の新しい視点から説き明かす。

感想・レビュー・書評

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  • 先日読んだ「文章読本」で漢詩について触れられていたため、基本を知りたいと思い読んだ。

    リズムについての記述が面白い。五言の場合は三拍子、七言の場合は4拍子。意味の区切りのズレも面白い。
    そして最終項の「文語自由詩」としての訓読漢詩。日本語で漢詩を読むことの面白さを書いているが、ある意味で日本語で読むからこその楽しみとも言える。

  • 私は漢詩のことを深く理解している訳ではないが、漢詩には惹かれてきた。特に、直感的に漢字から浮かび上がる映像美を想像する楽しみと、対比の美しさや語感のリズムに魅力を感じてきたが、その理論的背景のことは知らなかったので、本書を通じ、体系的に漢詩を眺めることができた。著者が指摘するように、日本人が漢詩を読む場合、訓読のリズムも重要になる。漢と和のリズムが同期し絡み合ったとき、日本人として、漢詩を最大に味わえるのだと思う。

    また、数々の名作に触れることで、自分自身の詩に対する感性も変わっていることに気づいた。かつては、壮大なスケールの杜甫に憧れ、なんとなく人間くさく、日常的な味わいのする白居易は好きになれなかった。しかし、大人になり日々の流れに押されながら白居易の詩を読み返してみると、「日高く眠り足りて 猶お起くるに物憂し」と始まる、一見、怠惰な姿勢は実直でむしろ共感を覚えるようになっていたのである。

    高校生で漢詩を習い、そのあとに興味を持ったら手に取りたい漢詩の入門書である。前半は、各詩人の代表的な詩、それからテーマ毎に絞った詩が集められ、後半は、漢詩の構造や、日本における漢詩について説明がなされている。

  • [ 内容 ]
    漢詩三千年の悠久の歴史は、中国をはじめ、漢字文化圏の人々の歓び悲しみをうたいつつ、数多くの名作を生みだして今日にいたっている。
    日本においても、古来、短歌・俳句とともに日本人の詩情を豊かに育み、独自の世界を形成してきた。
    広くて深い漢詩の魅力と生命力の実態―美の在りか―を、詩歌鑑賞の新しい視点から説き明かす。

    [ 目次 ]
    1 詩人とその詩境―典型を生んだ四人の詩人(陶淵明;李白 ほか)
    2 主題とそのイメージ―志の之くところ(友情(閨怨)
    戦乱(経世) ほか)
    3 詩型とその個性―「かたち」と「こころ」(“美のかたち”としての主要定型;律詩と絶句 ほか)
    4 詩跡(歌枕)の旅―名詩のふるさと(漢詩と風土;詩跡になった景勝地 ほか)
    5 「文語自由詩」としての訓読漢詩―定型詩(和歌・俳句)との相補性(訓読漢詩の生命力;“視覚”と“聴覚”の二重性 ほか)

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    [ 参考となる書評 ]

  • 特に私にとって印象深かったのは、漢詩を中国からの輸入の文学でありながら、日本人の感性におけるひとつの素養と捉え、中国本土のものとは異なる新たな日本人自らの文化として研究なされている点です。これまで漢詩は「国語」として習うものでありながら、中国語の一種、すなわち英米文学などと同じ外国文学であると認識していただけに、これは大きなショックでした。しかし振り返ってみれば、「リズム」を何よりも至上とする詩というジャンルにおいて、本来と違う「訓読み」という読み方を新たに付加して愛吟する日本の「唐歌=漢詩」の文化は、「中国の文学」とは一線を画しているように思います。

    どのような視点に関しても、漢詩に対する見方が変わると同時に、多くの新しい視点も発見することができた著作でした。

  • 授業のテキストとして購入したのですが、意外に面白かったです。吉川幸次郎先生とか、松浦先生とか中国文学の教授は文章が上手いのかしらと思いました。

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