古代ギリシアの旅―創造の源をたずねて (岩波新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004307808

作品紹介・あらすじ

古代ギリシアは大創造空間だった。タレースらの自然哲学、ピュータゴラースの幾何学、アテーナイの学校、そして悲劇。トルコ西部から南イタリアにおよぶ各地の遺跡をたずね、独創の源泉を考察する。ピュータゴラース学派の聖数「10」やヒッポダモス式都市の秘密などを解きながら、古代ギリシアの風土と文化を案内する知的ガイドブック。

感想・レビュー・書評

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  • 三葛館新書 293.1||TA

    ソクラテス以前の哲学者たちの生地を起点に、ギリシア本土とその周辺の島々やシチリア島など、東地中海をめぐる旅のガイドブック。自然哲学を概観しながら、それを培った土地の風土と歴史にも目配りがなされている。たとえば「ピタゴラスの定理」でおなじみのピタゴラスはサモス島出身なので、この島の大女神ヘーラーの聖数10(=1+2+3+4)を重視したというような興味深い話が記されている。イタリア・ギリシア旅行の機内で読むのに最適。
    【レビュー:保健看護学部 西村賀子先生】

    和医大OPAC → http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=43380

  • メーレートス。
    ピュータゴラス学派。
    都市アテーナイ。
    ペロポンエーソス。

    どれが地名で、どれが人名かもわからない。
    建造物の紹介があるので、旅をしようという気になる。

  • (2011.09.22読了)(2011.09.18購入)
    まえがきに次のように書いてあります。
    「哲学史、科学史の跡に立ち、その場の雰囲気に包まれて、時間を超え、彼らの創造の秘儀をかいま見ることができたならば、それにまさるよろこびはありますまい。感性の世界、そして理性の世界を超えたところにあるもの、創造のはたらきを担うデモーニッシュなもの、その影にでも接することはできないでしょうか。これが私たちの古代ギリシアへの旅なのです。」
    なお、あとがきには、「自然哲学ゆかりの地については、拙著『古代ギリシア科学史の旅』もあわせてお読みいただければ幸いです。」とありますので、科学史については、この本ではあまり触れていないということのようです。

    章立ては以下の通りです。
    1、哲学のふるさとミーレートス
    2、ピタゴラス学派の聖なる数10
    3、万物の根源を求めて
    4、古典文化の花咲く都市アテーナイ
    5、時計回りにめぐるペロポンネーソス
    6、悲劇の舞台

    ●万物の根源は水(12頁) タレース
    万物の根源をなすただ一つのものを水と考えたのは、自然界におけるその量の莫大さ、その変化の多様性によるものでありましょう。とりわけ、日々の気象の移り変わりはさまざまな水の営みにほかならず、動植物の生育にも欠くことができないのは水なのです。
    ●空気(16頁) アナクシメネース
    アナクシメネースは、万物の根源、無限なるものは空気であり、その運動は永遠で、変化もこれによって生じるとしました。
    空気が薄くなれば火になり、濃くなれば水に、さらに、土になるとしたのです。
    ●数(52頁) ピュータゴラース
    ピュータゴラース学派は、宇宙は数的な調和によって秩序づけられていると考えましたが、さらに、万物は数から成るとして、数を素材のようにも考えていたようです。点は一で、広がりをもち、線は二、面は三、立体は四でした。十は聖なる数でありました。それは、十=一+二+三+四、すなわち、点、線、面、立体のすべてを含む、完全な数であり、また、長さが一対二、二対三、三対四の比をなす弦は、それぞれ、八度(一オクターヴ)、五度、四度の音程を生じるではありませんか。そして、十個の点を正三角形に並べたものが、テトラクテュスと呼ばれ、ピュータゴラース教団のシンボルとなりました。
    ●バビロニアの聖数は七(76頁)
    バビロニアの聖数は七で、その神話にもしばしばあらわれます。これは、空を動く星が七つ、土星、木星、火星、太陽、金星、水星、月であることに由来しています。現代の私たちの暦でも、七日を一週間にしているのは、遠いバビロニアの影響なのです。
    ●アーリア語族の聖数は三(77頁)
    アーリア語族の聖数は三です。ギリシアでは、ゼウス、ポセイドーン、ハーデースが、それぞれ、空、海、冥府を支配していました。三柱の女神ヘーラー、アテーナー、アプロディーテーが美を競いました。
    ●仏教の聖数は四(77頁)
    仏教の聖数は四であるように思われます。生老病死の四苦、四聖諦、八正道、十二因縁、百八煩悩など、すべて四の倍数になっています。
    ●中国の聖数は五(78頁)
    中国の聖数は五、しかも、四+一であるように思われます。五行説はこれをあらわすものに他ならないでしょう。すべてのものは木火、土、金水からなり、方向は東南、中央、西北、季節は春夏、土用、秋冬、色は青赤、黄、白黒です。
    ●火(84頁) ヘーラクレイトス
    ヘーラクレイトスによれば、万物の根源は火であり、すべてのものは火から生じ、また、火に帰る。火は濃厚になって空気となり、さらに、水、土となる。そして逆に、希薄になって、土から水、空気へ、さらに火に帰る。
    ●本は知識の産婆(119頁)
    本は読者に知識を与えるのではなくて、読者が本に触発され、自分自身の知識を生み出すのを助けるのです。それまでぼんやりしていたものが、本と対話することによって、はっきりした形を取り、確実な知識となって生れ出る。
    ●テアイテートス(120頁)
    ソークラテースの産婆術は、弟子のプラトーンの著した対話篇『テアイテートス』に出ていて、ソークラテースが、少年テアイテートスと、知識について話し合っているように書かれています。
    ●オリンピック競技(162頁)
    競技の種目は、最初は一スタディオン(192.3メートル)のと競争だけで、期間も一日だけでしたが、一スタディオンの往復、十二往復、五種競技(徒競争、幅跳び、円盤投げ、槍投げ、レスリング)などの種目もしだいに加わり、期間も五日間になりました。
    競技の優勝者へは、その栄誉をたたえて、オリーヴの小枝の冠が授けられました。けっして物質的な実益が与えられることはなかったのです。

    ☆関連図書(既読)
    「世界の歴史(2) ギリシアとローマ」村川堅太郎著、中公文庫、1974.11.10
    「古代エーゲ・ギリシアの謎」田名部昭著、光文社文庫、1987.08.20
    「古代への情熱」シュリーマン著・村田数之亮訳、岩波文庫、1954.11.25
    「アトランティスの発見」竹内均著、ごま書房、1978.02.10
    「ソクラテス」田中美知太郎著、岩波新書、1957.01.17
    「プラトンの哲学」藤沢令夫著、岩波新書、1998.01.20
    「ビザンチンの光芒―聖域行」那谷敏郎著、平凡社カラー新書、1976.05.08
    「カラー版 ギリシャを巡る」萩野矢慶記著、中公新書、2004.05.25
    (2011年9月24日・記)

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